進化の暴走――失われた神言 4Days/Day3
失われた神言 4Days
MC:サエコ
成長を止められない身体は、やがて自分の居場所まで食べ始める。
川沿いの午後
午後のカフェで、ミライは黒い本をサエコへ差し出した。
『エノク書の警告』。
著者は、黒戸聖――くろど・ひじり。
「次の章、サエコさんに読んでほしいんです」
「大きくなりすぎた子どもたち、だったかしら」
「はい。でも……
たぶん、普通の子どもの話じゃないです」
本の間には、細く折り畳まれたレシートが挟まっていた。
サエコはそれを落とさないよう指で押さえ、そのまま第三編を開いた。
窓の外では、川の向こうに並ぶ建物が、午後の光を静かに反射していた。
『エノク書の警告』
第三編:ネフィリム――肥大した子どもたち
見張る者たちは、天に定められた領域を越えて地に降りた。
彼らが越えたのは、人間の女たちのもとへの距離だけではない。天と地を隔てていた境界そのものだった。その先に生まれたのが、ネフィリムだ。
サエコ|……ミライちゃん。
子どもの話って……そういうこと?
ネフィリムは巨人として育った。
人間が育てる作物では、すぐに足りなくなった。家畜を食らい、鳥を食らい、魚を食らい、やがて人間そのものを食らい、その血を飲んだとエノク書は記す。
彼らは、生まれることを選んではいない。
だが、生まれに責任がないことは、地上を食い荒らした結果まで無罪にするものではない。境界を越えた罪は見張る者たちにあり、食らい尽くした責任はネフィリムにある。
この二つは、別の場所に属している。
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