時空を超えて‥‥小説(世流寝狐15)
Back to previous page
――ここにいても何も進展しない――
それどころかこのまま電話番を負ってしまう可能性が高い。
合志はその役を良子にまかせ、逃げるように係を出た。だが外の聞き込みはこの時点で特に行く当ても無く、午前からの冷え込みも手伝い何となく気が進まない。しかたなく行き先を資料室にした。
この部屋にはラベルにナンバーとタイトルが記されている大中小のファイルが無数に並んでいて、中央には白い長机を二つ合わせた上に、各部署のパソコンとネット化されたニ台のパソコンが置かれていた。壁に《タバコ厳禁》と書かれた紙が貼られいる。
合志は以前この部屋に入り浸りであった。その頃はパソコンは無かったが、どんな小さな事件であろうと必ずこの部屋に行くように言われた。机上捜査と言えば恰好もつくが、テレビドラマの様にここでの発見が犯人逮捕に結びつくことは今まで一度も無い。要するに彼にとって厭な思いしか残っていない部屋であるが、過ぎてしまえば知らない間に愛着に変わっていくようだ。足が向いたのもそのせいだった。
合志はパソコンの前に立った。大分県内で起きた事件、未解決の事件も含めて大量のデータがディスク内部に保存されている。キーボード上部には十二個のファンクションキーが並んでいて、PF1からPF12とある。この内の1から10の数字にそれぞれ五年分のデータが記録され、11と12に未解決のものが入っていた。つまり五十年分が納められていて、それ以前の事件に関しては、棚のファイルを引っ張り出して資料を見ていくことになる。
合志は椅子に腰かけた。前に比べると随分楽になったな、と思いながら、特段の目的もなくその中のPF1(過去五年分)キーを押し、矢印キーで上下にスクロールさせたり、テンキー(0から9の数字)を押して月単位に呼び出したりした。
画面には政治的な物から強盗、誘拐、脅迫、放火、嫌がらせ、殺人、猥褻など種々多様に現れ、事件発生日時、担当課、加害者、被害者、解決日時、罪名、ファイルナンバーなど小見出しごとに整然と横に示されたデータが上へ流れていた。合志はこれが真の捜査(操作)だなと一人呟き、また無造作にPF2、PF3と同様の操作を繰り返し続けた。
SORRY、GO TO NEXT PAGE
*作品はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。
なお、作品の無断転載・複製・複写・Web上への掲載は禁止です。
いいなと思ったら応援しよう!
「背中を押してみるか」な~んて、ほんの僅かでもお気持ちが膨らんだらよろしくお願いします。貴方様の最大限のご支援は、目薬、クッション、栄養ドリンクなど、KEYを叩く力に代えさせていただきます。