文徒ジャーナル vol.231
Index------------------------------------------------------
1)石川陽一の「記者迫害」(花伝社)が活写する共同通信の「闇」
2)商業新聞に勝る政党機関紙「赤旗」の「政治とカネ」取材力
3)民放が音を上げた超高精細映像の衛星放送「BS4K」
4)毎日出版文化賞が決まった
5)講談社、ハリウッドに制作会社を設立。主体的に実写・アニメを?
6)日経「サナエ流」炎上が示す、SNS時代の読解力危機
----------------------------------------2025.11.4-11.7 Shuppanjin
1)石川陽一の「記者迫害」(花伝社)が活写する共同通信の「闇」
花伝社は石川陽一の「記者迫害:崩れゆくジャーナリズムの現場から」を刊行している。花伝社は公式ホームページでこう紹介している。
《「忖度」と「保身」のはびこる報道機関に、明日はあるのか?
若手記者による渾身の著作が、オーナー企業の名誉を毀損した——無理筋のクレームを受けた会社は、彼を守るどころか“生贄”にして事を収めようとする。
ジャーナリストとしてのプライドを賭け、巨大組織と徒手空拳で対峙した著者が見た、この国の報道機関の実態。
止まらない“オールドメディア” の失墜、その本質に迫る》
https://www.kadensha.net/book/b10146447.html
石川は現在、東洋経済新報社に属しているが、元共同通信記者。花伝社の公式ホームページに公開されているプロフィールによれば、共同通信時代に「海星高いじめ自殺問題を巡る一連の報道」で2021年度の新聞労連ジャーナリズム大賞・疋田桂一郎賞を受賞し、2022年に「いじめの聖域——キリスト教学校の闇に挑んだ両親の全記録」を文藝春秋から出版し、日本ジャーナリスト協会賞などを受賞するも、同書で長崎新聞を批判したことを契機に記者職から外されている。石川は、これに対抗して「言論の自由」の侵害を訴え、東京地裁に提訴。23年8月に東洋経済新報社へ移籍し、電子部品や物流業界などを担当する。
https://www.kadensha.net/author/a10103820.html
こんなポストも発表されている。
《共同通信は石川陽一氏の著書『いじめの聖域 キリスト教学校の闇に挑んだ両親の全記録』が2022年11月に発売された直後から、石川氏を追及
いじめによる高校2年生の自死をめぐって、学校を県がかばい、県を地元紙の長崎新聞がかばった。この構図を著書で批判したら「長崎新聞の名誉を毀損した」と責めた》
https://x.com/misoranokinone/status/1963931992749416615
石川陽一自身が「X」で「記者迫害」を次のように紹介している。
《【実話】巨大マスコミ企業が、自社の若手記者を「金主への忖度」で抹殺した! ある高校生のいじめ自殺を追及した著者。すると、所属先に「オーナー会社」から猛クレームが入り——。
朝日や読売を超える発信力の大メディア、共同通信社の闇を暴くノンフィクション。》
https://x.com/y_ishikawa_j/status/1982104164391170336
「とある高校教師S」が石川のこの投稿にリプライしている。
《共同通信の記者が会社から許可を得て、長崎のいじめ事件を文藝春秋社から書籍化したところ、書籍中で批判された長崎新聞社から共同通信に苦情が来て、記者が共同通信を追い出されて裁判になってるという話。力関係がよく分からないんだけど、共同通信が記事を配信しなくなったら長崎新聞が困るのでは?》
https://x.com/hellohellock/status/1984241963550626179
石川陽一がこの疑問にこう答えている。
《共同通信は一般社団法人で、加盟社と呼ばれる全国の地方新聞が運営資金を負担しています。その1社である長崎新聞は株式会社でいうところの「株主」や「オーナー企業」に当たります。詳しくは拙著『記者迫害』をご覧ください。》
https://x.com/y_ishikawa_j/status/1984246931699405119
