HPVワクチンに関する「意見交換会」なのに、反論時間たったの1分!
厚生労働省は、HPVワクチンの接種勧奨を一時中断している時期に、海外から専門家を招いた意見交換会を行っていました。けれども、「HPVワクチンの中にウイルス由来のDNA断片が含まれており、この断片が引き起こす反応が死亡の原因なのではないか」という仮説を発表をしたSin Hang Lee 氏の発言時間はたったの10分。すぐにそれを否定する意見が述べられ、Lee氏が反論できないまま「根拠が乏しい」とされたのです。前回に続き、厚労省のサイトで公開されている、当時の議事録を掘り起こしました。
2014年2月26日 子宮頸がん予防ワクチンに関する意見交換会 議事録
厚労省のサイトには、議事録が公開されています。
発表者
・堺 春美 元 東海大学医学部教授
・Sin Hang Lee (シン・ハン・リー【US】)ミルフォード病院病理医
・Francois-Jerome Authier (フランソワ・ジェローム・オーチェ【FR】)アンリー・モンドール病院医師
今回は、Sin Hang Lee (シン・ハン・リー)氏(【US】ミルフォード病院病理医)の発言を掘り起こしました。
Sin Hang Lee氏提出資料 2(PDF:284KB)
○Lee先生 始めてよろしいでしょうか。皆様、どうもありがとうございます。
このような公聴会において証言できて大変うれしく思います。Sin Hang Leeと申します。もともと大学の病理学の准教授をしていました。現在はミルフォード病院の病理学におり、ミルフォード医学研究所の理事をしています。
私は、「娘たちの死及び障害が心身の反応ではなく、ガーダシルの予防接種によるものである」と信じてるアメリカの女性の団体に頼まれてこのような検査を始めました。ウイルスのHPVのDNAが入っているかどうかワクチンの検査をしてほしいということでした。支払いとしては、将来的に1米ドルを支払っていただくことになっています。

19のガーダシルのサンプルを9カ国からもらい、全て検査をしましたが、全てのワクチンサンプルの中にはHPV-11型、18型またはその組み合わせからなる、HPV L1タンパクのDNAが残存していました。

私がワクチンの検査をした後、ワクチンを投与してから6カ月後に睡眠中に亡くなった、ニュージーランドの18歳の女性の両親から、ワクチンに関係するようなDNAがあるかどうかについて、死後の血液または脾臓の検査をしてほしいと頼まれました。脾臓及び血液に関しては16型のDNAがありましたが、これは恐らくマクロファージに吸着しているものでした。

前はHPV16型を見つけることができませんでしたが、ワクチンに立ち返って再度検査してみると、HPV16型はほかのコンフォメーションで存在しているということがわかりました。そのため、HPV11型並びに18型を発見するためには方法を変える必要がありました。HPV16型もワクチンの中に入っていました。

これはよく知られていることですけれども、HPVの予防接種はガーダシルのアジュバントに依存しています。左側にありますように、アルミニウムのアジュバントは炎症及び細胞死によりヒトのDNAの放出をおこします。ヒトのDNAはアルミニウムと一緒になり、マクロファージを刺激し、ワクチン反応の免疫原性を促すわけです。しかし、ガーダシルに関しては、HPVのDNAがワクチンに中に存在しているので、ウイルスのDNAとアルミとを組み合わせたものがマクロファージを刺激します。私はこれがサイトカインストーム、TNFの放出を起こす機序だと思います。そしてそれによって、低血圧、頻脈、突然死が起こります。もう一つ、神経学的症状として、急性散在性脳脊髄炎もあります。

(元の画像が切れています)
○Lee先生 片麻痺を患ったコネチカットの16歳の女子です。これはコネチカット州で起こりました。左の視覚喪失並びに左の片麻痺がワクチン接種後に見られました。
入院時のMRIでは、頭頂後頭葉の強調画像が見られました。これは脳脊髄炎を示唆しています。また視交叉の変化は視神経を含む病変であることを示唆しています。
脳の生検ですが、血管の炎症を伴う脱髄が見られ、マクロファージに囲まれています。恐らくマクロファージの一部がHPV-DNA を貪食して脳組織にDNAを運んでいるために、このような反応が見られるのです。

