「Fashion Neurosis」で、カウチに寝そべり1時間話すRMくん②
こんにちは。パクチーです。
RMくんのインタビューをフォローする回の2回目です。
ベラさんがRMくんに、「その存在でもって重責を背負うという風格を十分漂わせているリーダー、RMくんが、その権力を良心的に行使しようとしているのも分かる、それならば、リーダーでいることの孤独はどうやって受け止めてるのか?」という内容の質問から。
1回目はこちら。
元動画はこちら。
ー なぜかというと…あなたは、リーダーとしての重責を背負う風格を漂わせており、その力を良心的に行使する方法も知っています。だからこそ、リーダーであることで感じる孤独について、どう対処しているか、疑問に思いました。
RM:うーん…それは今でも…難しいです。僕はレーベルにとって初めての「グループ」の、最初のメンバーだったので、僕にはチームをチームとしてまとめるという大きな重責を与えられました。でも、僕らはそれぞれ違う都市から来て、違うバックグラウンドを持ち、あまりに異なるテイスト、異なる夢を持っていたんです。多分、僕は、かなり威圧的で権威を誇示する権力的なタイプのリーダーだったと思います。でも、最初の8年くらいでチームが大きくなり、メンバーそれぞれが独自の名前でキャリアを持つようになると、それではうまくいかなくなってしまった。もちろん彼ら自身が大変成長したからでもあります。そこから僕は、コミュニケーションの方法を変えました。リーダーというのは例えていうならこんな感じです。全員がカウチに寝そべっているんだけど、窓が開いているせいで寒い。誰かが閉めに行かなければならないんだけど、皆んな気持ちよくカウチに寝そべっているものだから、そんな煩わしいこと誰もしたくない。たった一人でいい、誰かが立ち上がって、カウチから数歩歩いて戸を閉めるなら、僕は、それはリーダーがすることだろうと思う、チーム全体のために。それだけのことなんです。笑
ー 笑。それは偉大なことではあるでしょう?
RM:まあ、そういう状況もあるかも。
ー あなたは、ソファという心地良い場所を失うかもしれないリスクを分かっていながら、窓を閉めるために立ち上がれる人なのね。それは、とても勇気と自信があるからこそできる振る舞いだわ。
なかなか鋭い質問をしてくださったベラさんにも脱帽なんですが、こんな短い文章で、彼の13年間のリーダー歴を、よく伝わるようにお話しできるRMくんもすごい…。よくよく考えてみてくれ。やる気いっぱいの、エネルギーいっぱいの、それぞれ違う方言の、思春期反抗期真っ只中の中・高生、男子ばっかりを、親からも地元からも離して、ぎゅうぎゅう詰めにして一緒に住むのだ。それを「ちゃんとさせとけよ」、と、ずっと言われ続けるRMくんの重責たるや。年齢による上下関係が厳しい韓国だから、彼が年下の子達に威圧的で権力的だったとして、まあ、韓国カルチャーの中では普通のレベルかもしれないし、自分より年上のチームメイトにRMくんは一方的に「威圧的で権力的だった」のかというと、「ほどほどだったろうなあ」と、今の関係性を見ながら思う。でもそういう生活レベルの話じゃなくて、音楽性や、チームとしての方向なんかで、彼が「威圧的で権力的」に、自分の考えを隠すことなく主張して、皆んなに自分に協調してもらえるように働きかけていたのが最初の8年間だったとしたら、彼のクレバーさや、配慮や、倫理観は、BTSが今のようになるまでには圧倒的に必要なものだったのだと思うし、8年前当時のBTSの、あのレベルの視野の広さと精神性の高さは、RMくんによって作られたものなのかもしれない、と思って、なるほどなあ…と思った。
彼のすごいところは、メンバーたちの自立に合わせて、意識して、意図的に方法を変えたところですね。こ、これは…子育て論と一緒ですね…!手を離す時がきたら、離さないといけない。そして自分の管轄を矮小化させなければならない。結果、それは威圧と権力的の最も遠い部分に集約される…という、威圧と権力の最も対極、「母の愛」的、リーダー論……!「なんか寒いわね、戸を閉めなきゃ」というのは、母の愛でしょう。