2024年11月創業のひとり出版社「四六社」がポストしている。
《ブックファースト中野店にて『記者迫害』(石川陽一/花伝社)を買い、一気に読了。高い志をもった有能な若い記者が、自身が所属する会社から理不尽に責め立てられる様子に暗澹たる気持ちになる。組織は「忖度」と「保身」でここまで腐ってしまうのか。メディア関係者必読。》
https://x.com/shirokusha/status/1978425025276289394
2)商業新聞に勝る政党機関紙「赤旗」の「政治とカネ」取材力
「政治とカネ」報道を日本共産党機関紙の独壇場にして商業新聞の記者たちは何も感じないのだろうか。日共は調子に乗ってデイリースポーツに「赤旗砲」とおだてられたことを喜んでいる。赤旗電子版は10月31日付で「維新共同代表 公金2000万円還流 日曜版特報に反響」を掲載している。
《「しんぶん赤旗」日曜版(11月2日号)が報じた、日本維新の会の藤田文武共同代表(衆院大阪12区)をめぐるスクープが大きな反響を呼んでいます。メディアも「自維連立に衝撃 維新トップに赤旗砲『重大疑惑』」(デイリースポーツ29日配信)と報じました。》
https://www.jcp.or.jp/akahata/aik25/2025-10-31/2025103101_03_0.html
https://www.daily.co.jp/gossip/2025/10/29/0019647939.shtml
朝日新聞デジタルは10月31日付で「維新・藤田共同代表側の団体に『公金還流』報道 藤田氏は反論投稿」を掲載している。
《「しんぶん赤旗日曜版」(29日配信・電子版)は、日本維新の会の藤田文武共同代表側が2017〜24年の約7年間に、自身の公設秘書が代表を務める兵庫県内の会社にビラやポスターの印刷などの名目で、約2千万円を支出していたと報じた。大半が調査研究広報滞在費(旧文通費)など公金を原資とする資金で、同社は藤田氏の秘書に年間720万円の報酬を支払っていたとして「公金が還流した構図」と伝えた。》
https://digital.asahi.com/articles/ASTB00PSYTB0UTIL007M.html
こういう記事を書いていて朝日の記者は情けなくならないのだろうか。
赤旗電子版は10月31日付で「赤旗日曜版編集部の藤田事務所への質問全文」を掲載している。
https://www.jcp.or.jp/akahata/aik25/2025-10-31/2025103106_02_0.html
紙版のこの記事を掲げ有田芳生がポストしている。
《徹底した取材です。たいしたものです。「赤旗」10月31日付け。》
https://x.com/aritayoshifu/status/1984185921596703080
有田にしてもそうだし、紙屋高雪にしても、松竹伸幸にしてもそうだけれど共産党を捨てきれていないのだろうな。
藤田文武はYouTubeなどで赤旗に猛反論。こうポストしている。
《先日のしんぶん赤旗の記事について、Xで反論と解説をさせていただきましたが、長文でしたので、動画で改めて発信させていただきます。
加えて、連休明け火曜に定例会見にて改めて説明させていただきます。
【緊急配信】しんぶん赤旗の記事について》
https://x.com/fumi_fuji/status/1984664367993135540
これが配信された動画。
https://www.youtube.com/watch?v=un_ybt1LVVQ&t=2s
毎日新聞デジタルは10月30日付で「『維新・藤田氏側が秘書の会社に2100万円』赤旗報道 藤田氏『適法』」を掲載している。
《・・・藤田氏は30日未明、X(ツイッター)に「実態のある正当な取引で、専門家にも相談の上で適法に行っている」などと反論した。共産党の田村智子委員長は30日の記者会見で「疑惑に直接答えているのか。赤旗が問題にしているのは税金の還流だ。その指摘に対する答えが必要」と述べた。》
https://mainichi.jp/articles/20251030/k00/00m/010/249000c
