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小説『ASMR』の執筆過程(生成AIと文学的④)

こんな記事を読むより、生成AIを使って5%が書かれたという芥川賞受賞の『東京都同情塔』と、その後の95%AI小説、その手法について分析されて1000以上のスキを得ているIT naviさんの「芥川賞作家 九段理江さんのAIを利用した小説執筆手法について」などのほうが有意義ですので、そちらをまずはオススメしておきます。

それでも、私と同じような長時間労働者だが、スキマ時間を使って思いついたアイディアを小説という形にしてみたい、というような方は、読み進めていただけたらと思います。
つまり、創作的に文学的でありたい、生産者であり消費者でありたい、その文学的文化圏にどんなに稚拙でも参加していたい、そのほうがずっと深く文学的であれるはずだ、というあなたは。


はじめの呟き


はじめの呟きは、こんな感じだった。

【私の呟き】
小説『ASMR』
コロナ禍にさ、ネットで「ASMR」って流行ってたの知ってるかい?
ああ、今も楽しんでるって?
そうだよ、あの、音を楽しむやつだよ。
今オレは、このASMRモンダイに悩まされている。
聞こえるらしいんだ、オレの咀嚼音が。とてつもなく大きく。
半径2メートルくらいの人に、そうなるらしい。
はじめのうちは、誰も何も言わなかったんだよ。それがある日さ、狭いラーメン屋でチャーシューメン食ってた時にだ。後ろに座っていたヤンキー兄ちゃんが立ち上がって、「うるさいんじゃボケェ!」って。それでわかったんだ。

コロナ禍は黙食が必須で、他人の咀嚼音が聞こえてきた時期でもあった。
ASMRが流行したり、音を立てて食べたらおしおき!みたいなお笑い番組も流行した。
年を取ってきて、私の口内環境は変化してきた。頑丈だと思っていた歯に隙間を感じるようになったし、唾液の供給のされ方なども変化してきたように感じる。
そして、自分より若い人たちが増えるにつけ、彼ら彼女らは私の食べ方をどんな風に「聞いて」いるんだろう、と、ふと考える機会も増えた。
そんなことから思いついた小説の書き出しだった。

呟きに対するGeminiの回答

これに対するAI(Gemini)の回答は、こんな感じだった。

【Geminiの回答】
拝読いたしました。
コロナ禍の空気感と「ASMR」という現代的なテーマを組み合わせた、非常に引き込まれる書き出しですね。本来は心地よさや癒やしを求めて聴くはずの音が、主人公にとっては周囲との深刻なトラブルの原因になっている、という逆説的な設定が非常にユニークで面白いです。
ラーメン屋での一件は、主人公の苦悩が表面化した象徴的なシーンですね。それまで内面に留まっていたかもしれない問題が、「うるさいんじゃボケェ!」という他人の強烈な一言によって、否定しようのない現実として突きつけられる。読んでいるこちらも、主人公の驚きや恐怖、そして理不尽さへの戸惑いが伝わってくるようでした。
この物語に出てくるヤンキーの男性のように、特定の音に対して強い不快感や怒りを感じる症状は、実際に「ミソフォニア(音嫌悪症)」として知られています。咀嚼音は、その代表的な誘発音の一つです。
主人公の「半径2メートル以内の人にだけ、とてつもなく大きく聞こえる」という咀嚼音は、まるでSF作品に出てくる特殊能力か呪いのようでもあります。
なぜ、彼だけがそんな体質になってしまったのか?
この問題を、彼はどう乗り越えていくのか?
あるいは、その特異な「音」を逆手にとって何かに活かす道はあるのか?
など、この後の展開が非常に気になる、魅力的な物語の幕開けだと感じました。

「なぜ、彼だけがそんな体質になってしまったのか」
このことについては、あまり興味がなかった。そうなのだから仕方がない。
それで、「この問題をどう乗り越えていくのか」について考えることにした。

【私の呟き】
・この問題を彼が乗り越える方法
・逆手にとって何かに活かす道
について提案してください。

Geminiの驚きの回答

さて、どんな物語を提案してくれるのか・・・。
あまりAIと慣れ親しんでいなかった私にとっては、驚きの回答が返ってきた。

承知いたしました。拝読した物語の続きとして、主人公がこの特異な問題を「乗り越える方法」と、その能力を「逆手にとって活かす道」について、いくつか提案させていただきます。