ベラさんは、RMくんと、これだけの会話だけで、彼の行動の背後にある本質を汲み取り、かつ非常に的確に説明してくれて、「頭のいい人はいいなあ…」という気持ちでいっぱいになります。RMくんの行動論理は、子を守る母、そっくりそのものですが、権威も権力もある男性がそれをやるとなると、そこには自尊心を上回る勇気と自信が満ちている必要があるのだ。権威も権力もある男性が、自分の赤ちゃんのお世話なんかを丁寧に、大切にやっているのを見ると、その人は勇気と自信が満ちている人なのだ…そうだ…きっとそうなんだろうと思うわ…。
RM:リーダーというのは多分、基本的には面倒臭いものだと僕は思うけど、僕は、他の誰かにやらせるわけにはいかなかったんです。誰かがやらなきゃいけないなら、それは自分であるべきだと思ったんです。それに、他の人がやっているのをただ見ているだけでは、それが思惑通りに進まなかったら、もっとストレスが溜まるかもしれない。それが理由だと思う。
ー ええ。
RM:それに時々、「あなたの努力は分かっている。僕はあなたのようなリーダーがいて幸運だ」と言ってくれる、それで僕のストレスは吹き飛ぶんです。それが、このチームの美しいところです。
ー そうなのね。あなたがいかにやりこなしているかが分かりますね。
RM:ええ、もう15年彼らと一緒に生きてきて、文字通り人生の半分を6人のメンバーと費やしてきました、僕らは7人いるから。大抵は4人でしょう?僕らの場合、7人ですから。
ー すごいわ。
RM:ラッキナンバー。
ー そうね。
RM:多すぎるけど。笑
ー とても素敵です。
ううっ…我らがリーダー…。でも他の人にも任せておけん!ってのが、ちょっと救われますね…適材適所ですものね…「ありがとう」大事…。
ー あなたのソロアルバム『Right Place, Wrong Person』において、あなたはウィン・シャと一緒に仕事をしましたね。
RM:ええ。
ー 彼はウォン・カーウァイとも仕事をしている伝説的なフォトグラファーです。彼の照明技術とフレーミングは、明らかに非凡な人物であるあなたを、まるで普通の人のようにして提示しました。そして、皆んな、愛の雰囲気を感じるファッションに夢中になったわ。とてもロマンチックでメランコリーな選択だった、あなたは、そういう内省的な気分が心地よいものですか?
RM:そうですね、このアルバムはこれまでで一番気に入ってます、一番最近の作品だし。笑
ー 笑
RM:気づいてくださって嬉しいです。
ー とても美しいし、写真も美しかったもの。
RM:僕はとにかく、自分のいる場所から逃げようとすることに懸命になっていました。自分の役割と、スケジュールをこなすだけで忙しすぎる、というのが言い訳で、あれこれ掘り下げたり、外の素晴らしいアートの世界について勉強したりするのが億劫になってきてしまったのが、自分で分かっていたんです。僕は兵役に就く直前にこのアルバムの作業をしていましたが、ただひたすら遠くへ逃げたかった。ウィン・シャは…誰もがウォン・カーウァイの映画を好きだと思いますが、興味深いことにZ世代やα世代にすらファンがたくさんいるんです。これは彼が独自の世界観を確立させていることの証明ではないでしょうか。あの頃、僕は、とにかく静まって、いつでもどんなときも神経質になりすぎないでいることに、ひたすら意識を集中していました。音楽業界も、チームのリーダーでいることも、僕にたくさんのものを与えもしましたが、奪われたものもたくさんありました。
ー ええ。
RM:その中の一つが、いつでも「上手くやらなきゃ」「上手にやりたい」「いつもベストを尽くさなきゃ」という思いに板挟みになっていて、いつでも、生きてる間中ずっと、体から緊張が抜けることがなかったんです。僕はそれを緩めたかった。そして、僕と、僕のチームは、「ウィン・シャは、僕を別の世界へ連れ出してくれるような、素晴らしい作家ではないか」と考えたんです。
ー まあ。
RM:なぜかというと、僕は、彼が画角や、物の配置に非常にこだわった切り取り方をするんだと思い込んでいたんだけど、彼はカメラを掴むと、実に無造作に、一瞬で撮るんだ。
ー 本当に?すごい。
RM:彼と仕事をするのは、僕にはすごく新鮮な体験だった、髪型も坊主だったし。笑