産経ニュースは10月30日付で「橋下徹氏が『公金還流』報道で藤田文武氏を批判『外形的公正性』赤旗に徹底解明求める」を掲載している。橋下のポストに全面的に依拠した記事である。
《橋下氏は「これ、藤田氏側の会社(藤田氏の公設秘書が代表を務める会社)に実費分以上に利益が発生していたら政治家として完全にアウトだろう。まさに政治家による公金マネーロンダリング」「こういう疑いを持たれないように、こういう事態を事前に避けるのが『外形的公正性』という概念」と指摘。
「外形的公正性という概念を確立し、そこから徹底的に公金の流れを改める大阪改革があって今の維新国会議員が当選したのに。もはや維新には外形的公正性の概念を藤田氏に教えることができる人材はいなくなったのか」と嘆いた。
さらに「赤旗にはここを徹底的に解明して欲しい」「赤旗は藤田氏側の会社の利益関係に関する資料をなんとか入手して欲しい。藤田氏も疑義がないなら堂々とその資料を開示すべきだ」とし、公正な報道と政治家としての説明責任を求めた。》
https://www.sankei.com/article/20251030-622HFHEAXFCWDCRLF2IMM4K3EY/
結局、毎日新聞デジタルは11月2日付で「疑惑報道受け公設秘書側への発注中止 維新の藤田文武共同代表」を掲載している。共同通信の配信記事だ。
《日本維新の会の藤田文武共同代表は2日、自身のユーチューブで、共産党の機関紙「しんぶん赤旗」日曜版による税金還流疑惑報道を受け、公設第1秘書が代表を務める会社へのビラ印刷などの発注を取りやめると表明した。一方、適法だったとの認識を重ねて強調し、4日の記者会見で詳しく説明するとした。》
https://mainichi.jp/articles/20251102/k00/00m/010/164000c
橋下徹が指摘している記者会見での確認ポイントはこういうことになる。
《(1)藤田氏の身内企業への公金投入額と、身内企業から実際の業務を行った業者へ支払われた額の差額。これが身内企業の利益額になる。
身内企業が受託した金額について単価等が適切だったかどうかが問題ではない。
その身内企業が次の業者にいったいいくらで発注をかけたのかが問題。
身内企業から次の業者への発注額を抑えれば抑えるほど身内企業は利益を得ることになる。
身内企業が藤田氏から受けた額が適切だったかどうかでではなく、その身内企業から次の業者にいくらで発注をかけ、いくらの差額を得たのかがポイント。
(2)藤田氏の身内企業の業務内容。ビラの企画等は、秘書業務の範囲内で、普通は国から支給される秘書給与で賄われるはず。秘書が企画して(場合によっては他のプランナーと共同で)、印刷業者等に発注するのが普通の形。秘書が秘書給与以外に選挙事務に関して報酬を得ることの当否。
(3)藤田氏の身内企業から、印刷業者等に発注をかけた場合、当然印刷業者等は利益を乗せる。これは正当な商取引行為。そこにさらに藤田氏の身内会社が利益を乗せていれば、利益の二重計上になる。
(4)藤田氏の身内企業が利益を得ていないというなら、なぜ直接印刷業者等に発注しなかったのか。なぜ政治資金収費報告書の対象外となる身内企業を間に挟んだのか。
(5)年間200万円ほどの発注額についての認識。藤田氏は200万円程度の金額と軽く考えている節がある。
これは高いの低いのか。
物価高にあえぐ中小零細企業・フリーランスは200万円の仕事を受けるために必死になっている現状についてどういう認識なのか。
(6)維新は、今後もこのように身内企業を間に入れる取引を容認するのか。禁止にするのか。
身内企業は政治資金収支報告書の対象外。
今後もこのような取引を容認し、身内企業へ公金が投入されて公金マネロン疑惑が生じれば、毎回今回のような説明を行うのか。それとも今後は説明をしないのか。
このように疑惑を抱かれる身内企業を間に入れる取引は維新全体として今後は止めるのか。》
https://x.com/hashimoto_lo/status/1984802423689601411
新聞記者の能力が問われている。
3)民放が音を上げた超高精細映像の衛星放送「BS4K」
毎日新聞デジタルは10月29日付で「BS4Kは『費用回収も不可能な状況』総務省有識者会議で説明」(諸隈美紗稀 平本絢子)を掲載している。