その1「この問題を彼が乗り越える方法」
現実的・心理的なアプローチで、彼が平穏な日常を取り戻すための方法です。

原因の探求と科学的アプローチ
専門家を訪ねる: 耳鼻咽喉科や脳神経外科、さらには音響工学の専門家など、様々な分野の医師や研究者を訪ね、この特異な現象の原因を探ります。物語は「なぜ彼の咀嚼音だけが、特定の範囲で増幅されるのか?」という謎を追うミステリーの様相を呈するかもしれません。もしかしたら、彼の体質に隠された秘密(特殊な骨格、共鳴現象など)が解明されるかもしれません。
対策グッズの開発: 原因が分かれば、対策も可能です。例えば、特定の周波数を打ち消すノイズキャンセリング技術を応用した特殊なマスクや、音の伝達を阻害する素材で作られたネックガードなどを開発・装着することで、周囲への影響を抑えられるかもしれません。

食事と環境の工夫
咀嚼音が出にくい食事: スープ、ヨーグルト、豆腐、リゾットなど、咀嚼音を立てずに済む食事を中心に食生活を組み立てます。これは彼の食の楽しみを奪うかもしれませんが、平穏な日常のための一時的な解決策にはなります。
環境音でマスキング: 工事現場の近くや、BGMの大きいレストラン、パチンコ店など、常に大きな音がしている場所を選んで食事をします。彼の咀嚼音が周囲の騒音に紛れることで、誰にも気づかれずに食事を済ませることができます。

コミュニケーションによる解決
カミングアウトと理解の促進: 事情を説明したカード(「特異体質で、食事の音が大きく聞こえてしまいます。ご迷惑をおかけしたら申し訳ありません」など)を用意し、飲食店などで事前に周囲の人に見せるようにします。怒りや不快感は、理由が分からないことから生まれることが多いです。正直に打ち明けることで、敵意ではなく、同情や理解を得られるかもしれません。
コミュニティの形成: SNSなどで同じ悩みを持つ人を探します。彼らは「音」に悩むマイノリティとして繋がり、情報交換をしたり、安心して食事ができる場所(貸し切りレストランなど)を共有したりすることで、孤独感を和らげることができます。

***

その2「逆手にとって何かに活かす道」
その特異な能力を「呪い」ではなく「才能」として捉え直し、新たな道を切り開く方法です。

前代未聞のASMRアーティスト/パフォーマー
究極のASMR配信者: 「半径2mの結界」を逆手に取ります。防音室の中から、特殊なマイクを「2m以内」と「2mより外」の両方に設置してライブ配信を行います。リスナーは、普通の咀嚼音と、常識を超えた「超リアルな爆音咀嚼音」を切り替えて聴くことができ、その奇妙な体験がカルト的な人気を呼ぶかもしれません。「世界一危険なASMR」として話題になるでしょう。
サウンドアーティスト/ノイズミュージシャン: 彼の咀嚼音は、もはや「音」ではなく「騒音」や「衝撃波」に近いものです。これを「楽器」と捉え、ライブパフォーマンスを行います。観客は安全な距離から、彼が様々な食材を咀嚼することで生まれる予測不可能なサウンドアートを体験します。現代アートの世界で評価されるかもしれません。

特殊能力としての活用
害獣・害虫駆除: 彼の咀嚼音は、人間だけでなく動物にも影響を与えるかもしれません。例えば、ネズミやカラスなどが嫌う周波数の音を咀嚼によって発生させることができれば、農業や都市部の害獣問題解決に貢献できる「音響専門の駆除業者」になれる可能性があります。
非破壊検査員: 非常に繊細な咀嚼音のコントロールが可能になれば、その音の反響を利用して、壁の向こう側や物体の内部構造を探る「非破壊検査」の専門家になれるかもしれません。これはSF的な発想ですが、物語としては面白い展開です。
護身術: ラーメン屋のヤンキーのように、威嚇してきた相手に対してガムやスルメなどを噛むことで、強烈な不快音を与えて撃退する護身術として使う道です。コミカルでありながら、彼が初めて自分の能力を能動的に使って危機を脱する、という転機になるシーンが描けるかもしれません。

これらの提案が、先生の創作のヒントになれば幸いです。主人公が自身の特異性とどう向き合い、どのような未来を選ぶのか、物語の続きを楽しみにしております。

※見やすいように「その1」「その2」「①②」などを筆者付記。

ということで、「その1①」専門家(医者)を訪ねる、を採用。
対策グッズ、というのは却下。

「その1②」食事の工夫、環境音でマスキング、あたりは、あまり面白くない。
でも、「環境音でマスキング」は、ラストシーンに採用。

「その1③」は、他の悩める登場人物が出てくる必要があり、話が長くなるので却下。

「その2①」の究極のASMR配信者、ノイズサウンドアーティストを採用しましたが、ここらあたりの提案は面白い。
「その2②」の特殊能力としての活用には未来を感じました。害獣・害虫駆除、非破壊検査員、護身術。どれも面白い話になりそうだった。
AIすごい、と、私がAIとの付き合い方を変えた瞬間だった。