ー それは驚いたわ。あの、プールで光が当たってる写真があるでしょう。彼は、あなたの内面をもっと晒すことができるんだと感じたわ、他の写真についても、あなたについてもっと深く知れたような気がした。とても深みを感じる作品だったから。
RM:そう言ってもらえてとても嬉しいです。彼もあれを気に入ってました。
ー なんというか、精神とか創造の魂と語り合っているみたいで。
そのプールの写真とはこちらの写真ですね。

ぜひ、大きな画角で見てもらった方がいいですね。ウィン・シャさんの手がけたRMくんのアルバムフォトワークはこちら。
そして、彼にフォトグラファーをお願いする以前に、ドイツの雑誌で一緒に仕事をしていたんですね。それでシャッターをラフに切ることを知っていたんですね。2024年のRMくんのインタビューが読めます。し、知らなかった…。
はあ…。しかし。彼の話、すごく辛くて泣けてくるね…。舞台の仕事の、ずっと体が戦闘モードに入りっぱなしで、そのモードが切れないの…。そういうお仕事は他にもあると思いますが、彼が業界に入った年齢とか、リーダーであることで自分が自分にかけた負荷とか、持ち前の気質とか、音の洪水とか、光の洪水とか、0.1秒のシビアなコントロールが必要なこととか…。精神にかかる圧迫と、五感にかかる圧迫とが、自分のキャパを超える圧倒的な量でのしかかる。
しかし、「もう切っていんだ」「今は必要ないんだ」と、彼が自分で理解したことがすごいですね。ウィン・シャさんが、仕事の、全然違う成立の仕方を目の当たりにさせてくれた。使ってる脳の経路が別系統って感じの人なのでしょうな…。「え?それでいいの?」ってなって、「こっちの経路使ったら、プロセスが30必要だったのが1個になるの?」って、彼が、それでちょっと楽になったんだったら、いいなあ…。…まあ、しかしジャンルが違うからこそ、プロセスをすっ飛ばして作品が成立するわけですが。だって、多分、アイドル写真としては、「違う」ってファンも、きっと、おられるでしょ?
パクチー的には、「アイドル写真よりよほどエロいが…いいの?」です。だからベラさんの言う「ラブ」と「ロマンチック」と「メランコリー」でグラスは溢れました。完全同意です。
RM:あの場所は廃墟って感じの古いホテルで…。
ー そうなの。
RM:ええ。多分、売りに出されているんだけど、まだ売却されてなくて、ただ数日間、撮影場所として使ったんだと思う。なんだか屋根裏部屋みたいな、とても奇妙な場所でした。
ー まあ。素敵。
RM:彼はベテランなので、僕が伝えたかったぼやけた概念や物事を、アルバムの『Right Place, Wrong Person』というタイトルから捉えたのかもしれません。
ー ええ。
RM:なぜなら、僕は多くの人が、2026年には自分自身をそのように考えるんじゃないかと思ったんです。例えば会社にいて、自分だけが場違いな人間だと感じる。こんな風に考えるのって、自分だけなのかな?こんな風にやってるのって自分だけなのかな?僕は、全ての人が、「正しい場所にいて、自分だけが違っている」という気分を味わう経験をするんじゃないかなと思ったんだ。もしくは「自分は正しいのに、この場所は間違ってる」とか。
ー そうね。部外者であるという感覚は、多くの人々が話題にしますね。
RM:これは孤独についての話なんです。これ以上ないくらい密接に、携帯やメディアで繋がってることと、人々が抑圧され、孤独でいることとの間には矛盾がある。それがますます顕著になってると思う。
ー その通りね。あなたの芸術への造詣の深さには絶えず驚かされるのだけど、あなたはキム・ゴードンの「Bye-Bye」をインスタグラムで使っていたわ、私も大好きなの。
RM:彼女は「ファッション・ニューロシス」に出演していましたね。
ー ええ、そうなの。
RM:彼女が世界一クールな…おばあちゃんだって皆んな思ってると思うけど…。
ー 笑
RM:彼女を「おばあちゃん」と呼ぶのは気が引けるけど、すごくカッコいい方です。
ー そうよね。私も彼女が好きで、パンクが好きで、世代的なものもあるけど。もし彼女のような、あの独特の緊張感を体現している韓国人歌手がいたら、教えて欲しいわ。