《総務省の衛星放送に関する有識者会議は29日、超高精細映像の衛星放送であるBS4Kなどの在り方について、取りまとめ案を発表した。》
《BS4Kは、政府主導で2018年から本放送を開始。取りまとめ案では、BS4Kを運営するキー局の状況について、BS4Kへの視聴者の接触率が低く、広告収入が極めて少ないまま推移しており、「費用回収も不可能な状況」と説明した。》
《BS−TBSの伊佐野英樹社長は29日の定例記者会見で「ビジネスモデルとして厳しい局面に来ている。どういう電送路で4Kコンテンツを伝えるかは現在議論中」と語った。日本テレビの柴田岳副社長も27日の同局の定例会見で「コンテンツメーカーとして、4Kの撮影技術をどう残すかを考えた時、ネット配信は選択肢の一つ」と話した。》
https://mainichi.jp/articles/20251029/k00/00m/040/292000c
朝日新聞デジタルは10月29日付で「BS4K撤退検討、キー局の本音『国策の失敗』『大金ドブに捨てた』」(黒田健朗 滝沢文那 宮田裕介)を掲載している。
《在京民放キー局各社が、免許の更新時期にあたる2027年に高精細の4K放送からの撤退を検討していることが分かった。29日に開かれた総務省の有識者会議は、インターネット配信を含めたビジネスモデルの再検討が必要とするとりまとめ案を公表。総務省が旗を振った4K放送は10年足らずで行き詰まった。》
《「総務省が描いた『夢物語』の失敗といっていい。大金をドブに捨ててしまった」
総務省の有識者会議「衛星放送ワーキンググループ」の議論を見守ったあるキー局幹部は、4K放送を主導してきた総務省へのいらだちを隠さなかった。》
《9月8日にあったこの会議でのTBSホールディングスの現状報告は、業界で話題になった。BS4K放送の厳しい経営状況を具体的な数字で示したからだ。
2024年度のBS4K放送の事業収入が約1200万円だったのに対し、支出は約8・6億円だったと公表。30年には約15億円かかると見込む設備更新があるため、今年度中には4K放送の経営方針を決定する必要がある、とした。》
《・・・早稲田大学大学院の長内厚教授は、・・・「4K放送の撤退は、テレビの技術進歩が初めて頓挫することを意味する。それがメーカーの競争力や日本のテレビ、映像・情報通信の技術力の低下につながる懸念もある」と話す。》
https://digital.asahi.com/articles/ASTB92F23TB9UCVL02NM.html
「現代ビジネス」は10月8日付で昼間たかしの「『撤退になってよかった…』民放5局の”BS4K放送”撤退に、テレビ業界が安堵した【納得の理由】」を発表している。
《9月、民放各社に激震が走った……いや、正確には「安堵」が走ったというべきか。
BS の5局(日テレ、朝日、TBS、テレビ東京、フジ)が、2027年にもBS4K放送から撤退する方針との報道が一斉に流れた。広告収入の減少、視聴率の低迷、制作コストの高騰。表向きの理由はいくつも挙げられているが、現場から漏れてきたのは意外な声だった。
「終わってくれて、本当によかった……」》
《「これはNHKのNHKによるNHKのための技術ですよ」
民放キー局社員の技術者は、かねてより「4K/8Kがテレビの未来」になるはずがないと考えていたという。理由は「あまりにもキレイに映りすぎるから」だ。どういうことか。
「キレイに映るとは、現場の負担が増すということなんです。撮影がシビアになる。データ量が大きい分だけ、描写力も高い。結果、今まで背景、モブとして処理していたものもくっきりと映ってしまう」
4K技術の「副作用」として、想像を絶する負担が制作現場に降りかかっていたのだ。同氏が具体例として挙げたのは、都心部でのロケ撮影だ。
「たとえば、渋谷駅前で撮影したとします。これまでなら、ものすごく遠くに選挙ポスターが映っていたとしても、ぼんやりとしていたので問題なかった。でも4Kになると、くっきりと映ってしまう可能性が格段に上がる。選挙ポスターは基本的に、番組内に移してはいけないので、そうした映り込みには全部モザイクをかけるなどして処理しなくてはならなくなるんです」》
https://gendai.media/articles/-/158595?imp=0
