【創作童話】メーソン教授とりすのチェリー④ (全10話)
①はこちらです♪
メーソンは、気ばらしに外にさんぽに出かけました。
このところ、ずっと絵ばかり描いていたので、手がいたくて、体もだるく、目もつかれていました。
「だいたい、なんで信じないんだ」
メーソンは、イライラしながら森を歩きました。
すると、どこからか、かわいらしい声がしました。
「そうよ。なんでだれも信じてくれないの?」
メーソンが、
「オレの発明をみんなバカにするんだ」
と言うと、かわいい声も、
「あたしのことをみんなでバカにするのよ」
と言いました。
メーソンが立ち止まって、
「オレの発明の、どこが失敗だっていうんだ!」
とどなると、かわいい声も、
「あたしのどんぐりの、どこがにせものだっていうの?」
と、どなりました。
2人が同時にふりかえると、メーソンの前には、1ぴきのしまりすがいました。
「おまえは、なににおこってるんだ?」
「あなたは、なににおこってるんです?」
2人が同時に聞くと、
「オレは、絵に描いたものを本物にする発明を、みんなが使えないだの、失敗だのとバカにすることさ」
と、メーソンが言いました。
するとしまりすも、
「あたしは、兄さんたちが『おまえにどんぐりはあつめられない』って、もってきたどんぐりも『どうせにせものだろう』ってバカにすることです」
と答えました。
「それより‥‥」
しまりすは、ないしょ話をするときのように小声で聞きました。
「絵に描いたものが‥‥‥、本物になるって‥‥‥。それ、本当ですか?」
しまりすは、目をキラキラさせながら、メーソンに近づいてきました。
どうやら、発明を信じているようです。
メーソンは、自分の発明を自まんできそうな相手がとうとう見つかって、なんだかうれしくなりました。
たとえ相手がしまりすでも、こんなふうに興味をもって聞いてくれると、悪い気はしません。
それで、ふだんは相手に合わせるなんて、考えたことのないメーソンでしたが、この日はしまりすのためにしゃがみこんで、目が合うようにして、声をひそめて話を続けました。
「あぁ、本当だとも。なんでも本物になるさ」
「どんぐりでも?」
「もちろんだとも。いくらでも出してやるさ」
「あぁ、うれしい!あたし、絵を描くことが大好きなの。描いた絵が本物になるのなら、山ほどのどんぐりの絵を描けば、それをみーんな本物にして、もって帰れるのでしょ?」
しまりすは、両手を広げて大よろこびでした。
「実はさっき、兄さんたちとケンカして、家を出てきてしまったんです。だって兄さんったらひどいんですよ。『おまえはどんぐりをひろってこれないだろう?』って、『今までひろったのなんて、にせものだろ?』って、『はたらかないなら食事はなしだぞ!』って、いじわるするんです。だから、ついムキになって『あたしだって、兄さんたちがびっくりするほどひろってきてやるわよ』って、大声で言ったら『おう、それならどんぐりをひろってくるまでは帰ってくんなよ!』って言われちゃったんです。もう、くやしくてくやしくて‥‥‥!!だけど、このあたりのどんぐりは、もうほとんど兄さんたちがひろってしまったし、あまり遠くへ行くには体力もないし‥‥‥。本当はどうしょうかと思ってたんです」
「なるほど、そうかそうか」
メーソンはしまりすに、いつになくやさしい声で、
「それなら、うちの発明品で、どんぐりを出すといい」
そう言って、しまりすをメーソンの家に連れていくことにしたのです。
メーソンが、自分以外のだれかに発明品を使わせてやるのは初めてのことでした。
メーソンが急にやさしくなったなんてことは、このとき、しまりすはもちろん知りませんでした。
どうしてメーソンは、出会ったばかりのしまりすに発明品を使わせることにしたのでしょう?
しまりすを、かわいそうだと思ったのでしょうか?
どうやら、それはちがうようです。
メーソンは、しまりすが『絵をかくことが大好き』と言ったのを聞いたのです。
このしまりすに絵を描かせれば、自分がラクできると思ったのです。
つづく
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