【ずぼら英語力】「拡大」と「延長」は何が違う?expandから”-tend”まで『動き』で考えてみようぜ
中学の時から、少し戸惑っていた単語があります expansion という単語でした。
expansionは「拡大」「拡張」「膨張」ですね。
でも、なぜ「延長」ではないのでしょうか。
拡大も延長も、今あるものを大きくすることには変わりません。日本語で考えると、かなり近い言葉です。
ワールドカップを見ていても不思議なんですよね。
日本語だと「延長時間」とだけ言う。
前後半の延長時間は、additional timeと言う。
前後半で決着がつかない場合は、extra timeと言う。
今回のexpansionのテーマとは少し違うのですが、英語では、こういうことをきちんと分けています。
expandは「広げる」、extendは「伸ばす」
expandの語源は、ラテン語の expandere。
**ex-(外へ)+ pandere(広げる)**です。
つまり、折りたたまれていたものを外へ広げるようなイメージです。
だから、business expansionなら「事業拡大」、territorial expansionなら「領土拡大」、expansion of the universeなら「宇宙の膨張」になります。
一方、「延長する」はextendです。
こちらは、
ex-(外へ)+ tendere(伸ばす、張る、向ける)。
ある方向へ、さらに先まで伸ばしていくイメージです。
道路で考えると分かりやすいでしょう。
expand the roadなら、道路を広げる、あるいは道路網を拡大する。
extend the roadなら、道路をさらに先まで延長する。
日本語では、どちらも「大きくすること」です。
しかし英語では、面として広がるのか、線として伸びるのかを区別しているのです。
では、tendはなぜ「傾向がある」なのか
ここで、さらに疑問が出てきました。
extendの中にある、tendです。
tend単独では、
tend to ~=~する傾向がある
と習います。
「伸ばす」と「傾向がある」。
まったく違う意味に見えます。
しかし、語源をたどるとつながっています。
ラテン語のtendereには、「伸ばす」「張る」とともに、ある方向へ向けるという感覚があります。
たとえば、
Prices tend to rise.
価格は上昇する傾向がある。
これを語源のイメージで考えるなら、
価格が上昇する方向へ向かっている
ということです。
日本語の「傾向がある」という訳語だけを見ると分かりにくいのですが、tendの芯には今でも方向性が残っているのです。
intendは「意思を持つ」でなく「心を向ける」
私は以前から、intendはinがつくことで意思を持つ意味になると覚えていました。間違いではありません。
しかし、語源から考えると、もっと分かりやすくなります。
in-(中へ、~に向かって)+ tendere(伸ばす、向ける)。
つまりintendとは、もともと心や意識をある目的へ向けることです。
そこから「意図する」「~するつもりである」という意味になりました。
「意思を持つ」というより、
心がある目的の方向を向いている。
そう考えた方が、tendとのつながりが見えてきます。
attendもpretendも、実は同じ仲間
こうなると、ほかの単語も気になります。
attendは、意識をある対象へ向けること。
そこから「注意を払う」、さらに「その場所へ行く」という意味になり、「出席する」になりました。
pretendは、前に向かって何かを示すこと。
そこから「実際とは違う姿を人前に示す」、つまり「ふりをする」という意味になりました。
extendは外へ伸ばす。
tendはある方向へ向かう。
intendは心をある目的へ向ける。
attendは意識を対象へ向ける。
pretendは人前にある姿を示す。
日本語訳だけを覚えていると、まったく別の単語です。
ところが語源を見ると、すべてに**「伸びる」「向かう」「方向を持つ」**という共通した感覚があります。
英語は「意味」より「どちらへ動くか」を見ると面白い
今回のきっかけは、
「expansionって、なぜ延長にならないのだろう?」
という、本当に些細な疑問でした。
しかし、そこからexpandとextendの違いを調べ、extendの中にあるtendが気になり、intendまでつながりました。
日本語では「拡大」「延長」「傾向」「意図」「出席」「ふりをする」と、まったく違う言葉です。
けれど英語では、もともとの動きや方向から意味が枝分かれしています。
外へ広がるのか。
先へ伸びるのか。
ある方向へ向かうのか。
心を目的へ向けるのか。
英単語は日本語訳を一対一で覚えようとすると、突然、意味が変わったように見えます。
でも、その単語がもともとどちらへ動いているのかを考えると、意外なほど一本につながります。以前にも「向き」の話を記事にしました。
英語を勉強していて、「なんでこの単語がこんな意味になるんだ?」と思ったとき。それは、暗記すべき例外ではなく、語源を掘ってみる入口なのかもしれません。
