001_見えない世界への招待状
「なんやろ?これ・・・」
チラシやDMと一緒にポストの中に入っている白い封筒。
箔押しされたちょっといい感じの封筒には、『見えない世界への招待状』という文字とともに、私の名前が書かれている。
差出人は不明。
「間違いで入ってたわけじゃないんか・・・」
ぼそっと呟きながら、それらを持って部屋へと向かう。
帰宅後、コートを脱ぎ、アクセサリーを外し、シャワーを済ませた後リビングに戻った。
(なんやろな、これ。)
そう思いながら、封筒を開けていく。
中に入っていたのは『見えない世界をギフトします』と書かれたカードと、透明なフィルムでできたカード。

さらに私のなかで疑問がわく。
誰かのイタズラか?と思いながら、私は目の前にフィルターを目の前にかざした。
特に、景色に変化はない。
ただ、テレビの前にかざした時に微妙な違和感を感じた。
テレビの中に映る出演者に視線を移す。
その出演者の頭の上に何かがついてる。
(遠くてよく見えないなぁ)
次の瞬間、その出演者がアップになった。

その時、はっきり見えた紫色のぐったりとしたきのこ?の姿が!
(えっ?!)と思った瞬間
フィルターを目の前から外してみた。
テレビの中の出演者の頭の上には何もない。
(あれ?!)と思いながらもう一度フィルターをかざす。
そしたら、やっぱりある。
頭の上に紫色のきのこ・・・
それを見た瞬間、テレビの中の出演者は笑顔だけど、どこか無理しているように感じた。
ーーーーピロロロン。
スマホの通知音が鳴る。
【きのこのこ図鑑003 「ムリムリのこ」を発見しました】
登録した覚えのないサイトからの通知。
そしてそこに映っているのは、さっきテレビで見た紫色のきのこだ。
そこに書かれているのは、【ムリムリのこ:体力の限界。気力の限界。を突破しそうな時に現れるきのこのこ】
(どういうこと?どういう仕組み?)
私の中に疑問が湧き上がるが、一旦フィルターをカバンにしまい、夕食の準備に移った。
翌朝、昨日なかなか寝付けなかったせいで、寝坊。
バタバタの中支度して家を出る。
昨日のフィルターを持ってきたことを思い出し、前を歩くサラリーマンを見てみた。
赤くてトゲトゲしている小さなきのこが頭の上にある。

ーーーーピロロロン。
スマホの通知だ。
【きのこのこ図鑑008 「イライラのこ」を発見しました】
そう表示された画面には、
他人に怒りをぶつけた時に出てくるきのこ。と書かれている。
まさに、目の前のサラリーマンは電話越しに「だからそれは昨日言うたやろ!!」と声を荒げている。
その声に反応するように、サラリーマンの頭の上のきのこが、ぷくっと膨らんだ。
そんなサラリーマンに気を取られていると、スマホの画面に8時40分の文字。
(あっ!!あと2分で電車出る!)と慌てて、走り出そうとした時、ふと自分の足元を見た。
自分の影。
その頭上に、小さなきのこ・・・

ーーーーピロロロン。
【きのこのこ図鑑010 「あたふたのこ」を発見しました】
(何が見えない世界への招待状なのよ・・・ただきのこが見えるだけじゃん・・・)
「はぁ・・・」
大きなため息とともに、天を仰ぎたい気持ちを抑えながら、私は、駅の階段を駆け上がった。
to be continued.
