長時間労働者の胸に響いた『超かぐや姫』について(文学を人生のBGMに㉑)
1ヶ月以上前のことなのだが、
公開から4ヶ月くらい遅れて、Netflixで『超かぐや姫』を見たら、大号泣するくらい面白かった。
なんでそんなに刺さったのかを考察する。
※ネタバレを含みます。
おじさんキラーのアニメ
若い人にも受けているのかもしれないが、おじさんキラーのアニメでもあったと思う。
麒麟の川島明さんは同年代だが、感動したのだ、というインタビュー。
・ライブシーン
・アクションシーン
・友情、日常、バトル
・新しい愛のカタチは新しかった。
・数え切れない面白い仕掛け
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Bump of chickenの『ray』をカバー
Bump of chickenの『ray』をカバーしたのは大きかったと思う。
この導線で、見るに至った。
2014年に配信された『ray』に昔、感動した。
バンプが初音ミクとコラボしたことに驚いたものだ。
当時は「初音ミクのカルチャーに擦り寄るな」「バンドらしくない」「今ごろボカロ?」という反応があった。
それが10年の時を超えて、輝くようになった。
↑Bumpと初音ミクのコラボ。『超かぐや姫』本編に、このMVへオマージュが。
ふたりの『ray』、ファーストテイクで映像を見ながら聞くと、嘘じゃなく、うまいんだと思い、素直に感動してしまった。
ヤチヨ役は、鬼滅の刃の胡蝶しのぶの声優さん。
この人の声が、もともと好きだったのもあるかも。
いつまでどこまでなんて 正常か異常かなんて
考える暇も無い程 歩くのは大変だ
楽しい方がずっといいよ ごまかして笑っていくよ
大丈夫だ あの痛みは 忘れたって消えやしない
↓踊ってみた動画とかいろいろあるけれど・・・
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心をなくした長時間労働者としての「かぐや」
社畜、長時間労働者、心をなくした者としてのかぐや姫。
このnoteでも、心をなくしたくないよな、長時間労働、半身社会、創作しながら生きることなど、このnoteに書いてきたようなものが、まるっと入っていた。
心をなくした人が、心を取り戻すために地球へ来た、そういう設定に、自分自身を重ね、カタルシスを得ている・・・。
そういうところも、刺さったのだと思う。
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描かれる高校生の労働
『君の名は』でもそうだったが、高校生アルバイトが描かれている。
登場人物の一人である彩葉は、レストランでアルバイトをして、生活費と学費を稼いでいるようだ。
お金を持っている主人公は、行動範囲が広がるため、物語的には都合の良い存在になるのだろう。
私の高校時代は、アルバイト禁止だった。
現在の高校でも、半分以上の高校ではバイト禁止ではなかろうか。
このあたりの、「働きながら学ぶ」あるいは「学びながら働く」が、私にとっては新しかった。
若者は労働しながら学ぶべきなのか?
学ぶことだけに集中すべきなのか?
日本では、
①高校生はは学業に集中すべし
②生活が不規則になり、良くない
③水商売、闇バイト、飲酒・喫煙への接触など、トラブルが多くなる
などの理由で、アルバイトを禁止しているのだと考えられる。
諸外国はどうかというと、欧米は働くことに寛容であるようだ。
アメリカのベビー・シッター制度は、若者の労働力ありきで成立している。
大学入試でも、「どんな仕事経験があるのか」が評価材料になることもあるそうだ。
ドイツでは、職業教育が発達しており、インターン、見習い制度が社会に組み込まれており、「働くこと」と「学ぶこと」を分けて考えない傾向にあるらしい。
日本も最近は、
・企業側の人手不足
・社会経験としてのアルバイトには価値がある
という感じで、変わってきてはいるようだが、学業と労働の両立は、大学生になってからでも遅くはない、という気がしないでもない。
ただ、親との関係もあって、『超かぐや姫』の彩葉は、生活費と学費を稼がなければならない。
そのため、1日6時間眠ることさえ難しい。
そのくせ、難関大学へ進学しなければならず、難しい道を歩んでいる。
彩葉はアスカでもあった。
親に認められたい。
承認欲求の塊でもあった。
そして、自立/自律した、理想的な優等生でもあった。
その生き方に、大いに魅かれるものがあった。
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みな表現者として生きる
仮想空間「つくよみ」では、みな表現者として生きる。
私も、kindle出版を行ったり、こうしてnoteを書いたりしているが、ネットでは、誰もがみな、表現者として生きている。
『超かぐや姫』の主人公達が作り上げるのは、ネット動画配信チャンネルの人気度を高めることであり、楽曲製作であり、その楽曲ライブである。
この作品は、創作、ということについて描いた映画でもあった。
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生きているだけでいい「彩葉」
生きているだけでいい彩葉。
彩葉のがんばりすぎな姿勢に、いけないと思いつつも、共感してしまう。
優等生、真面目タイプの性格の共感だったのだろうか?
長時間労働に真面目につきあってしまう自分を肯定したかったのだろうか?
そういう人間全体を肯定したいのだろうか?
そしてこの先も、こんな風に打ちのめされ、疲れ果て、悩み、苦しむ人間を量産したいのだろうか?
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8000年の人類史
8000年の時をかけたかぐや。
本編とMVではそれぞれ違った戦後の焼け野原が映し出される。
私は原爆とシベリア抑留の孫であるため、その、記憶の補完に、ありがたさと感動を覚える。
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ロリコン、百合アニメ
「よりもい(宇宙よりも遠い場所)」に焦がれたのと同じで、若い女の子ががんばってる姿、今を生きる少女たちの輝かしさ、それだけで新年の陽光に触れるような癒やしの効果があるのかもしれない。(ロリコンって言わないで。)
あるいは、百合、女の子の友情とか愛情って、未経験の分野だから、それだけで興味津々で見てしまう。
そして、8000年の時を超える愛。
また、上記、Rayなどの楽曲だが、女性がハモると、それだけで感動しているのかもしれない。
<女性に対する中年の需要>
母性:癒やし
娘性:未来
異性:恋愛・性的対象、伴侶獲得行動
別性:自分が生きたことのない種類の人間
村上春樹氏が、初の女性主人公の小説を、この夏に刊行する。
村上龍氏が、その昔『ラブ&ポップ トパーズ2』という、女子高生を主人公にした小説を書き、庵野氏が実写映画化した。
社会学者の宮台氏が、若い女性は社会を映す鏡だ、というようなことを述べていた。
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センスのいいアニメとして
センス。
千葉雅也の『センスの哲学』。
作った人は呪術のオープニング作るような人で、アニメ監督は初?
全シーン、センスのかたまり、という感じだった。
しかし、ストーリーもしっかりしていた。
前半の日常パート、後半の成長譚、バトル。
そして、ドラえもんの時みたいな感動、という展開。
センス、というだけでは語れない、しっかりした作品だと思った。
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まとめ
以上、なぜこんなに中年男に刺さったのかというと、
・Rayをカバーした名案
・心をなくした長時間労働者としての「かぐや」
・高校生の労働を描いている
・表現者、創作について描いている
・努力、優等生タイプの彩葉が生きているだけでいい
・8000年の人類史
・ロリコン、百合アニメとして
・センスのいいアニメとして
これらすべてが、おじさんキラーのアニメだったと考察する。
制作陣の方々、ほんとうにありがとうございました。
めでたし。
