冬の光、恩寵の光♯5-締め切りに追われる夜、あなたはどう乗り越えますか
Horizontal Ethics ― Wise insight
「世界が、一度だけ息を止めた。」
―― 思考の霧を貫く、冬の月。不完全なスケッチの奥に、本物が宿る瞬間。
第5話 ――
時を射て / Wise insight/ 冬の標(しるべ)
コンペの締め切りが迫る中、良いアイデアが浮かばず焦っていた。
深夜、息抜きに外の空気を吸うと、澄み切った冬の夜空に、凛とした月が浮かんでいる。
美咲はふと、デスクに広げたままの不完全なロゴのスケッチを指でなぞった。
指先に残った鉛筆の感触が、まだそこにある気がした。
まだ形にならないものの奥で、何かが静かに息をしてる。
その時、思考の霧が晴れ、ずっと探していたコンセプトが、まるで冬の的を射るように、すっと心に落ちてきた。
月の光を背に、ビルの窓が淡く瞬いた。
世界が、一度だけ息を止めたようだった。
