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「書けない!」から始まった税の作文


原稿用紙の前で止まった手


今日の家庭教師は、中学生の「税の作文」の指導。夏休みの課題です。

せっかく買ってきた机の上の原稿用紙を前に、その子の手は止まっていました。

「……何を書けばいいか分からない。」

その一言から始まりました。

まずは書かずに、おしゃべりから


すぐに書かせるのではなく、まずは会話から始めました。

「税金ってどう思う?」

「えーっ。よく分かんない。」
「大人が払うものでしょ。」

「おやつコンビニで買うとき、税金払ってるんじゃない?」

「消費税?あっ。そうだ。払ってる。何で子どもも払わなくちゃいけないの?」

「そうだね。何でだろうね?」

「ねぇ。税金って何に使ってるの?」

だんだん話にのってきました。

「消費税って、値段の札に書いてある」

「うん。税金って教科書とか救急にも使われてるんだって。」

「へぇ。」

そんなやりとりを重ねながら、一緒に聞き取りメモを作っていきました。

少しずつ言葉が増え、メモが埋まっていきます。

「調べてみたい」が学びのスイッチになった


すると、その子がふと顔を上げて言いました。

「ちょっと調べてみてもいい?」

そこからは、自分で調べる時間が始まりました。

「学校にも税金が使われてるんだ。」

「道路もそうなんだ。」

「ごみ収集も税金なんだね。」

調べるたびに、驚きの声がこぼれます。

気づけば、私が問いかけるよりも先に、自分で調べ、自分の言葉でメモを書き足していました。

私は途中から、そっと見守るだけになりました。

自分の言葉で完成した作文


そのメモをもとに、最後は自分の力で作文を書き上げました。

書き終えた表情は、最初とはまったく違っていました。

「書けた!」

という達成感と、「税金って身近なんだ」という発見が、その笑顔から伝わってきました。

作文を完成させただけでなく、税金への興味や関心も大きく広がったように感じました。

子どもの「できた!」に立ち会える幸せ


作文は、文章を書く力だけではありません。

「知りたい」という気持ちが生まれたとき、人は自然と書き始めます。

だから私は、答えを教えるのではなく、一緒に考え、気づきを引き出す時間を大切にしています。

教員を退職しても、子どもたちと向き合える時間があります。

「書けない」が「書けた!」に変わる瞬間。

そして、「分からない」が「知りたい」に変わる瞬間。

その表情に出会えることが、何よりの喜びです。

今日の作文は、
一枚の作品が完成しただけではなく、
一人の中学生が「学ぶって面白い」と感じられた時間でした。

これからも、
そんな小さな成長の瞬間を大切にしたい
そう思います。

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