オミクロン株XBB対応ワクチン、マウスの次は日本人!?
9月1日にオミクロン株対応ワクチンの一部変更について承認が行われ、オミクロン株XBB対応ワクチンがアメリカよりも先に承認(特例承認の一部変更)されました。審査は品質データとマウスのデータのみで行われ、マウスのデータは接種から約1ヶ月後の数値だけです。接種会場では、「マウスのデータしかありませんが、接種しますか?」という確認は行われるのでしょうか。
XBB対応ワクチンの評価方針
昨日の記事を公開した後に、XBB対応ワクチンが承認されたという発表を見ました。どのような審査だったのか知りたかったのですが、リリースには資料が添付されていません。
調べてみたら厚労省のサイトでは、7月31日付で「新変異株対応のコロナワクチンの評価方針について」という資料が公開されていました。
2 新変異株に対するワクチンの薬事審査における評価方針について
(国際的な評価の考え方)
・令和5年5月8日に開催されたICMRAのCOVID-19変異株ワークショップにおいては、現在承認されているワクチンについてはプラットフォームとしての対応が適応可能であり、そのような場合は、株変更に際して、確認的な品質及び非臨床データのみの資料提出でよいとの見解がまとめられている。
・また、米国、欧州においても同じオミクロン株XBB.1.5系統の1価ワクチンでの薬事申請・供給が見込まれているが、品質及び非臨床のデータのみの確認がなされる見込みである。
すでに承認されているワクチンの株変更については、非臨床データのみで確認してよいことになっていると書かれています。つまり今後も、臨床試験なしで承認されるということです。
けれどもコロナワクチンは、アメリカのFDAでは通常の承認ではなく、緊急使用許可です。日本でも特例承認なので、これまでの審査も通常とは異なります。接種後に、死亡や健康被害が多数出ているワクチンです。これまでのワクチンの安全性も検証せずに、株が変わるだけだからと、品質とマウスのデータだけで審査してよいのでしょうか。
(オミクロン株1価ワクチンへの変更における有効性・安全性の考え方)
〇ファイザー社及びモデルナ社の起源株1価ワクチンとオミクロン株2価ワクチンの安全性については、これまで実施されてきた臨床試験における安全性に係るデータや使用実績(接種後の副反応の発現状況等)から、起源株1価ワクチンとオミクロン株2価ワクチンの安全性プロファイルには大きな差が無いことが確認されている。
〇上記を踏まえると、1価/2価の違い、起源株/オミクロン株の違いはワクチンの安全性プロファイルに大きな影響を及ぼさないと考えられる。
〇従って、オミクロン株1価ワクチンの安全性プロファイルも既承認の製剤の安全性プロファイルと基本的には同様であり、安全性に特段の懸念はないものと予見することは可能である。
〇オミクロン株1価ワクチンの有効性については、オミクロン株2価ワクチン(起源株とオミクロン株に対する有効成分を等量含有)の臨床試験において中和抗体価の上昇がみられ有効性が確認されていること、オミクロン株に対する有効成分を含むワクチンの非臨床データからヒトでの免疫応答について一定の予測が可能であることが確認されていることを踏まえると、非臨床試験における中和抗体価のデータに基づき検討可能と考えられる。
「予見が可能」「予測が可能」「検討可能」・・・。
そして結論。
(結論)
国際的な評価の考え方と、これまでの臨床試験成績や使用実績を踏まえると、ファイザー社及びモデルナ社の新変異株ワクチン(オミクロン株1価ワクチン)については、品質において問題がないこと、非臨床試験でオミクロン株(XBB.1.5系統を含む)に対して中和抗体価が充分に上昇していることを確認すること、必要に応じて製造販売後に有効性・安
全性の確認を行うことにより、承認して差し支えないかどうかの判断をすることとしたい。
「製造販売後に有効性・安全性の確認を行う」ということは、もし世界で最初に日本で使用開始となれば、日本人で有効性や安全性の確認を行うということになります。接種する人に、その説明はされるのでしょうか。
審査結果
報道発表資料には、審査に関する資料が添えられていなかったのですが、上記(7月31日)のページに8月31日付で追加されていました。こんなに見つけにくいのは、わざとでしょうか。
1価(オミクロン株XBB.1.5系統)のコロナワクチン の審査結果について(コミナティRTU筋注等)
非臨床データはこれだけです!

