第153回:【人を大切にする経営】家族も仕事も、大切にできるスポーツ業界へ。
こんにちは、ブラーボデザインの藤村です。
先日、自治体の首長が産休を取得するというニュースが、メディアで大きく取り上げられていました。立場や責任がある人ほど、「自分が抜けるわけにはいかない」「休んでいる場合ではない」と考えられてきた時代があります。しかし今、社会は少しずつ、お互いの人生を支え合う方向へ変わり始めています。
仕事も大切。
家族も大切。
どちらかを諦めるのではなく、どちらも大切にできる社会へ。
このニュースを見ながら、企業経営にも同じことが求められていると感じました。「人を大切にする」と言葉にするだけでは足りません。本当に問われるのは、社員に家族ができた時、人生の大切な節目を迎えた時に、会社がどのような選択をするのかです。
理念を掲げるだけではなく、制度を整え、周囲の意識を変え、安心して休める組織をつくる。その一歩を、経営者自身が踏み出さなければならないと考えています。
1.今年、2名が育休を取得しました
今年、ブラーボデザインでは2名が育児休業を取得しました。一人は、店舗のハンドルを握る店長。もう一人は、事業部を任せている次長です。どちらも、現場と組織の中心を担う存在です。
約1か月間、現場を離れる。
正直に言えば、不安はありました。現場は問題なく回るのか。お客様にご迷惑をおかけしないか。残るメンバーに負担が偏らないか。様々なことが頭を巡りました。
責任のある立場だからこそ、休ませることに迷いが生まれる。その迷い自体が、私たちの組織がまだ十分に整っていないことの表れでもありました。
それでも、「この人がいなければ回らない」という状態を残し続けることは、決して組織の強さではありません。
誰かが抜けても、仲間が役割をつなぎ、現場を動かしていける。そして、本人も安心して家族との時間に向き合える。そんな組織をつくることが、会社の未来につながると考え、送り出しました。
2.休むことで見えた、組織の現在地
約1か月、現場を離れたことで、日常の忙しさの中では見えにくかった組織の現在地が浮き彫りになりました。属人化していた仕事。まだ仕組みにできていない業務。情報共有が足りなかった部分。特定の人がいなければ判断できないことも、まだ組織の中に残っていました。
できていると思っていたことが、できていなかった。
私自身も、組織づくりの甘さを突きつけられました。
一方で、それ以上に嬉しかったこともあります。周りのメンバーが役割を引き受け、自ら考え、判断し、行動してくれたことです。新しい役割に挑戦する人が現れ、これまで以上に主体的に現場を動かす姿を見ることができました。
誰かが休める組織は、誰かが成長できる組織でもある。
任せることには、勇気が必要です。任せたからといって、すべてが思い通りに進むわけでもありません。それでも、任せなければ見えない力があり、任せなければ生まれない成長があります。
今回の育休取得は、休む本人だけの出来事ではありませんでした。組織全体が、自分たちの力を一段引き上げる機会になったと感じています。
3.スポーツ業界だからこそ、変えていきたい
スポーツ業界には、「スポーツが好きだ」「この素晴らしさを多くの人に届けたい」という強い想いを持った人が集まっています。その熱量が、この業界を支えてきました。
一方で、その「好き」という気持ちに、業界も経営者も甘えてこなかっただろうか。私は、自分自身にも問いかけています。
好きだから、長時間働ける。
好きだから、休みが少なくても頑張れる。
好きだから、給与や待遇が十分でなくても仕方がない。
好きだから、家族との時間を後回しにできる。
そんな働き方を、情熱という言葉で正当化してはいけないと思っています。
スポーツを仕事にしたいと夢見る人はたくさんいます。しかし、実際に働き始めた後、結婚や子育て、生活との両立に難しさを感じ、業界を離れていく人もいます。
私も、スポーツビジネスの世界で働き続けることの厳しさを経験してきました。スポーツだけでは生活できず、頼まれた仕事は何でもやった時期があります。志を持って業界に飛び込んだ仲間が、現実の壁にぶつかり、離れていく姿も見てきました。
だからこそ、変えていきたい。
スポーツ業界で働きながら、家族を持ち、生活を支え、将来を描ける。子どもの成長に立ち会いながら、自分自身も仕事を通じて成長できる。そして、年齢を重ねても、長く挑戦を続けられる。
「スポーツが好きだから働く」から、
「スポーツ業界で、人生を豊かにできる」へ。
そこまで変えていかなければ、スポーツビジネスに関わる人が輝く社会は実現できません。
スポーツには、人の心を動かし、人生を豊かにする力があります。だからこそ、その価値を届ける側の人たちが、自分の人生や家族を犠牲にする業界であってはいけない。
人を幸せにするスポーツ業界だからこそ、働く人と、その家族を幸せにできる業界でありたいと考えています。
4.まずは、自社から体現する
今回の育休取得を通じて、できたことがありました。同時に、まだ整備できていない課題もたくさん見つかりました。制度、役割分担、情報共有、仕組みづくり、そして人材育成。
一度、育休を取得できたから終わりではありません。今回できたこと、できなかったことを整理し、次に取得する人が、もっと安心して休める環境へつなげていきます。
そして、今後考えていきたいことがあります。
産休や育休を取得する本人への支援だけでなく、その不在期間を支える現場メンバーへの支援です。
誰かが休みに入れば、残るメンバーは、自分の役割に加えて新たな仕事を引き受けます。そこに責任が増え、判断する場面が増え、負担が生まれることもあります。その善意や責任感だけに頼るのではなく、フォロー業務に対する手当など、支える側にもきちんと報いる仕組みを、会社として検討していきたいと考えています。
取得する人を支える。
その人を支える仲間も、支える。
そこまで含めて初めて、産休や育休を安心して取得できる組織になるのではないでしょうか。
企業だけで整えるには、限界もあります。産休や育休の取得を促進する制度だけではなく、不在期間を支える現場や企業に対する助成や支援についても、行政に検討していただきたいと思います。
制度をつくるだけでは、人は安心して休めません。現場に負担が偏れば、「休む人」と「支える人」の間に見えない溝が生まれてしまうこともあります。
だからこそ、取得する本人、支える仲間、そして会社。そのすべてを支える仕組みが必要です。
理想を語るだけでは、業界は1ミリも変わりません。
まずは、自分たちが実践すること。
ブラーボデザインから、「人を大切にする経営」を体現し続けること。
一社の取り組みは、小さな一歩かもしれません。それでも、自社で実現できていないことを、業界に求めることはできません。
まずは自社から変える。できたことを発信する。まだ足りないことも隠さず、次の改善につなげる。その積み重ねが、周囲に広がり、スポーツ業界を少しずつ前へ進めていくと信じています。
家族も仕事も、大切にできる。
スポーツ業界で働く人が、安心して人生を描き、長く挑戦を続けられる。
働く人だけではなく、その家族からも、「スポーツ業界で働いていてよかった」と思ってもらえる業界へ。
そんな未来を、これからも仲間とともにつくっていきます。
スポーツって素晴らしい。
スポーツの持つ素晴らしさを一人でも多くの人に届けていきたい。
2026年7月21日 株式会社ブラーボデザイン 藤村 武
今日も、自分との約束を守り、自分史上最高の一日にしていきましょう。
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