また薬に関する不正が発覚! 品質試験や臨床試験は本当に信用できるのか?
10月23日に、国内ジェネリック医薬品最大手の「沢井製薬」は、九州工場で品質試験の不正があったと公表しました。ジェネリックメーカーをめぐっては、2020年以降、業界大手の日医工などで、製造過程における不正が相次いで明らかになっています。10月17日には、厚労省が治験施設支援機関である株式会社メディファーマとその関係医療機関に対して、省令違反を起こしていたと公表しました。「安全」と言われている医薬品でも、本当に「安全」なのでしょうか。
ジェネリック大手の不正
以下、朝日新聞デジタルからの引用です。
ジェネリック最大手、沢井製薬の試験不正 厚労相「大変遺憾」
2023年10月24日 13時30分 朝日新聞デジタル
国内のジェネリック(後発)医薬品最大手の「沢井製薬」(大阪市淀川区)の九州工場で、品質試験の不正があった問題について、武見敬三厚生労働相は24日、「ジェネリック薬品の信用を著しく失墜する事案であり、大変遺憾」と述べた。
同社は23日、胃炎治療薬の品質を確認する試験で、別の空のカプセルに中身を詰め替えて検査していたことを公表した。 武見厚労相は、24日の閣議後会見で、「医薬品製造業者らに対する一層の薬事監視体制の強化に取り組んでいく」と述べた。
同社によると、2015年から長期間にわたって不正が続いており、外部識者による調査報告書では「安全性モニタリングやその結果を軽視する風潮が蔓延(まんえん)していた」と指摘されたという。
ジェネリックメーカーをめぐっては、20年以降、業界大手の日医工などで、製造過程における不正が相次いで明らかになり、様々な医薬品の供給不足につながっている。
東洋経済がさらに詳しく報じています。
ジェネリック最大手「サワイ」、呆れた不正の実態 供給不足続くさなか、見過ごされた3度の合図
東洋経済 2023/11/01 5:00
「サワイなら安心だ、と思っていた患者さんや医療機関の期待を裏切ってしまったことに、心からお詫びを申し上げる」
10月23日の午後、急きょ開催された記者会見。後発医薬品メーカー最大手、沢井製薬の澤井光郎会長は沈痛な面持ちで頭を下げた。
沢井製薬は同日、胃薬「テプレノンカプセル50mg『サワイ』」で、品質試験における不正が2015年から継続的に行われていたことを明らかにした。
後発薬業界では2020年以降、品質不正が続々と発覚し、製品の自主回収が相次いでいる。業界大手だった日医工や、中堅の小林化工が業務停止命令を受けた影響で製品の流通に混乱が生じ、3年経った現在も供給不安が続く。そんなさなかで判明した最大手の不正に、業界関係者は「さらなる混乱につながるのでは」と不安をあらわにする。
(中略)
テプレノンは、時間が経つとカプセルが溶けにくくなる性質があった。そのため品質管理の担当者は、試験時に新しいカプセルに詰め替え、適合したものとして処理していたという。当然、この行為は承認書に記されておらず、承認書と異なる手順を踏むことは医薬品の製造管理ルールを定める省令に反する。
(中略)
沢井製薬は、今回の不正がテプレノンの有効性や安全性への影響を与える可能性は低いとし、「重篤な健康被害が発生する恐れは極めて低い」と説明する。だが、薬の服用者が求めた効果が得られていたかどうか、現時点で十分な検証がなされたわけではない。
実は不正が継続的に行われるようになった2015年以前にも3度、テプレノンで前述の試験に適合しない結果が出ていながら、不適切な対応を取ってきたことが判明している。
(中略)
沢井製薬は現時点で、テプレノンのように承認書と異なる検査方法が口伝されていたような事例はないとしている。ただ、ある後発薬メーカーの現役社員は「現場の思い込みだけのせい、というのはさすがに無理筋だ」と不信感を示す。後発薬メーカーの元社員は「誰がどう考えても、試験に合格しなかった薬を放置するのはおかしいと分かるはずだ。ガバナンスが利いていると思えない現場で、本当に他の薬は大丈夫なのだろうか、という心配が拭えない」と話す。
業界トップの会社で起きた不正の余波はどこまで広がるのか。予断を許さない状況が続いている。
このような不正は、ジェネリックだけとは限らないのではないでしょうか。
治験施設支援機関の違反
以下、厚労省のリリースからの引用です。
株式会社メディファーマによるGCP違反について
令和5年10月17日(火)
厚生労働省は、SMO(治験施設支援機関)である株式会社メディファーマ(代表取締役 三原 酉木、本社 東京都港区芝5丁目31番19号)及び関係医療機関に対して、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35年法律第145号)第80条の2第7項及び第80条の5第1項の規定に基づき、8月29日、30日及び9月4日に立入検査を実施しました。
立入検査の結果、株式会社メディファーマが医療機関から受託した治験業務において、データ改竄等のGCP違反を確認しました。厚生労働省は、実施中の試験について、被験者保護を最優先に適切な対応を実施するよう株式会社メディファーマ及び治験依頼者に指示しました。なお、現時点で健康被害等の報告はありません。
【主な違反の概要】
(1)治験データの改竄
(2)呼吸機能検査の不適切な実施