RM:すごく強烈で、緊張感のある?…No Brainかな。
ー No Brain。
RM:笑。何が言いたいか分かるよ。バンドの名前が「No Brain」なんだ。今も活躍する、キム・ゴードン的な…「おじいちゃん」みたいな感じかな。あとはキム・チャンワンという方もいます。「サヌリム」というバンドをやっていて、英語だと何というのかな、「山のこだま」という意味のバンドに所属しています、キム・ゴードンのソニック・ユースみたいな感じです。とてもサイケデリックなんだけど、確実に韓国史上最高のアーティストの一人だと思う。だから僕はあなたに、No Brainと、キム・チャンワンを勧めます。
ー わかったわ。調べてみるわね。楽しみだわ。
キム・ゴードンさんは、ソニック・ユースという伝説的なバンドのベース兼ボーカルをしていました。皆んな皆んな「ソニック・ユース」言うてた記憶がある。なぜあの時代、彼女がアイコニックだったか、言わんとすることはよく分かる。でもパクチーは通らかなったんだ。X-girl(彼女が日本のブランドと創立した)も着ないしな。No Brainとサヌリム(산울림 / Sanullim)、ちろっと聞いてみました。
RMくんが、ちゃんと自国の音楽に造詣があるので、こうやって世代が違っても、あるいは国や文化が違っても、本質的な音楽の話で盛り上がれるのが、真の交流って感じがします。羨ましいな。自分が自分の国の音楽をちゃんと聴いてないから、「あなたの国に、キム・ゴードンと似た雰囲気のアーティストはいる?」って聞かれても出てこない。まー聞かれないから、大丈夫なんですけど。
しかし最近思うんですが、世代間のギャップって、どんどん広く、細かく分断されて、相互に分かりあうことが、歳が離れてるほど難しくなってるじゃないですか。そのうちA.I.ネイティブも出てくるでしょうし。若い人から見たら、中年は「はあ?意味わかんない。使えなさすぎる。ありえなくね」って感じかも知れません。でも、東京から瀬戸内の島やってきて住んでると、「変えるべきでないものを変えなかった」のは、上の世代です。変わらなかったものは、手入れをし続け、努力して守られてきたからそこにある、と思うと、リスペクトが、世代間を繋げられるようになるんじゃないかなあと、彼らの会話で思いました。
なんだかこのあたりから、RMくんがするするしゃべるような印象になりますね。
ー あなたは、芸術や絵画、彫刻に対して、洗練された趣味をお持ちですよね。フィリップ・ガスティンとジャコメッティが好きだと読みました。そしてご自宅には素晴らしいコレクションをお持ちで、そのほとんどは韓国美術作品ですよね。あなたを美術好きにさせた最初の作品は何ですか?
RM:ツアー中だったかな?僕らはツアーに出ると、外にたくさんのファンがいたり、過ごしたいように過ごしたりができないので、外出できない時があります。2018年の僕は、それはもう退屈していて、何をすることもできなかった、買い物に行くか、部屋でゲームをする以外に、何も知らなかったんです。メンバーの中でVという人が突然思いついたんです、「僕たち美術館に行けばいいじゃないか」。僕は「はあ…美術館?退屈なだけじゃない?」って感じでした。僕は美術館に行くような男じゃなかったんだけど、何もすることがなくて退屈してたから、とにかく行きました。そこで、モネや、ゴッホや、スーラを見ました。もちろん、学校で、本で見たから、名前だけは知っていました。でも、実際に実物の絵画を自分の目で目の当たりにするのは、文字通り、初めてのことだったんです。僕が思うに、印象派は今も、アートの門外漢にとって、最も大きく開かれた入口になっているんじゃないかな。
ー ええ。
RM:モネや、ゴッホ、スーラが僕に扉を開いてくれた。そこからどんどんのめり込んでいって、今だと僕の好みはもう少し複雑だったり、入り組んだものなんだけど、きっかけになったのは、それでした。
ー 小さい、ウーゴ・ロンディノーネの彫刻を持っている動画がありましたよね。
RM:ありましたね。
ー あれが好きです。彼のニューヨークの家へ行ったことがあるんです。
RM:そうなんですか!