リンパ球が見られることにも注意してください。リンパ球とマクロファージの炎症にも。

3カ月後ですけれども、頭頂後頭葉の病変の改善、視交叉における病変の縮小が見られます。

(元の画像が切れています)
18カ月後の画像です。脳の病変は改善していますけれども、視交叉の病変がまだ残っています。
同僚が言うには、臨床的にこの子は完全に視力を喪失してしまいました。合併症として生涯にわたる失明が起こりました。これは恐らく心身反応ではないと病理学者として信じています。
この後、Helen Petousis-Harris (ヘレン・ペトウシス・ハリス)氏(【NZ】オークランド大学プライマリーヘルスケア部門予防接種センター予防接種・ワクチン部長)と吉倉廣氏(元 国立感染症研究所長/元 東京大学医学部教授)によるLee氏の仮説を否定する意見が延々と続き、Lee氏の発言機会はありません。
前回の記事で取り上げた堺氏が「Sin Hang Lee先生にぜひ反論をお願いしたいと思うのです」と発言しても、「ディスカッションの時間はこの後にありますので、次に続けさせてください」と言われてしまいます。
その後、Lee氏の発言があったのは「時間がなくなっておりますので、お一人ずつ1分でお願いします」と言われたときだけです。
○Lee先生 DNAの検出法は争う余地はなく、完璧で、FDAの合意したDNAシークエンシングに基づいています。FDAはアルミニウムと結合しているかどうかということについてデータがないということで結論を出していません。私は病理医ですから、患者さんがどのような形で亡くなったのか、脳に見られた病理学的病変がどのように説明できるかということを分析するのが仕事です。私の意見から言えば、こういった脳における炎症反応に関して、全く心身の反応という説明はできないと思います。皆様方もそうだと思いますが、こちらにいらっしゃる科学者で、心身の反応によって脳の炎症が起こると思ってらっしゃる方、手を挙げてください。いらっしゃいませんよね。
この発言に対して倉根座長は、「コメント、ありがとうございました」と終わらせています。
これでは、「意見交換会」とはいえないでしょう。
同日午後に開かれた「第8回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会」で、Lee氏の発表に対して下記のようにまとめています。
○倉根委員
最初に米国のドクター、Sin Hang Lee(シン・ハン・リー)に参考人としておいでいただきましたけれども、HPVワクチンの中に、ウイルス由来のDNA断片が含まれており、突然死の症例からもHPVのL1DNA断片が検出され、この断片が引き起こす反応が、死亡の原因なのではないかという発表がありました。
これに対して、参考人である、ニュージーランドのHelen Petousis-Harris(ヘレン・ペトウシス・ハリス)先生が、本指摘に関して科学的に行っておるのですが、次の2つについて指摘をされました。
本研究、ドクターリーの発表については、科学的に検証する上で、欠陥を有しているのではないかとドクターハリスは述べました。特に症例群と対照群の2群を比較して、その2群において差があるかどうかという結論をもって、検討を行わなければならないのであるが、症例群とその原因として疑っている事象の因果関係を述べることはできない。なぜかというと、本研究に対照群がなく、その科学的手法に問題があるのではないかという疑問を投げかけました。また、使用している方法についての疑問も呈しました。
次に、仮にワクチンにHPVL1のDNA断片が検出されたとしても、この断片はごく微量なものであり、このようなごく微量のDNAが全身に拡散して、激しい炎症反応を起こすことは考えられないのではないかということです。また、これまでのドクターリーの理論の進め方には、多くの仮定に基づくものがあるのではないかというのが、ドクターハリスのコメントでありました。
さらにこれに加えて、吉倉構成員は、HPVのL1DNAの存在について、製造方法から考えて、それが微量存在していたとしても、それは不思議ではない。それから、本ワクチンの産生細胞とのDNA比からのDNAもあるであろう。むしろ産生細胞のDNAのほうが、率としては多いように計算されるということでありました。特にHPVL1DNAを含むマクロファージが脳に入り、病態を引き起こすんだという仮説をリー先生は立てておるんですが、そこについて、吉倉構成員は考えづらいことではないかと、否定的意見を述べました。こういうことであります。
ドクターリーの主張に対しては否定的であるという内容であり、私もこの議論を聞いておりましたけれども、ドクターリーの主張をもって、HPVL1DNA、ごく微量なものが、激しい副反応を起こすというのは、科学的に根拠に乏しいのではないかという印象を持ちました。
このような会を開いた目的は、最初から3人の仮説を否定するためだったのではないかと思えます。
2017年3月17日の国会質問
この意見交換会に関する国会質問の記録が、日本共産党・高橋千鶴子議員のサイトにありました。高橋議員は、2017年3月17日の衆院厚生労働委員会で、子宮頸がんワクチン(HPVワクチン)接種後の健康被害をめぐって、厚労省がワクチンと健康被害との因果関係を否定しようとWHOの委員会と下打ち合わせなどをしていた問題を告発しています。