「日経ビジネス」は10月1日付で境治の「『NHK ONE』始動、民放はBS4K撤退へ 放送終焉の兆し」を発表している。
《4K対応テレビの普及は進んだが、BS4Kを視聴する層は限定的だった。これに対し、「Netflix」「Amazon Prime Video」「Disney+」などの配信プラットフォームは積極的に4Kの映像コンテンツを配信し、高画質のドラマや映画をこれらのプラットフォームで楽しむ習慣が広がった。
この背景には、10年代になってもBS放送への新規参入を推し進めた、総務省の放送行政部門を含む放送業界全体の「放送至上主義」があると私は考えている。放送事業こそが最高のステータスだとして、収益性を十分に精査せずにBSに参入する風潮があった。総務省も参入を促した。
民放各局がBS4Kから撤退する動きは、その考え方がもはや通用しない時代になったことを証明した。テレビ局が番組を流す時刻に合わせて視聴しなければならない「放送」という事業形態は、もはや時代遅れなのだ。》
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00565/092900033/
ジャーナリストの曽我太一が「X」で呟いている。
《ワンセグに続く、放送関係の失敗国策。》
https://x.com/soga_taichi/status/1984199006982205789
4)毎日出版文化賞が決まった
毎日出版文化賞が次のように決まった。
【文学・芸術部門】金原ひとみ著「YABUNONAKA ヤブノナカ」(文芸春秋)
【人文・社会部門】松隈洋著「未完の建築 前川国男論・戦後編」(みすず書房)
【自然科学部門】藤井一至著「土と生命の46億年史 土と進化の謎に迫る」(講談社)【企画部門】「完全版 土地」全20巻の翻訳完結(クオン)
【特別賞】押川典昭著「プラムディヤ・アナンタ・トゥールとその時代」上・下巻(めこん)
https://mainichi.jp/articles/20251103/ddm/001/040/122000c
文藝春秋プロモーション部のポスト。
《第79回毎日出版文化賞受賞
文化芸術部門
金原ひとみさん『YABUNONAKAーヤブノナカー』受賞!
変わりゆく世界を生き延びるためにーー
ある女性の告発が開けたパンドラの箱。
性、権力、暴力、愛に突き動かされる
人間たちのドラマ。圧巻の大長編!》
https://x.com/bunshun_senden/status/1985142394916917340
みすず書房のポスト。
《(祝)受賞(祝)
松隈洋『未完の建築 前川國男論・戦後編』が第79回毎日出版文化賞 人文・社会部門を受賞しました!
「環境から切り離され、「商品」化する建築が増える昨今、前川は自然や文化との一体化を追求し、建築の社会的価値を示した。その再評価を促す本作の受賞を慶びたい」(選評・松原隆一郎氏)》
https://x.com/misuzu_shobo/status/1985538721006174397
講談社ブルーバックスのポスト。
《11月3日付の毎日新聞朝刊に、藤井一至著『土と生命の46億年史』の広告が掲載されました。
毎日出版文化賞&講談社科学出版賞をダブル受賞!!「とてつもなく面白かった」と評判で、7万部突破です。2025年、科学ジャンル最大の話題を呼んだ新書、ぜひ年内に挑戦してみてはいかがでしょうか?》
https://x.com/bluebacks_pub/status/1985152788834521142
時事通信が「毎日出版文化賞に金原ひとみさんら」を配信している。これを藤井一至がリポストしている。
《この度、毎日出版文化賞(自然科学分野)をいただきました。金原ひとみさん「ら」の中に私も入っています。立て続けに恩師を失った傷心がいえるわけではないのですが、良い報告ができたと考えて前を向きたいと思います。》
https://x.com/VirtualSoil/status/1985126442905338157
クオンのポスト。
《『完全版 土地』全20巻完訳(朴景利著、金正出監修、吉川凪、清水知佐子、吉原育子訳)が、第79回毎日出版文化賞 企画部門を受賞しました!