ー いたるところに変な彫刻がいっぱいあるの。とても面白かったわ。
RM:僕は、彼がただ岩に色をつけたやつが好きです。
ー ええ。
RM:あと、ただねじれているやつが。アートは自分の持っている認識や、世界の捉え方を、広げさせてくれますよね。色をつけられた岩を見た後、自然の山とか岩を見ると、彼が僕をひねって、これまでと違う見え方ができるようになってると感じる。そういうところが好きです。
ー ああ、とても素晴らしいわ。
ウーゴ・ロンディノーネ(Ugo Rondinone, 1964年 - )の、色のついた岩はこれですかね。RMくんも写真撮ってましたね。

ねじれてるやつとは、こちらでしょうか。『we run through a desert on burning feet, all of us are glowing our faces look twisted』というタイトル。
画像はシカゴ美術館に置いてある作品です。

「ただねじれてる」と言う作品がこれ(↑)なのか自信がないんですけど、「twist」と言っていて、作品タイトルにも「twist」が入ってるので、そうなんかな。中国にある太湖石という、水が自然に穴をあけたり削ったりしてできた自然石をスキャンして拡大して、作品にしているそうです。RMくんが、これらの作品を見てから現実の岩を見ると、視点が「twist」されると言ってますから、インテリジェンスに満ち満ちた会話ですね!
ー あなたは空港ファッションについて話していて、「人々は私がいつも何か新しいものを着ていることを期待している」と言っていましたよね。ところで今一番お気に入りの空港ファッションは何ですか?
RM:う、う〜ん…。空港ファッション…。
ー いい表現ですよね。
RM:ええ。空港ファッションかあ…何かあるかなあ…。それを最初に言い始めたのは12年前のことだと思います。2013年か2014年くらいかな。タイラー・ザ・クリエイターや、フランク・オーシャンといった集団を知って、すごくカッコよくて、あこがれたんだ、彼らの雰囲気も好きで。でも当時はそんなにお金がなかったから、GOLF WANGのTシャツだけ買ったんです。その頃の写真を見ると可笑しいんです、ピンクのドーナツが描かれた靴下と、Tシャツ。でもなんか、それが良いんですよ。僕に、若くてピュアな時があったことを教えてくれるので。と、同時に、もし、すご〜く嫌いなものがあったら、それって好きの変化形なんだなあって。
ー 笑。ええ、本当にその通りだわ。
RM:ただ嫌いなだけだったら、興味も持たないはずだから。
ー 特筆すべき視点だわ。そこには必ず内包されているわよね。
RM:そう、だから僕の一番のお気に入りなんです。ピンクの靴下。皮肉なんですけど。
ー 落ち込んでいる時に、これを着れば必ず気分が上がるという服はありますか?
タイラー・ザ・クリエイターや、フランク・オーシャンは、ラッパー、R&Bのミュージシャンで、かつ多方面に渡ってクリエイター活動をしており、アパレルも手かげている。GOLF WANGはタイラー・ザ・クリエイターのブランド。RMくんは二人を、当時の「our future」って言ってたので、「自分もそんな風になりたい」と思ったりしたんですかね。RMくんがアパレルやってくれたら、欲しい!けどな!買いたい!買えんか!高そうだな!