国会質問 質問日:2017年 3月 17日 第193国会 厚生労働委員会
HPVワクチン問題について(1)
前回の記事でも、この意見交換会は、厚労省と審議会の偏った姿勢を示すものだったという指摘があったことを書きました(下記参照)。
高橋氏も、因果関係を論じる学者に反論するために、当時の担当者がWHOワクチン安全性諮問委員長を通じて、因果関係を否定する立場の学者を急きょ意見交換会にビデオ参加させたことなどについて、調査して厚労委員会に報告するよう厚労省に求めていました。
以下、国会質問での発言を一部引用します。
○高橋(千)委員
その中(議事録)で、最初に佐藤敏信健康局長がこの趣旨を述べているんですよね。要するに、もうWHOや国際的な海外の当局からも安全性に関する声明などもお聞きしている、安全性についてほぼ明らかになりつつある、そういった上で、今なお一部の学者、研究者から懸念が出ている、これらの意見は必ずしも国際的に幅広く理解されているものではないと考えるけれども、一応お聞きする必要があると考えました。かなり失礼ですよね、専門家を呼んでおいて、一応お聞きすると。
(中略)
発表者は三人なのに、そのほかに、有識者の中にヘレン・ペトウシス・ハリス氏、ニュージーランドのオークランド大学のワクチン部長をビデオ会議という形で参加をさせて、いきなり、このシン・ハン・リー氏の、たった10分ですよ、呼んでおきながら10分発表させたら、直ちにこのヘレンさんに、座長が指名して反論せよと言っているんですね。ちゃんと用意周到にスライドを出してきて、報告をとうとうと始めるわけです。
わざわざ専門家を招聘しておきながら、10分の発言の後には、反論の余地もないほど次々と発言をする。つまり、発表者が反論できない、余地を与えずに周りの人が発言をする、これは本当に不思議だなと思いました。また、メーンの発表者でもないのにビデオ会議で参加させる、これもレアな気がいたします。
<参考>
「子宮頸がん予防ワクチンに関する意見交換会」に関する質問書
下記の発言で出てくるメールのやりとりが資料として添付されています。
○高橋(千)委員 皆さんの方が専門家なんだから、わかっていると思うんですよ。ワクチンの担当といったって、さまざまあるわけでしょう。この日、発言をされたシン・ハン・リーさんの、ウイルスのDNAがアルミニウムに吸着する、ここの部分に反論しなきゃいけないというので、GACVS(WHOワクチンの安全性に関する諮問委員会)が誰か知りませんかというメールを送ったんじゃないですか。
もう一回読みますよ。
「HPVのDNAに関して、特に、いわゆるDNA断片に結合したアルミニウムの役割とそれによる影響について、あなたが書かれた仮説に関して、さらに突っ込んだ疑問に答えられそうな人は誰か、アドバイスをいただけませんか。DNA断片が悪影響をもたらすのかどうかという問題はこれまでも検討されてきていますが、これらの断片の存在による影響と言われるもっと曖昧な問題について書かれているのは、あなたの記述が唯一です。あなたの記述が唯一です。GACVSもDNAの問題についてまだ詳しく検討できていません。」
専門家なんという領域じゃないわけですよ。それぞれに領域があって、この人が全く素人だと言っていません、だけれども領域というものがあるわけでしょう。だから、今回の意見に対して反論できる人がいないから何とかしてくれないかといって頼み込んだんじゃありませんか。
「GACVSもDNAの問題についてまだ詳しく検討できていません」とあり、自分たちではまだ十分に検討していないのに、否定してくれる都合のよい人を探して依頼したということです。
2017年3月17日厚生労働委員会提出資料
高橋議員が提出したこの資料には、新聞記事など貴重なものが多数あります。
東京新聞は、意見交換会の前日に都内で行われた国際シンポジウムについて報じています。このシンポジウムには、意見交換会で発表した3名のほか、HPVワクチン接種後に急死した3人の少女の脳を調べ、ワクチンが原因としたルチア・トムルジェノビック博士も参加。新聞の見出しには「子宮頸がんワクチン中止訴え アルミが副作用原因」と書かれており、Lee氏が「子宮頸がんを引き起こすウイルスのDNAがアルミニウムに吸着し、人体に激しい自己免疫疾患を引き起こす」という見解を示したことが書かれています。
このシンポジウムについては、下記に書かれているほかは見つけられませんでした。
東京新聞の記事は、「厚労省は二十六日午後、専門部会を開き、現在中止している接種勧奨を再開するか検討する。同日午前、シンポジウムに参加した医学者も呼んで意見を聞く場を設けるが、専門部会の議論に反映させるかは分からないとしている」と締めくくっています。
○高橋(千)委員 意見交換会の後に審議会を開いていますが、意見交換会の座長だった倉根氏が招いたメーンの発表者の発言についてはたった三行ですよ。たった三行しゃべって、あと反論を十五行も、こんなにたくさんの反論があったと報告しているんですよ。このこと自体がもうできレースです。そうしたことを言っておきながら、この後の臨床研究法案、本当にただす立場に立てるかなという懸念を申し上げて、一旦終わります。
議事録を読んでいても、3人に対してとても失礼な態度で、意見を聞こうとする姿勢が見られません。やはり、専門部会の議論に反映させるつもりなど最初からなかったのでしょう。
