ワクチンを途上国へ輸出するためにはWHOの事前認証が不可欠!?
日本は、ワクチン工場もあちこちに作り、次々と新しいワクチンを承認しています。開発したワクチンを途上国へ輸出するためには、WHOの事前認証が不可欠だと語る議事録がありました。新しい円借款制度まで創設し、世界市場を開拓しようとしていますが、今、一番必要なことは安全性の検証ではないのでしょうか。
日本が目指すワクチン外交
前回の記事で、ワクチンを次々と開発している理由の1つとして「100日ミッション」を取り上げました(下記参照)。
「100日ミッション」について調べる中で、日本政府はワクチンを途上国に輸出するための準備を進めていることが見えてきました。
ワクチン開発・生産体制強化戦略 令和3年6月1日 閣議決定

以下は、首相官邸のサイトで公開されている医薬品開発協議会の議事録からの一部引用です。
第7回 令和4年2月28日 議事次第(配布資料)
議事概要(PDF/476KB)
資料1-3:中野参考人(川崎医科大学小児科学教授)提出資料
○中野教授
中野でございます。私は「ワクチン開発・生産体制強化戦略-研究開発強化に向けて-」という題でお話をさせていただきます。
(中略)
例えば、これまでも海外との連携でうまくいった例は幾つかございます。ちょうど私がガーナにいる頃、インドネシアのPerum Bio Farmaで、当時の日本ポリオ研とか阪大微研さんの協力があって、これは非常にうまくいったものだと思っていますし、また、最近では北里研究所がJICA、ベトナム政府、ベトナムのPOLYVACと御協力いただきまして、麻疹・風疹混合ワクチンがベトナムでの風疹流行に際してのワクチンの一斉投与にも役に立ったと聞いています。ただ、技術移転としてはこの2事例ともうまくいっているのですが、その後、このワクチンがこれらの国々あるいは世界で広く展開されているかというと、そこはいま一つかなと思っています。先ほど申し上げましたWHOのPrequalificationを取っておくことは、世界展開という意味では不可欠だと思いますし、さきのスライドで書きました、日本が主導で国際共同治験ができるような準備も必要だと思っています。
資料1-2:石井参考人(東京大学医科学研究所感染免疫部門・ワクチン科学分野教授)提出資料
スライド3番目

○石井センター長
脇田先生、ありがとうございます。正確な返答にはなり得ないかもしれませんが、基本的には、先ほど藤原先生もおっしゃられたとおり、PMDAをリーダーとしてガイダンス、ガイドライン、製剤基準、その他前臨床の試験項目等を先んじて出して、ICMRAなどと議論して、特にPMDAに対する敬意というか、尊敬はアジアにおいて非常に高いものがありますので、それをしっかり維持していただきたい。
先ほど貿易赤字のところだけに焦点が行ってしまって、申し訳なかったのですけれども、私が主張したかったのは輸出国になるということでして、輸出というのは、日本のシーズがというのではなく、スライド3番目の右下に小さく「Design by anyone, Made in Japan」とありまして、アストラゼネカのワクチン外交などを念頭に置いて申し上げさせていただいています。そのすばらしいワクチン外交をゴールとして、ぜひ日本の企業が輸出国として、ハイスタンダードで安全性の非常に高いワクチンを日本は出しているのだということを、政府として産官学間の連携で進めていければと考えております。
「Design by anyone, Made in Japan」とは、国内、国外かかわらず、日本での臨床試験、承認申請(レギュラトリーサイエンス)、日本での生産、販売されるワクチンだと説明しています。