話題に上がった空港ファッションはこちらです。彼的には黒歴史だったんでしょうか。でも、つくづく思うけど、このnoteの①でご紹介したリック・オウエンスさんの「ファッション・ニューロシス」を見た時にも思ったんだけど、自分の痛い痛いコンプレックスや、悔いや、恥ずかしいことなど、さらっと明るく、淡々としゃべれる男…大人の…なんとかっこいいことか……。
穏やかな海の前に佇むような、広い感謝の気持ちに包まれる感じがします。泣けてくる。
RM:韓国だけの言い方かもしれませんが、僕とか、僕の友達とかは「丘」って言います。僕にも僕だけの「丘」がある。僕は、自然は最高のセラピストだと思っていて、韓国の国土は70%が山なんです。だからどの街へ行ってもハイキングができる。山や、川や、海…韓国には海もあります。そういうものは、僕には教師であり、セラピストでもあるんです。友達と言ってもいいかな。僕は自分を好きになれない時がある。人間関係にこだわりすぎている時とか…。「ちょっとの間、ひとりきりになった方がよくない?」って、いつも自分に聞くんです。いつもいつも話し相手が、旅行をする相手が必要なわけじゃないだろう?1週間だけでも、ひとりきりになってみたら?…というのも、僕は、何もしないでひとりきりでいるというのは耐えられないんです。友人達だけが全てだと感じる時がある。あるいは家族だけが。
ー ええ。
RM:アート…もちろん音楽も、建築も、本も、絵画も、いつでも頼ることのできる「丘」はたくさんあります。そして、ここが重要な点なんですが、最終的に、僕が弱すぎるんだということに、最後の最後で気づくんです。そのためにそういう「丘」が必要なんです。
ー そうね…。弱さや、人々が弱さと呼ぶものを認めることで、得ることができる強さというものがあると思うの。でもモードが違うだけで、私自身は、深く沈み込みすぎないで、また浮上できる範囲にいる限り、それは別の居場所なんじゃないかと思うのよ。
RM:そうですね。強くあるためには、自分の弱さや、欠点や、不完全な部分を解剖することから始めるしかないでしょうね。僕には不完全な部分が多すぎる。笑。
ー 笑。あなたは自分に対してそんなに厳しいのね。
RM:多分、僕が韓国で育ったからでしょうか。韓国はなかなか苛烈な国ですから。でもこの矛盾する点が、まさに今の韓国の実績を作ったんです。
ー ええ。
RM:だから愛してもいる。でも同時に憎んでもいる。笑
ベラさんは、気分の上がる「certain garments(特定の服)」と質問したんですけど、RMくんは、服について答えませんでした。正直パクチーは「certain garments」って、全く聞き取れなかったので、RMくんが勘違いしたか、もしくはアンバサダー関連で答えられないので、「特定の服」を避けた返答をしたのか…。しかし、会話は素晴らしい内容だったので、どっちでもええ!彼の…声が…声が…癒されます…。
ここの彼の話を、韓国の地で、「BTSのリーダー」という圧倒的な冠から、決して自由になれないRMくんの心情に寄り添って話を聞くと、彼がおくびにも出さない心情に、ものすごーーーくたくさんの複雑なものを抱え、日々対峙しているんだな…という気持ちになった。友達と家族だけが自分の全てに思える時。それはニュートラルってことですよね。利害関係がない。そのくらい、それ以外の、全ての人間関係に付随するエネルギーが、強大で強烈すぎるんだと思う。
ベラさんは、ご自身の経験と合わせて、「弱さ」や「弱い」とされることは、放っておいてもいいんじゃないかと言っている。ダウナーモードの自分も、気質の一部で、そういう日があってもいいし、そういう時もあって、それが自分の自然体だと。対してRMくんは「弱さ」を問題だと捉える感情が少しある。それは韓国の国民性だと、ジョークみたいな感じで言いました。言われてることは分かるけど、自分はそうあれないのを分かって欲しい、と言う時、誰も傷つけないし、ユーモアもあって、かつとても効果的なアプローチだと思った、見事です。かつ、実際、根本的なマインド設定として、それはありえるだろうなと思います。
でも、もう少し、RMくんの言いたい弱さは、一般的な弱さとは違うのかも知れないな…という気もしました。もしかしたら、もしかしたらだけど、彼はもっと、他人とコミットしたい人なのかな。他者に対して、期待があるんじゃないかな。彼がアート作品と感応するみたいに、目の前の人間と、もっとディープに感応して、そこから展開するものが見たいのに、皆んなそれほど自分の中をディープに掘ってない。あるいは、アクセスしてほしくない。相手の扉が開かず、閉ざされる感じに、RMくんは人間関係に期待する気持ちがしぼむ、その心細さに、アレルギーみたいな感じで、受け止めきれなくなる時があるのかな…。などと想像しました。
それでは、続きは次号に。
またお会いしましょう!
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