冬の光、恩寵の光♯16-正しい言葉が、一番深く刺さることがあります
Vertical Grace ― Tender mercy
「掌(てのひら)と、霙(みぞれ)。――痛みは、温かかった。」
―― 正しさに抉(えぐ)られ、優しさに沈む。最後に触れた、冬の熱を抱きしめて。
第6話 ――
掌に / Tender mercy / 霙かな
1月の終わり。
窓の外では霙が降っていた。
美咲の言葉は、正しく、そして優しい。
だからこそ、胸を抉る。
最後に握った彼女の掌は温かく、そのまま胸の奥に沈んだ。
部屋に一人。
何か言えたはずだ、と今になって思う。
窓の外では、霙がまだ降っていた。
雪になりきれない、凍えるような雨。