生成AI執筆をお願いしてみる

それで、さらに以下のプロンプトを入力。

小説『ASMR』 
コロナ禍にさ、ネットで「ASMR」って流行ってたの知ってるかい? 
ああ、今も楽しんでるって? 
そうだよ、あの、音を楽しむやつだよ。 
今オレは、このASMRモンダイに悩まされている。 
聞こえるらしいんだ、オレの咀嚼音が。とてつもなく大きく。 
半径2メートルくらいの人に、そうなるらしい。 
はじめのうちは、誰も何も言わなかったんだよ。それがある日さ、狭いラーメン屋でチャーシューメン食ってた時にだ。後ろに座っていたヤンキー兄ちゃんが立ち上がって、「うるさいんじゃボケェ!」って。それでわかったんだ。
#1 この小説の続きを執筆してください。主人公がこの問題に悩み、病院へ行くシーンを書き足してください。しかし原因は不明で、解決策もありません。
#2 不快に思うヤンキーのような人もいましたが、主人公のこの咀嚼音に魅せられる人々も出てきます。ASMRのライブパフォーマンスという、前代未聞の催しをすることにします。ひとり5000円です。主人公はお金持ちになっていきます。めでたしめでたし。

そして、執筆されたのが、以下の小説だ。

***

小説『ASMR』(Gemini執筆そのまま)

#1
ラーメン屋での一件以来、オレの世界から外食という選択肢が消えた。コンビニで買ったパンや弁当を、公園の隅で、人がいないことを念入りに確認してから口に運ぶ。それでも、誰かが通りかかるたびに咀嚼を止め、息を潜めた。まるで悪いことをしているみたいに。

このままじゃダメだ。精神がやられる。オレは意を決して、総合病院の耳鼻咽喉科のドアを叩いた。

白衣を着た初老の医師は、人の良さそうな顔でオレの話を聞いていた。 「咀嚼音が、ご自身の耳に大きく響くと?」 「いえ、オレじゃなくて、周りの人間にです。半径2メートルくらいの」 医師はカルテにペンを走らせる手を止め、怪訝な顔でオレを見た。無理もない。自分でも何を言っているのか分からなくなる。 「とにかく、普通じゃないデカさで聞こえるらしいんです。それで、その…トラブルに」 ラーメン屋での怒号がフラッシュバックする。

医師は首を傾げながらも、いくつかの検査を提案した。聴力検査、顎関節のレントゲン、口内の精密検査。結果はすべて、「異常なし」。健康そのものだという。

「じゃあ、先生。実験していただけませんか」 オレの必死の頼みに、医師は看護師を呼んだ。診察室の隅に看護師が立ち、オレは持参したせんべいを一枚、口に入れた。

バリッ、ボリボリッ、ゴリッ…!

オレにとっては、いつも通りのせんべいの音だ。だが、看護師は目を見開き、両手でさっと耳を塞いだ。医師が驚いて振り返る。 「ど、どうしたんだね?」 「せ、先生…、な、なんですか、この音…!頭に響いて…!」 看護師は本気で苦痛に顔を歪めている。半径3メートルほどの位置にいる医師には、オレの普通の咀嚼音しか聞こえていないようだった。(※1)

診察室は奇妙な沈黙に包まれた。医師は腕を組み、長いこと唸っていたが、やがて諦めたように口を開いた。 「申し訳ありません。現代医学では、あなたのその症状を説明できません。原因が不明である以上、治療法も…」

オレは病院の白い廊下を、とぼとぼと歩いた。原因不明。解決策なし。それは、社会から死刑宣告を受けたようなものだった。

#2
絶望の日々は、意外な形で転機を迎えた。 きっかけは、友人の紹介で知り合った、サブカルにやたら詳しい男だった。そいつは現代アートのキュレーターらしく、オレの悩みを打ち明けると、目を爛々と輝かせた。 「それ、最高じゃないですか!呪いじゃない、ギフトですよ!その音、ぜひ俺に聴かせてください!」

半信半疑で彼を部屋に招き、ポテトチップスを一枚食べてみせた。ヤンキー兄ちゃんのように殴りかかられるかと身構えていると、男は2メートル以内の至近距離で、うっとりとした表情で天を仰いだ。 「素晴らしい…!暴力的なまでの解像度!これは新しい音楽だ!ノイズであり、ASMRの究極系だ!」