(3)医師・施設スタッフ・CRCのIDパスワード共有、トレーニング代理受講
(4)治験薬保管不備の隠蔽
リリースには詳しいことが書かれていませんが、こちらも東洋経済がさらに詳しく報じています。
「薬の治験」で大量改ざん、組織ぐるみ不正の唖然 治験支援会社で最大123件の違反行為が発覚
2023/10/26 5:30 東洋経済
厚生労働省は10月17日、製薬メーカーなどの治験(臨床試験)業務の支援を手がけるメディファーマ(東京都港区)が、データ改ざんなど最大123件の省令違反を起こしていたと公表した。
「測っていない血圧の数字を記録した」「治験薬が入った冷蔵庫のコンセントが抜けていたことを報告しなかった」「治験の参加基準を満たすため、呼吸機能検査で息の吐き出し方を指導していた」――。
詳細は調査中だが、厚労省はこのような違反事例があったとしている。「不正の可能性が疑われる件数が尋常ではない。前例のない非常に悪質なケースで、日本の治験の信頼性が揺るがされた」と、厚労省医薬品審査管理課の担当者は憤る。
(中略)
これまでメディファーマが治験に携わり、承認された医薬品は23製品、医療機器は2製品。これら製品のメーカー名は非公表だが、信用調査会社によれば同社の取引先には外資・内資含め大手製薬メーカーの名前が連なる。
(中略)
しかし医薬品開発に関わった経験のある製薬企業の社員は、今回の不正を「氷山の一角で、他社でも十分ありうること」とみる。
実際、2019年にはエムスリーグループの一角でSMO大手のノイエスでも、同様の不祥事が発生した。治験参加者が入力すべき情報を、治験参加者の状態を十分確認しないまま従業員が入力する”なりすまし”ともいえる行為や、時間が規定されている採血や服薬について、本来実施された時間とは異なる時刻で記録するといった行為が発覚している。
(中略)
一方、被験者を1人でも多く集めようとしたことが、メディファーマの不正の遠因となった可能性もある。
例えば呼吸機能の弱い患者を集めなくてはならない治験では、被験者を絞り込む際の検査でわざと息を弱く吐き出すような指導をしていたという。「被験者が入れば入るほどお金がもらえる」(製薬メーカー社員)というSMOの収益構造も、こうした不正を誘発した理由の1つと考えられる。
(中略)
一般的に治験の監督責任は製薬メーカー側にあるとされ、薬の審査・承認を行うPMDA(医薬品医療機器総合機構)も、定期的に治験を行う医療機関を査察している。ただ、ある製薬メーカーの社員は「データが手入力の場合、体重などのごまかしは簡単に行うこともできる。現場の査察も表面的調査で、不正を見つけるのは難しい」と明かす。
(中略)
メディファーマが不正を続けてきた理由の解明はこれからだが、現行のルールでは再び同様の事例が起こってもおかしくない。厚労省の担当者はメディファーマの件を受けて「性悪説にのっとった対応の議論も必要だ」と話す。
2021年から2022年5月までに処分を受けた製薬メーカーについては、下記の記事にまとめられています。

以下、NHK NEWS WEBから一部引用です。
【詳しく】製薬会社の行政処分相次ぐ メーカーに何が?(更新)
2022年5月15日 12時02分 NHK NEWS WEB
処分は「小林化工」のようなジェネリック医薬品メーカーだけでなく、「北日本製薬」など一般医薬品のメーカーも受けています。また、健康被害は「小林化工」以外のメーカーでは確認されていません。
一方で、国の承認を得ていない原料を使ったり、一部の品質試験や必要な設備の補修を行わないなどの違反行為が発覚しました。
このうち、去年12月に「小林化工」に次いで長い75日間の業務停止命令が出された「日新製薬」(滋賀)は、滋養強壮剤や子ども用のかぜ薬などの医薬品について、有効成分の量を最も少ないケースで本来入れるべき量の1%にまで減らしていたほか、承認されていない添加物を加えて製造していたとして滋賀県から処分を受けました。
人々の命や健康を第一に考えなければならないはずの製薬会社が、次々とこのような不正をするようになってしまいました。
また、不正の線引きも微妙になってきていると感じます。
例えば、ガーダシルやシルガード9(HPVワクチン)は、プラセボ群に生理食塩水を使っていない試験があることがわかっています。
海外で主流となっている「シルガード9」は、ほとんどが生理食塩水ではなく、ガーダシルなどで比較試験を行っています。安全性が疑問視されているガーダシルと比較して、安全性が確認できるでしょうか。なぜ生理食塩水と比較しないのでしょうか。生理食塩水と比較したら、安全ではないという結果がでるからとしか思えません。これは、データを安全であると見せかけるための不正ではないのでしょうか。



このようなことがまかり通っているなら、承認審査を通っているからといって、安全であるとはいえないと思います。
これが不正とされずに審査を通ってしまう背景には、様々な利権が絡んでいるのでしょう。前回の記事でも利益相反について取り上げましたが、厚労省が国民のために仕事をしているとは思えません。
上記の記事ではほんの一例でしたが、医薬品を巡っては様々なお金が動いています。製薬会社だけでなく、国や医療機関が「安全だ」と言っても、それを鵜呑みにしていては、命や健康は守れません!
