時空を超えて‥‥小説(世流寝狐16)
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二時間ほど経って、それにしても冷えると思い、窓の方に目をやった。二階から見る景色は生気が感じられず、陽を失いどんよりとした薄暗い昼下がりだった。その中で雪だけが枯れた薄茶色の木々を避けるようにヒラヒラと風に舞っていた。
どおりで寒いわけだ――。
暖房のスイッチを入れた後、またしばらく画面を見つめた。途中前歴者ファイルを取り出し、出身地や家族構成など確認したりしたが、毒猫に絡みそうな事件には当たらず、人指し指をPF11へと移す。未解決のものだ。テンキーの1を二度叩くと鉄輪で発生した殺人事件が現れた。犯人は夫婦二人を殺し、安心院(あじむ)の山へ逃げ込んだ事まで判っているが、その後足どりはつかめず三年が経過している。どうやらローン返済に追われ押し入ったようだ。この時も強盗などで捕まった前科者の洗い出しを行っていたのを想い出した。冬に入る少し前だったので山中の捜索に回されなくてほっとしていたのをよく覚えている。
再び矢印キーで先へ進めた。データの速度に合わせて目で追うが、やはり食い入るほどの事件にはぶつからない。そのうち事件発生日時が十二月を示した。大分市内で起きたチンピラによる短銃発砲事件、これも暴力団幹部らがこのチンピラをどこかで抹殺したのか、解決に至っていない。国東の老人焼死。放火とみられたが、この程度では警察もあまり力を注がない。通り魔による政治家死傷事件、これは九重で発生した。温泉郷視察と銘打ってゆっくりくつろいでいたところを襲われたらしい。相手が通り魔と政治家では捜査がやりにくい。ブンヤに言わせると本当に通り魔だったのかも疑わしいという。なぜなら目撃者は傷を負った片方の議員だけだったからだ。裏には重大な事が隠されているのかも知れない。
合志は次から次へと画面に現れるこれらの事件を眺めるうち、猫の事件が注目を浴びないのも当然のような気がしてきた。たかが男一人、猫に引っ掻かれたのだ。爪に毒が付いていたのも何かの偶然だったのかも知れない。偶然が重なり、不自然に見えることもよくある。もしそうなら自分は何をやっているのだろう。そう言えば、あの係長がよくこのうだつの上がらなかった俺を捜査に当てたものだ。もしかしたら上層部では、殺人事件から不慮の事故の方向ヘ進んでいるのではないか……。
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*週末に少しずつ投稿する予定です。作品はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。
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