中島京子さんの選評より
「近現代史を植民地から照射する視点も貴重であり、『完全版』邦訳の完結は出版界の極めて大きな収穫である」》
《『土地』には約700名の人々が登場しますが、全20巻の翻訳出版も多くの方にお世話になりました。
翻訳家の皆さんをはじめ制作に携わってくださった方々、10年間におよぶ完訳プロジェクトを支え応援してくださった方々に、心からお礼申し上げます。》
https://x.com/CUON_CUON/status/1985098448644051166
https://x.com/CUON_CUON/status/1985099059141730313
翻訳家・清水知佐子もポストしている。
《『完全版 土地』(全20巻、朴景利著、吉川凪/清水知佐子/吉原育子訳、クオン)が第79回毎日出版文化賞(企画部門)を受賞しました。
20巻の完訳を応援してくださったみなさん、一冊一冊、楽しみに読んでくださったみなさん、ありがとうございます。》
https://x.com/ancolo_onecolo/status/1985211328622162345
出版社めこんのポスト。
《押川典昭さん著『プラムディヤ・アナンタ・トゥールとその時代』(めこん)が毎日出版文化賞の特別賞をいただきました!》
https://x.com/MekongJapan/status/1985173762325819596
めこんは公式ホームページで次のように書いている。
《押川さんは、インドネシアの作家プラムディヤ・アナンタ・トゥールの『人間の大地』4部作などを翻訳しました。プラムディヤ・アナンタ・トゥールは、民族と人間の問題を一貫して問い続けたアジアの代表的作家。4部作は、インドネシアの民族意識の覚醒期を扱った壮大な歴史大河小説です。
押川さんはこの4部作の翻訳で2007年に読売文学賞を受賞した後、2025年に今回の受賞作となった『プラムディヤ・アナンタ・トゥールとその時代』を執筆しました。そして世界初の本格評伝として高い評価を得ました。》
https://www.mekong-publishing.com/post/oshikawamainichi
ともに未読だが朴景利の「完全版 土地」やプラムディヤ・アナンタ・トゥールの「人間の大地」にはチャレンジしてみたい。
5)講談社、ハリウッドに制作会社を設立。主体的に実写・アニメを?
朝日新聞デジタルは11月4日付で「講談社がハリウッドにスタジオ設立『日本のIPを世界に広める』」(平岡春人)を掲載している。
《出版大手の講談社は4日、米ハリウッドに映像制作会社「Kodansha Studios」を設立すると発表した。講談社が出版した小説や漫画を原作とする実写の映画やドラマを手がけるという。漫画をはじめとする日本のIP(知的財産)が国際的に人気を博していて、海外展開に追い風が吹いていることが背景にある。》
https://digital.asahi.com/articles/ASTC41RZ2TC4UCVL022M.html
スポニチは11月4日付で「講談社 米ハリウッドに制作スタジオ設立 アカデミー賞監督とタッグ」を掲載している。
《ハリウッドに制作会社を設立することは同社初の試み。野間社長は会見で「日本のエンターテインメントコンテンツは世界的に人気があり、国内でもコンテンツを世界に広めていこうという追い風がある」と現状を分析。これまでも講談社にはハリウッドや海外での実写映画化の話が持ちかけられたというが「原作の権利を海外の企業に渡して、企画・制作・運営はお任せという形。さまざまな課題も多かったのが現状」と説明。「われわれが企画会社を設立することによって、そこの部分に常に関与していく」と意図明かした。》
https://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2025/11/04/articles/20251104s00041000125000c.html
講談社は原作をハリウッドに放り投げるのではなく主体的に関与していこうということだろう。