ICMRAについては、下記の記事で取り上げました。
○石井センター長
國土先生のおっしゃる点でいいますと、mRNAワクチンが全てを解決したというのは大きな間違いであるというのがスライド2番目のコメントでありまして、それを出す能力のある人がたくさんいたということと、もう一つは、それを外に出すインフラがあった。インフラというのは、先ほど藤原先生がおっしゃったように、実は世界のメガファーマの人の
つながりなのです。
なので、そういうところに日本が入っていく、もしくは少なくとも日本がアジアでそれを構築するということがこれからは非常に重要で、実は研究者は感染症でアジアの国々と長らくつながっておりますが、ファーマとしてそこに誠意を持って治験する、インフラを造る、クリニカルネットワークをつくるということは今までしていなかった現状がありま
すので、それはぜひしっかり構築していただきたいと思います。
中野先生がおっしゃったとおり、要は、感染症の研究者だけではなくて、アジアではWHOのPrequalificationというのがFDAのルールよりも格が上でありますので、そこを一緒にゴールとして進めていくというのが恐らく平時の在り方かなと。NCGMのアジアの臨床試験の展開というのは一長一夕にはいかないと私も考えておりますが、期待しておりますので、よろしくお願いいたします。
「アジアではWHOのPrequalificationというのがFDAのルールよりも格が上」だと言っています。
石井参考人提出の資料には、以前の記事で取り上げたこともいろいろと書かれています。
資料1-2:石井参考人(東京大学医科学研究所感染免疫部門・ワクチン科学分野教授)提出資料

CEPIについては前回取り上げましたが、石井参考人は、CEPIのアドバイザーも務めています(下から2番目)。
上から3番目に書かれているGHIT(公益社団法人グローバルヘルス技術振興基金)は、2022年5月にCEPIと連携強化に関する覚書を締結しています。
May 18, 2022
感染症流行対策イノベーション連合(CEPI)との連携強化に関する覚書を締結
この連携により、日本におけるワクチンや治療薬の開発能力を強化し、感染症の脅威に対するグローバルな取り組みに対する日本企業、大学、研究機関などの参画をさらに促進していく、とのこと。
【グローバルヘルス技術振興基金(GHIT Fund)について】
公益社団法人グローバルヘルス技術振興基金(GHIT Fund)は、日本政府(外務省、厚生労働省)、製薬企業などの民間企業、ビル&メリンダ・ゲイツ財団、ウェルカム、国連開発計画が参画する国際的な官民ファンドです。
グローバルヘルス技術振興基金(GHIT Fund)、ビル&メリンダ・ゲイツ財団より3年間で約32億円の支援を確保 2023年5月10日
https://www.ghitfund.org/overview/partners/jp
資金拠出パートナー(フルパートナー、アソシエイトパートナー、アフィリエイトパートナー)は、GHIT Fundに対して資金を拠出し、グローバルヘルスの製品開発を支援します。スポンサーは、法務、コミュニケーション、交通、ITに関するサービスや役務をGHIT Fundに提供することで、グローバルヘルスの製品開発に貢献します。



石井参考人提出の資料には、以前取り上げた薬剤耐性についても書かれています。

石井参考人提出の資料で、開発優先度が高いとされていたワクチン一覧(2021年10月)。

第一三共の経鼻投与ワクチンは2歳以上19歳未満用で、すでに承認されたようです。「2015年9月に、アストラゼネカ(本社:英国ケンブリッジ)の子会社であるMedImmuneLLC(メディミューン)との間で、国内における本剤の開発・販売に関するライセンス契約を締結し、開発を進めてきました」とのことで、発売予定時期は2024年度。
経鼻弱毒生インフルエンザワクチン「フルミスト®点鼻液」の
国内における製造販売承認取得のお知らせ 2023 年 3 月 27 日
第一三共の報告書(PDF)はダイチロナ筋注のときも、私のPCだとコピペが文字化けしてしまうので、戦意喪失・・・。とりあえず、気になった部分をいくつか画像で貼っておきます。

