暴力の祝福――失われた神言 4Days/Day2
失われた神言 4Days
MC:ミライ
技術は、できるようになった瞬間から、使われることを待ち始める。
実験棟の朝
翌朝、ユウは大学の実験棟を訪れ、ミライに黒い本を手渡した。
『エノク書の警告』。
著者は、黒戸聖――くろど・ひじり。
「これ。昨日言ってた、変な本」
本の間には、古本屋でもらったレシートが挟まっていた。
ミライはそれを挟んだまま、第二編を開いた。
「へえ。なんか重厚な装丁…」
ミライはページをめくり、第二編を開いた。
『エノク書の警告』
第二編:アザゼル――知識という武器の商人
アザゼルは、地上へ降りた見張る者たちの中心人物の一人として描かれる。
アザゼルが人間に与えたものは、剣、短剣、盾、鎧の作り方、金属の精錬技術、装飾品、宝石、目を美しく見せる技法だった。
さらに、ほかの見張る者たちも、呪文、薬草、天体の運行を読む知識を人間へ伝えた。
ミライ|え、剣と化粧が同じ章に入ってるの?
まあ、美も武器になるかも……。
つまりアザゼルの罪は、知識を与えたことではない。
人類がその結果を引き受ける準備を持たないまま、力だけを渡したことにある。エノク書は、この知識移転を人類の暴力と虚飾の起源として描く。
武器は殺し合いを加速させ、化粧と装飾は虚栄と欲望を煽り、占星術は人間に「知るべきではない未来」を覗き見させた。知識それ自体は中立だったかもしれない。
だが、与えられ方とタイミングが早すぎた。
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