【創作童話】メーソン教授とりすのチェリー③ (全10話)
①はこちらです♪
メーソンがしまりすのチェリーと出会ったのは、今から2週間ほど前のことでした。
絵に描いたものが本物になる機械の発明で、りんごを出すことに成功したあと、色々なものを絵に描いてためしてみようとしていたメーソンは、いつになくうれしそうでした。
「まず何を出そうかな?」
考えただけで、わくわくしてきました。
「そうだ!まずは食べ物だ。さっきはりんごがうまくいったからな。今夜はうまいめしが食える。いや、今夜だけじゃないぞ!これからは、朝も、昼も、夜も、ずっと食いたいものを食えるんだからな!」
元々メーソンは、おかずをつくるロボットも発明していたので、食事にこまったことなんてありませんでした。
けれども、ロボットはメーソンのきらいなおかずをつくることもあったので、それがどうも気に入らなかったのです。
しばらくは、食べ物の絵を機械に入れて本物にして、それを食べたらまた絵を描いてのくりかえしでした。
メーソンは、絵を描くのはあまり好きではありませんでしたが、食べ物の本を集めては、それをお手本にしました。
やがて、食べ物だけでは物足りなくなったメーソンは、生活に必要なものを、絵に描いて、機械で出そうと考えました。
たとえば着る服も、くつやハンカチやネクタイ、他にも石けんや歯ブラシなんかも、絵を描けばそろえることができるようになりました。
「どうだ!何度でも描いた絵が本物になるぞ!オレはなんて頭がいいんだろう!とんでもない機械を発明したものだ!」
メーソンは大よろこびでした。
それからメーソンは、毎日毎日、絵を描きました。
思いつくかぎりのものを描いてみました。
その絵が、次々に本物になっていくのを見るのが楽しくてたまりませんでした。
けれど、だんだん大きなものまで本物にしてみたいと思うようになると、今度は絵を描くのがめんどうになりました。
りんご1こくらいならすぐに描けましたが、新しいテレビに、エアコンに、パソコンに、プリンター、冷蔵庫や洗たく機などなど。
大きくて複雑なものを描いてはみましたが、どうもうまくいきません。
むずかしい電化製品になればなるほど、
絵がきちんと描かれていなければ、ちゃんと動いてはくれないのです。
動かなければ、ただの粗大ゴミです。
発明品の機械には、絶対に自信のあるメーソンですから、粗大ゴミしか出せないなんてとてもくやしいことです。
動くものが出せるまで、くり返し絵を描き続けます。
そんなわけで、何度も失敗をくり返すうちに、とうとうメーソンの家は電化製品でいっぱいになってしまいました。
「あぁ、めんどくさい。だれかかわりに絵を描いてくれる人はいないものかな」
メーソンは考えこみました。
けれど、かわりもののメーソンの相手をしてる人はいませんでした。
そのメーソンのために絵をかいてくれる人なんて、それも描いた絵が本物になるというウソのような話を信じてくれる人なんて、この町にいるでしょうか?
うそつきのメーソンが、またでたらめを言っていると思われたら、せっかくの発明品も笑われてしまうかもしれません。
「ええいっ!! 人なんかたよるものか!全部自分でやってやる!」
メーソンは気をとりなおして、また絵を描きはじめました。
そして、
「だれかに知られたら大変だ。これはオレが発明したんだ。だれにも見つからないようにしよう」
そう言って、昼でもカーテンをしっかりとしめました。
すると、近所の人が通りかかって、こんなうわさをしました。
「メーソンは昼間からカーテンしめて、よほど発明品を見られたくなさそうだな」
「ふん、そうだな。きっと失敗ばっかりしてるんだろう」
「中は使えないものばっかりだったりしてな」
「他のだれかに使わせてやるなんて、言ったことないもんな」
「使えるものかないんなら、仕方ないよな」
近所の人たちは、笑いながら通りすぎていきました。
メーソンはくやしくてさけびました。
「使えるものがないだと?」
そして、部屋中を見回しました。
気づけば、使えない電化製品が山のようにならんでいます。
うす暗い室内にひしめきあっている電化製品は、すべてピカピカなのに、どれも言うことをききません。
まるで、メーソンの話を聞かない近所の人のようです。
ためしにそうじきのスイッチを入れてみましたが、やっぱり動きません。
カーテンでさえぎられて、光もささないこの部屋は、まるで時間が止まっているようにも思えます。
これでは本当に使えるものがないのを、かくしているのと同じです。
でも、メーソンはそんなことをみとめるつもりはありません。
「これは失敗作じゃない。練習作だからな」
動かないそうじきにむかって、そんなことを言いました。
つづく
いいなと思ったら応援しよう!
よろしければ応援お願いします!