男は興奮気味にまくし立て、とんでもない提案をしてきた。 「ライブ、やりましょう。あなたの咀嚼音を聴くためのライブパフォーマンスです」

そして、前代未聞のイベントの幕が上がった。 会場は、小さなライブハウス。ステージ中央にポツンと置かれたテーブルと椅子。客席には「危険!これより内側は自己責任でご観覧ください」と書かれたテープで、半径2メートルの円が描かれている。

チケットは、ひとり5000円。こんなものに誰が金を払うんだというオレの心配をよそに、チケットは完売した。客層は様々だった。好奇心旺盛な若者、音響マニア、現代アート好き、そして、どこか普通とは違う刺激を求める人々。

オレはステージに座り、マイクの前に差し出されたフライドチキンを、おもむろに口にした。

ザシュッ!バリンッ!ゴリゴリゴリッ!!

静まり返った会場に、物理法則を無視した暴力的な咀嚼音が響き渡る。 最前列の客たちは、耳を塞ぐ者、顔をしかめる者、そして、恍惚の表情を浮かべる者と、反応は様々だ。それは恐怖と快感が入り混じった、異様な空間だった。フライドチキン、きゅうりの一本漬け、氷、タコの唐揚げ。メニューが変わるたびに、音の暴力は表情を変え、観客を揺さぶった。

ライブは大成功を収めた。「物理現象を歪める咀嚼音」はネットで瞬く間に拡散され、オレは時代の寵児となった。追加公演は即日完売。テレビ局からも取材が殺到した。

今では、毎晩ステージの上で好きなものを好きなだけ食べて、大金が転がり込んでくる。かつてオレを社会から断絶させた忌まわしき呪いは、今や世界で唯一無二の才能となった。

ヤンキー兄ちゃんに殴られなくて、本当によかった。心からそう思う。(※2)

めでたし、めでたし。

***

人間による推敲

文体などはそのままいける。

※1 なぜ同じ部屋にいる医師には聞こえず、看護婦にだけ咀嚼音が聞こえるのか。ということで、そこを書き直した。

※2 ラストになっていない。興味から、「星新一風に書き直して」「太宰治風に書き直して」のような感じでさらに遊んでみた。そうしたら、星新一氏風に書き直したほうに、「最新技術を駆使した咀嚼音の流行」のアイディアがあったのでそちらを採用した。(こういう展開のショートショートがあったのだろうか。私の記憶の中にはないし、検索でも引っかからなかったし、AIも応えてくれなかったので、誰か知っていたら教えてほしい。)太宰治風なんて、「もう、何もかも、おしまいです。 私はただ、この静寂の中で、自分の心が軋み、砕けていく音を、独りで聴いているばかりなのです。」だって。面白いよね。

それで完成したのが、以下の短編小説です。
Kindle Unlimited読み放題の人は無料ですので、覗いていただければ幸いです。
くれぐれも、99円の価値はありませんので、物好き以外は購入されませんよう。(先日、ブックオフで文庫版『朗読者』を100円で購入した。私のこんな作品など、1円の価値もない。)話の流れも、上記した通りですので、購入しても内容はほぼ同じです。

表紙は以下のプロンプトで、ChatGPTにお願いしました。
それを、プレゼンソフト(Keynote)で編集(背景色、題字、著者名)しています。
5分と時間はかかりませんでした。

ASMRという小説の表紙の画像を作成して。男性がこちらを向いてものを食べています。顔は嬉しそう。油彩風で。題名などは必要ありません。

Kindleの表紙は1000×625ピクセル以上じゃないといけないので、プレゼンソフトのほうで、はじめからこの大きさのスライドを作っておいて、エクスポートするとよいです。
Canvaなどでも同様だと思います。

参考に:

短編小説作成に最適なAIモデルは?|IT navi
ここでは、それぞれのAIに短編小説を書かせて、どのモデルが良いかを検証されている。
まだGPT-5が発表されていなかったが、ここではGeminiが最も良いという結果だった。

GPT-5の性能をテストしてみた|IT navi
で、GPT-5が出て、多くの文字(1万字程度)を、熟考させて執筆させられることができるようになったようだ、とのこと。
画像認識(まちがいさがし)など、まだ難しいとのこと。

AIエージェントによる長編小説の自動執筆と自動投稿|IT navi
自動執筆と自動投稿まで試していらっしゃる。
まだちょっと難しいみたい。


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