「経鼻接種において」、使用前例のない新添加剤が使用されています。

発症予防効果は28.8%。

接種すると、鼻水がかなり高い割合で出るようです。


ワクチン株の伝播について、「頻度は低いものの本剤のワクチン株の二次感染が確認されている」と書かれています。
以前、ワクチンウイルスの水平伝播について、おたふくかぜワクチンの添付文書に参考文献としてあげられた論文を取り上げました(下記参照)。水平伝播とは、予防のためにワクチン接種を受けた人から非接種者にワクチンウイルスが伝播して、非接種者に感染したときと同じような症状や有害事象が起きることです。
このワクチンについては、ほかにも気になることがあったので、後日、あらためて記事を書こうと思っています。
WHOのPrequalification(事前認証)とは?
世界展開に不可欠だという「WHOのPrequalification(事前認証)」については、厚労省の資料に説明がありました。
WHO事前認証及び推奨の取得並びに途上国向けWHO推奨機器要覧掲載推進事業実施団体公募要領
成長が見込まれる新興国や途上国等への医療の国際展開を推進していくにあたり、有用な手段の一つとして考えられるのが、WHO(世界保健機関)による事前認証(WHO Prequalification)の取得、推奨(WHO recommendation)の取得、緊急使用リスト(WHO Emergency Use Listing)への掲載、途上国向けWHO推奨医療機器要覧(WHO compendium of innovative health technologies for low-resource
settings)への掲載(以下、「WHO事前認証取得等」)です。
例えば、現在、国連機関等が途上国向けの医薬品・医療機器を調達する際には、WHOによる事前認証や推奨の取得が求められ、その他の国際援助機関も、同様の対応を必要とするケースがあります。
(中略)
このような状況において、WHO事前認証取得等は、医薬品・医療機器等の国際展開に資するものと考えられますが、日本企業は新興国や途上国で有用な医薬品・医療機器等を有しているにも関わらず、WHO事前認証取得等の有用性にかかる認識、必要となる手続等の詳細情報や申請ノウハウの不足から、WHO事前認証取得等が進んでいない状況にあります。
「途上国向けの医薬品・医療機器を調達する際には、WHOによる事前認証や推奨の取得が求められる」となると、日本が途上国へワクチンを輸出したいと思っているなら、IHR改正を拒否したり、WHO脱退という選択肢はない、ということになるのでは・・・・・・。
新しい円借款制度
2023年9月21日に開催されたG7保健フォローアップ・サイドイベントで開会挨拶を行った岸田総理は、将来の健康危機への予防・備え・対応(PPR)強化とユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)達成に向けた取り組み、特に、ワクチン等の感染症危機対応医薬品等(MCM)への公平なアクセスの確保と円滑な資金動員が途上国を含めた世界全体の課題であると強調。
岸田総理大臣の「G7保健フォローアップ・サイドイベント」出席(結果概要)(令和5年9月21日)
岸田文雄内閣総理大臣開会挨拶(和文(PDF)
※ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)とは、「全ての人が適切な予防、治療、リハビリ等の保健医療サービスを、支払い可能な費用で受けられる状態」。
同イベントには、岸田総理のほか、武見敬三厚生労働大臣、テドロス・アダノムWHO事務局長、ビル・ゲイツ氏(ビル&メリンダ・ゲイツ財団共同議長)等が参加したとのこと。
挨拶の中で岸田総理は、途上国の公衆衛生危機に対する予防・備え・対応の強化を支援として、新たな円借款制度を創設したと発表。

また、民間資金動員については、広島サミットで承認された、インパクト投資を通じて民間資金動員を加速させるインパクト投資イニシアティブ「トリプル・アイ(Triple I)」の立ち上げを宣言。
「トリプル・アイ(Triple I)」
Founding Partner of Triple I for Global Health
パートナー一覧


日本政府は、「100日ミッション」の達成を目指してワクチン開発を進め、途上国に輸出するために新たな円借款制度まで創設しました。
けれども、「安全性の検証」の話がまったく出てきません。mRNAワクチンの健康被害について検証しないままワクチン開発を進めるということは、「ファイザー社製コロナワクチンと比べて◯◯」などという基準で審査が通ってしまう可能性があります。実際に、第一三共のダイチロナ筋注がそうでした。安全でないものと比べて同じくらいなら、それは安全とはいえないはずです。
実用化までに20年かけたワクチン(フランス・サノフィ社製)でさえ、フィリピンで多くの子どもたちが犠牲になりました。
このままでは、日本製ワクチンによってもっと取り返しのつかないことが起きてしまうでしょう。
<参考資料>
WHO 事前認証(WHO Prequalification)プロセスに関する文書(日本語仮訳)
