オミクロン株XBB対応ワクチン、承認前のフライング告知はなぜ許されるのか?
令和5年秋開始接種についてのお知らせが、8月10日付で厚労省のサイトで公開されました。「オミクロン株(XBB1.5)に対応したワクチン」と書かれていますが、そのワクチンはまだ承認されていません。承認されていないのに、このような告知をしてもよいのでしょうか。
令和5年秋開始接種についてのお知らせ
秋からのコロナワクチン接種について、下記のページでお知らせが公開されています。

「生後6ヶ月以上のすべての方に対して」、オミクロン株(XBB1.5)に対応した1価ワクチンの接種を行うと書かれています。
8月10日付で、自治体向け説明会の資料も公開されています。
【資料2】各ワクチンの取扱いについて(ファイザー社、モデルナ社、武田社)
6ヵ月~4歳、5~11歳、12歳以上の方を対象としたオミクロン株XBB.1.5対応の製剤を申請中です。
今後承認された際には、各年齢の方を対象とした既存の製剤と、有効期間、接種対象、梱包形態等の取り扱いに関するいくつかの点が異なりますのでご留意ください。
「申請中」と言っておきながら、もうラベルなども決まっているようです。


Q&Aのページには、下記のように書かれています。

現在(令和5年7月時点)開発中のXBB.1.5対応1価ワクチンは、非臨床試験(マウスを用いた試験)において、XBB.1.5に対して現行2価ワクチンよりも高い中和抗体価を誘導することが報告されています。
マウスを用いた試験の情報しかない段階で、使用することを決めています。
06参考資料2_FDA VRBPAC資料 (令和5年6月16日)



まだ承認審査の最中で承認されてもいないワクチンを、今の段階で9月20日から接種すると発表するということは、承認されるとわかっているということになります。
では、審査とは何のために行っているのでしょうか。有効性や安全性に問題がないか、確認するためではないのでしょうか。もし安全性に問題があっても承認するということなら、審査とはいえません。そんな審査で「承認」されたワクチンを、安心して使うことができるでしょうか。
アメリカでの使用開始は10月初旬頃!?
アメリカのFDAは6月16日に、アメリカ国内でこの秋以降に使用する新型コロナのワクチンとして、変異株の「XBB.1.5」に対応する「1価ワクチン」の開発を製薬各社に推奨したことを発表しました(下記参照)。
では、アメリカではいつから使用されるのでしょうか。
Pfizer: FDA Authorization for Updated COVID-19 Vaccine Expected in August Aug. 2, 2023 U.S.News
以下、U.S.Newsからの引用です。
Pfizer CEO Albert Bourla this week said that the Food and Drug Administration could authorize his company’s new vaccine by the end of the month ahead of a potential fall and winter coronavirus wave.
Originally, federal officials had proposed September for the rollout of the fall COVID-19 shots, which have been updated to combat the omicron subvariant XBB.1.5. But the new director of the Centers for Disease Control and Prevention told NPR this week that the shots will be available “probably in the early October time frame.”
ファイザー社のCEOは、「FDAは今月末までに新ワクチンを認可する可能性」があると述べていますが、CDCの所長は「おそらく10月初旬に利用可能になるだろう」とNPR(米国公共ラジオ放送)で語ったと書かれています。
New CDC director Dr. Mandy Cohen on her vision for the agency
August 1, 2023 5:18 PM NPR
NPR(米国公共ラジオ放送)のサイトで、CDC所長のマンディ・コーエン氏のインタビュー記事を確認しました。
COHEN: There are manufacturers of vaccines that are undergoing that process right now. The FDA experts, as well as experts here at CDC, still have their work to do. But, yes, we anticipate there being a new COVID booster available probably in the early October time frame. We know COVID is here with us. It's going to stay with us. And it's - sadly, it is still killing folks every single day. And that doesn't need to happen. We can use the vaccines, the testing and the treatment that we have to protect folks.
やはり、FDAやCDCの専門家たちによる確認がまだなので、「おそらく 10 月初旬には新しい COVID ブースターが利用可能になると予想される」と書かれています。
もしそうなったら、日本が世界のどこよりも先に接種することになるのではないでしょうか。
アメリカでもまだ使われていないなら、特例承認にもあてはまらないことになります。
(参考)特例承認とは
医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第14 条の3第1項の規定に基づき、
1.疾病のまん延防止等のために緊急の使用が必要、
2.当該医薬品の使用以外に適切な方法がない、
3.海外で販売等が認められている、
という要件を満たす医薬品について、承認申請資料のうち臨床試験以外のものを承認後の提出としても良い等として、特例的な承認をする制度です。
すでに緊急事態でないので、そこもおかしいのですが、海外で販売等が認められていないなら、ここも当てはまらないと思います。
6月から開発し、9月20日から接種が始まるとしたら、どう考えても十分な臨床試験はできません。
アメリカでは、すでに変異株「EG.5」が主流に!?
アメリカでは、変異株「EG.5」が主流になってきているそうです。
CNN.co.jp 2023.08.10
EG.5は米国だけでなく、アイルランドやフランス、英国、日本、中国でも急速に広まっている。世界保健機関(WHO)は9日、EG.5のステータスを「監視中」から「注目すべき変異株」に引き上げた。
結局、新しいワクチンを接種しても、日本でも冬にはEG.5が主流になるかもしれません。安全性が十分に確認されていないワクチンを接種するリスクより、メリットが上回ると言えるのでしょうか。

流行株にも対応していない、予防効果の持続期間も確立していないものが、ワクチンとしての役割を果たせるのでしょうか。