日刊スポーツは11月4日付で「講談社がクロエ・ジャオ監督と米ハリウッドに制作スタジオ設立、監督はアニメ制作に意欲」を掲載している。
《講談社の野間省伸社長(56)は、2年前にジャオ監督と米ロサンゼルスで会ったと説明。「本当に漫画が好き。中国にいた子どもの頃から読んでいて、愛情がある。話が盛り上がり『ぜひ、アニメを作りたい』と。実写と一緒に作れば? と言ったら『不可能だ』と言うので『不可能じゃない』と言った」と、ジャオ監督が日本の漫画、アニメのファンでアニメ制作にも意欲を持っていると明かした。
ジャオ監督は「東、西…異文化間の架け橋にしたい。映画、ストーリーテラーとして望むのは安心する場所。情勢に左右される守られる場所…庭として機能して欲しい。日本の作家と海外のクリエイターが、育て上げる役割で、そこから巣立つ役割」と語った。その上で「彼の勇敢さ…不可能に挑戦する『ミスター・インポッシブル』。取り入れて果敢に取り組んでいきたい」と、野間社長と心が1つだと強調した。》
https://www.nikkansports.com/entertainment/news/202511040000249.html
クロエ・ジャオは「ノマドランド」でアカデミー監督賞を非白人女性としては初めて受賞している。一方、同時期にマーベル・コミックを原作としたエンタメ大作「エターナルズ」でも監督、脚本を担当している。硬軟の両刀使いという意味では悪い選択ではなかろう。
ちなみにクロエ・ジャオにとって一番お気に入りの漫画は冨樫義博の「幽☆遊☆白書」(集英社)だそうだ。「エターナルズ」には「幽☆遊☆白書」からの引用が見られる。講談社ではお気に入りは大友克洋の「AKIRA」ということになろうか。自身のワゴン車には「AKIRA」と命名しているそうだ。「ORICON NEWS」は2021年11月3日付で「マーベル映画『エターナルズ』クロエ・ジャオ監督念願の『幽☆遊☆白書』オマージュ」を配信している。
《幼い頃のジャオ監督は自由に映画を観られる環境になく、その代わりに日本の漫画を読み漁っては漫画家になる夢を追っていたという。「高校時代は『幽☆遊☆白書』の“蔵馬”と呼ばれていた」というエピソードも明かしている。漫画家になる夢は「上手い絵が描けなかった」ため断念したそうだが、今も漫画好きは変わっておらず自身のワゴン車に「AKIRA」(大友克洋による日本の漫画)と命名するほど。
映画監督の道を進んでからは、「大好きな作品のキャラクターが持つパワーを映画で使うこと」に変わっていったという。さらに、「漫画は私の体の中に染み込んでいるの。すべてが、ある程度その(漫画の)影響を受けていると思う」と断言。》
https://www.oricon.co.jp/news/2212551/full/
「ORICON NEWS」は11月4日付で「講談社、初のハリウッドに制作会社を設立 漫画や小説の海外実写映像化に注力」を配信している。
《・・・野間は今後の展望を「今、クロエが話していた通り、ハリウッドの実写作品に関しては、クロエやニックたちがやっているBook of Shadowsの皆さんという非常に力強いパートナーを得られました。その中で我々としては、これまであまり知られていなかった日本の数多くのIPを、より多く世界に広めていくということをまず目指したいと思っています。また日本の漫画家、作家といったクリエイターと、海外の監督や俳優に限らず、さまざまなクリエイターが出会うこと、コラボレーションすることによって、新しいコンテンツ、新しい表現方法が生まれてくることを期待しています」と伝えた。》
https://www.oricon.co.jp/news/2416571/full/
ちなみに「エターナルズ」は制作費に製作費2億ドル(300億円)をかけながら、世界興行収入は4億200万ドルを稼ぐのが精一杯であった。
https://eiga.com/news/20250830/11/
講談社からすれば目指せ!ディズニーということなのだろうが、ハリウッドでの映画ビジネスは一筋縄ではいかないようである。果たして、その壁を講談社が破れるのかどうか。そのハードルは決して低くはあるまい。
