【映画】「殺し屋1」感想・レビュー・解説

なかなかムチャクチャな話だった。ストーリー的には「???」って感じだったが、映像(ってか、暴力)はなかなかの存在感で、見応えはある。

さて、普段なら絶対観ないようなタイプの映画なのだが、本作を観ようと思った理由がある。少し前に『チェイン・リアクションズ』を観たことがきっかけだ。

これは、『悪魔のいけにえ』という映画に影響を受けたというクリエイターら5人へのインタビューで構成された作品で、その1人として、本作『殺し屋1』の監督である三池崇史も出演していた。で、「観客に痛みを感じさせる映像を撮るようになったきっかけは、『悪魔のいけにえ』の影響画大きかった」みたいな話をしており、実際に『チェイン・リアクションズ』の中で『殺し屋1』の映像が流れるのだ。

その時には『殺し屋1』という作品名は知らなかったのだが(小さく表記されてたとは思うけど)、浅野忠信演じるヤクザの存在感は印象に残っていた。で、そのすぐ後に「『殺し屋1』の4kリマスター版の上映情報」を目にしたので、「これも何かの縁だろう」ということで観てみることにしたというわけだ。

最初から「ストーリーがあるような作品じゃないだろ」と思っていたので、だから「ま、そうよね」みたいに思っていた。マンガ原作らしく、おそらくマンガの方ではもう少しストーリーが伝わるように構成してると思うのだけど、映画はその辺りのことは大分省略することにしたのだろう。鑑賞後にウィキペディアを見て、「なるほど、そういう設定なのかー」みたいに思う部分は多かった。

というわけで、本作のメインは「暴力描写」と言っていいと思う。で、その部分はなかなかのものだった。本作に出てくる「殺し屋」がちょっと特殊な殺し方をするせいで、彼が事を起こすと血塗れ、臓器塗れになる。血もブワブワ吹き出すし、もうメチャクチャである。

しかも、浅野忠信演じるヤクザは、「可愛がってもらっていた組長が3億円と共にいなくなり、まだ生きてることを信じて新宿中を探し回る」のだが、その過程で果てしない拷問を繰り返す。まあその拷問も酷いもので、「ムチャクチャマンガ的だなぁ」と感じるような拷問もたぶん原作のまま再現してて、なかなか圧巻だ。

中でもムチャクチャなのが、「背中の皮膚に何本もフックを差し込まれ、そのまま吊られてるシーン」だろう。よくこんなシーン再現したものだなと思う。で、まさにこのシーンは、「『悪魔のいけにえ』のあるシーンに直接的にインスパイアされたもの」である。

「真っ二つになる場面のCG」とか、これが当時の予算内の限界だったのか(『チェイン・リアクションズ』の中で、「低予算だけど自由に撮れる時代があったから良かった」みたいな話をしていた)、あるいは敢えて雑っぽくやったのかよく分からないが、「そうはならんやろ」って感じで面白かったし、他にも色々、「ツッコミどころ満載って感じなんだけど、本作の雰囲気的にはアリか」みたいなシーンがもあって、遊んでるなぁって感じだった。

しかしホント、大森南朋がなかなかぶっ飛んだキャラクターを演じてて、浅野忠信のヤクザと匹敵する存在感だったのは良かった。どうでもいいけど、若い頃の大森南朋が安住アナに似てて、最初ちょっと混乱した(笑)

あと、これは全然記憶違いかもしれないが、以前歌舞伎町でやってたChim↑Pom主催のアートイベントで、ピエール瀧他何人かが映画についてのトークイベントをやってて、その中で、「昔の歌舞伎町で映画の撮影とかするのはホント大変だったけど、三池崇史監督は誰に何を言えばどうなるかを熟知してたようで、だから歌舞伎町での撮影も出来た」みたいな話をしていた気がする。で、その話をしてる時にスクリーンに流れてたのが、『殺し屋1』の中で浅野忠信率いるヤクザが歌舞伎町の町を闊歩する(手塚とおるが靴に釘を刺された直後の)シーンだったような記憶がある。まあ、僕は記憶に自信はないから保証は出来ないけど、「TOHOシネマズが出来る前の歌舞伎町はヤバい場所だった」ってのは確かだから、何にせよよく撮影できたものだなと思う。

最後に、エンドロールがぶっ飛んでて、「よくこれでOKが出たな」って感じだった。読ませる気がまったくない(笑)。まあ、これぐらいふざけてる感じは良いなって思うし、こういう「誰かに言いたくなるようなエンドロール」って小ネタとしてはいいんじゃないかなと思ってる。

というわけで、「縁があった」というだけで観に行ったので特に期待もしてなかったし、だから悪くない印象で観れたみたいなところもあるかもしれない。人に勧めるかと言われるとそんなこともないが、暴力的な描写を観たい人にはいいだろう。


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