もとの資料は、前回の記事で取り上げたグラフだと思いますが、このデータだけで本当に効果があると言えるのでしょうか。

以下、前回の記事に書きましたが、再度書いておきます。
このグラフはマウスに、起源株ワクチン→21日後に起源株ワクチン2回目→105日後に起源株+BA5 対応2価ワクチン→134日後にXBB1.5 ワクチンという流れで接種し、160日後に採血したときのデータだと読み取れます。
すべての人が、この流れと同じスケジュールで接種しているわけではありません。さらに、XBB1.5 ワクチンを接種してからたった26日後のデータです。それがいつまで続くかは書かれていません!
また、XBB1.5 の1価ワクチンのはずなのに、XBB1.5 ワクチンを接種すると、起源株やBA4/5の数値がXBBより高くなっています。こんなことが体内で起きて、安全だといえるのでしょうか。マウスと人間は違います。人間の体内でどんなことが起きるか、このグラフだけではわかりません。
4 結論
○ 審査方針に従い、ファイザー社の1価(オミクロン株 XBB.1.5 系統)ワクチンについて、提出された品質データ及び非臨床データから、品質データについては特段の問題が認められないこと、非臨床データについては1価(オミクロン株 XBB.1.5 系統)ワクチンの接種によるオミクロン株 XBB 系統に対する中和抗体が誘導されたことを確認した。
〇以上を踏まえ、ファイザー社の1価(オミクロン株 XBB.1.5 系統)ワクチンを承認して差し支えないと判断した。
5 諸外国の状況
欧州:8月 30 日 欧州医薬品委員会(CHMP)がファイザーの XBB 対応ワクチンの承認を勧告
米国:審査中
結局、品質データとマウスのデータで承認して差し支えないと判断。EUでは8月30日に承認を勧告、アメリカは審査中とのこと。
「承認を勧告」の意味がよくわからなかったのですが、EMAのサイトを見ると「recommend」となっています。
ファイザーのサイトには、「Positive Opinion」とあります。
The European Commission (EC) will review the CHMP’s recommendation and is expected to make a final decision soon.
まだ承認ではなく、CHMPの勧告を検討して、欧州委員会(EC)が最終決定を下す予定となっているようです。つまり、まだ承認はされていないのだと思います。
EUやアメリカがいつから接種を開始するかはわかりませんが、日本ではすでに接種券も発送されはじめ、予約も受け付けているので準備万端です。ですから、おそらく日本人が最初に接種することになるのではないでしょうか。
追記:コメントでドイツが9月18日からXBBの接種を開始するという情報をいただきました。ドイツPEIのサイトを確認したところ、CHMPの勧告を検討して、8月31日に欧州委員会(EC)がXBBワクチンを承認したようです(下記参照)。
詳細はわかりませんが、ドイツの方が先に使用開始となりそうです。
英国も前倒しで秋のコロナワクチン接種を開始しますが、最初のうちは2価ワクチンなどが使われるようなので、XBBはもう少し後になるのではないかと思われます(下記参照)。
(追記ここまで)
改訂された添付文書は、厚労省のリリースに添付されています。
添付文書には、前述のグラフを説明した文章が追記されています。

「中和抗体の産生が認められた」と書いてあるだけで、それがいつまで続くかは書かれていません!! あのグラフ以上の情報は、ないということなのでしょう。

添付文書には、予防効果の持続期間は確立していないし、重症化を予防するとも書いていません。
接種を勧めるパンフレットなどには、「このワクチンはマウスのデータだけで承認(特例承認の一部変更承認)されたもので、ヒトに接種したデータはまだ集まっていません。予防効果がどれくらい続くかもわかりませんし、重症化予防効果は承認審査では認められていません。必要であれば、製造販売後に有効性・安全性の確認を行うことになります」と書かなければならないと思います。接種する医師も、この説明をする必要があるはずです。
けれども、前回の記事で取り上げた台東区のサイトには、下記のような説明しかありません。


マウスによるたった160日間のデータを「素晴らしい効果がある」かのようなグラフに書き換え、「期待される」という言葉を並べて、安全性には触れずに接種を勧めてよいのでしょうか。
追記:出典が書いてなかったので台東区が作ったグラフだと思ったのですが、どうやら厚労省が作った資料から一部を切り抜いたようです。
https://www.mhlw.go.jp/content/001116892.pdf