クロエ・ジャオが最高クリエイティブ責任者(Chief Creative Officer)をつとめ、COOをつとめるのはニコラス・ゴンダ・・・私からすればリスペクトすべき名前である。それだけに商業性という意味では不安が残るというもの。何しろニコラス・ゴンダは芸術至上主義(=見る人によってはちんぷんかんぷん)として知られるテレンス・マリックの同志ともいうべきプロデューサーだからだ。「ソング・トゥ・ソング」「ボヤージュ・オブ・タイム」「聖杯たちの騎士」「トゥ・ザ・ワンダー」というテレンス・マリック作品でプロデューサーをつとめている。どれもエンターテイメントとは程遠い作品である。クロエ・ジャオの新作「ハムネット」のプロデューサーをつとめているのもニコラス・ゴンダである。
CEOをつとめるのは講談社専務取締役の森田浩章だから、CEOがハリウッドに常駐することはあるまい。そういうスタンスで大丈夫なのだろうか。
https://s.cinemacafe.net/article/2025/11/05/104999.html
6)日経「サナエ流」炎上が示す、SNS時代の読解力危機
Yahoo!ニュースは、「『本当にやめてほしい!』『日経がやるな』大手経済新聞の"サナ活"特集にSNS非難殺到!?高市首相の服装分析"サナエ流"がなぜ炎上?」(LASISA)を掲載している。
https://news.yahoo.co.jp/articles/2eef0ad1c268ca7b192b1a48b160a650dc9326eb
記事によれば、《日本経済新聞が、高市早苗首相(64)のファッションを「サナエ流」として大々的に特集したところ、SNSで批判の声が上げられています》という。《濱野皮革工藝のバッグは、「1か月分を2日で完売」し、黒モデルの出荷が2026年3月末まで5カ月待ちとなるほどの売れ行きを記録》し、《Bloombergでは「高市バッグ効果」で関連銘柄が+2.8%の上昇を記録。日経平均も「高市トレード」再加速で4万7944円更新の原動力の一つとなっています》としている。
日本経済新聞の立場としては、いわゆる「経済波及効果」を伝える正当な切り口で記事にしたつもりだろうが、読者は、《「総理大臣の服装なんて記事にするな。芸能人か?」「日経はいつから女性週刊誌になった?」といった、首相のファッション自体を報じることへの批判が噴出》したという。現在の経済課題を踏まえると、《一部の人には、まるで国民生活を無視した「マリー・アントワネットのドレスショー」のように映ってしまったのかもしれません》ということもわからなくはない。
こうした「記事の趣旨の誤読」から生じた炎上は枚挙に暇がない。
「企業のSNSの炎上事例まとめ12選と対策【2025年版一覧】」(アクシアカンパニー)
https://axia-company.co.jp/column/company-snstrouble/
「企業のSNS炎上事例最新10選!その原因と対策、対処法も解説【2025年】」(エフェクチュアル)
https://effectual.co.jp/sorila/blog/sns-enjo/
なぜ趣旨の誤読や記事をきっかけとした炎上は繰り返されるのだろうか。本質は多様な価値観が交錯する情報過多な社会における「怒りファースト」の反応様式か。冷静な読解より即座の感情反応が価値を持ち、「許せない」という怒りは拡散されるが、冷静な指摘は可視化されない。加えて、自分の信念と一致する情報ばかりに注目する確証バイアスも働く。「メディアは権力者を優遇する」という先入観を持つ人々は、日経の記事を総理大臣への「忖度」として受け取ったのかもしれない。
さらに、経済不安の影響も大きい。生活に余裕がなくなれば、過敏に反応し攻撃的になる。高市首相のバッグ特集を「マリー・アントワネットのドレスショー」と形容するのは、そうした心理の表れともいえる。
SNSは多様な視点が交わる場所だったが、今や相手の意図を曲解し短絡的に非難し合う場所になった。自社のコンテンツや作家を守るには、冷静さに加えて、読解力という能力を磨くことが不可欠ではないだろうか。
