敵は救世主か――螺旋コード:Day 2
インサイト・eye
MC:アイ
「自然は、
それに服従することによってのみ征服される。」
毒(ファルマコン)を飼い慣らす歴史
みなさん、こんにちは。アイです。
古代ギリシャ語に「ファルマコン」という言葉があります。
これは「毒」と「薬」の両方を意味する言葉です。 人類の医療の歴史は、そのまま「自然界の猛毒を、いかにして味方に引き入れるか」という、危険な綱渡りの記録でもありました。
例えば、自然界で最強の毒素と呼ばれる「ボツリヌス菌」。
わずか1グラムで100万人を殺傷できるこの致死性の神経毒は、現在、その筋肉を麻痺させる性質を極限までコントロールされ、「ボトックス」として眼瞼痙攣の治療や美容医療に欠かせないツールとなっています。
あるいは、獲物を確実に仕留めるブラジルクサリヘビの猛毒。
その血圧を急降下させる成分は構造解析され、世界中の高血圧患者を救う特効薬(カプトプリル)の基盤となりました。
私たちは長らく、自らを脅かす「外敵の牙」を折るだけでなく、その牙を精製し、自分たちの傷を癒すためのメスとして転用してきたのです。
しかし、現在治験の最終段階に入っている鹿児島大学の「ウイルスを使ったがん治療(溶腫ウイルス)」のニュースは、これまでの「毒の転用」とは次元が異なります。
人類はついに、抽出した成分(化学物質)を利用する段階を卒業し、ウイルスという「死神の設計図そのもの」を書き換えて、私たちの内なるシステムに組み込もうとしているのです。
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