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コロナワクチン初回接種、臨床試験なしでオミクロン株対応2価ワクチンを承認!

厚労省が8月4日に公表した事務連絡に、「8月7日より成人及び小児の初回接種に、ファイザー社のオミクロン株(BA.1 及び BA.4-5)対応2価ワクチン及び5~11 歳用オミクロン株(BA.4-5)対応2価ワクチンを用いることとする」と書かれています。これまで初回接種には起源株ワクチンが使われていましたが、2価ワクチンでの臨床試験は行われたのでしょうか。


コロナワクチン初回接種に関する事務連絡

厚労省のサイトで、下記の事務連絡が公開されています。

令和5年8月4日付の事務連絡
今後の新型コロナワクチン接種について(その6)

1.初回接種等の実施について
(1)初回接種について
8月2日にオミクロン株対応2価ワクチンの初回接種の使用が薬事承認されたところ、初回接種に用いるワクチンをより高い効果が見込まれるものとすることが適当であることから、既に供給されているファイザー社のオミクロン株(BA.1 及び BA.4-5)対応2価ワクチン及び5~11 歳用オミクロン株(BA.4-5)対応2価ワクチンを、8月7日より成人及び小児の初回接種に用いることとする。
ただし、8月7日以降であっても令和5年秋接種開始までの間に従来型ワクチンを接種した場合も間違い接種との扱いはしないこととするため、医療機関にその旨、周知をお願いしたい。

https://www.mhlw.go.jp/content/001131472.pdf

8月2日に薬事承認されたと書かれているので、PMDAのサイトで審査報告書を見てみました。

2023年08月02日 審査報告書 (特例承認の一部変更)

[審 査 結 果 ]
別紙のとおり、提出された資料から、SARS-CoV-2(起源株及びオミクロン株 BA.4-5)のスパイクタンパク質をコードする mRNA を含む製剤を用いる 6 カ月~4 歳の小児に対する追加免疫及び 6 カ月以上の全年齢層に対する初回免疫について、SARS-CoV-2 による感染症の予防に対する一定の有効性は期待でき、安全性について重大な懸念は認められておらず、許容可能と判断する。

https://www.pmda.go.jp/drugs/2023/P20230803001/672212000_30400AMX00015_A100_1.pdf


7.R 機構における審査の概略
7.R.1.2  6 カ月以上の全年齢層に対する 2 価ワクチン(起源株/BA.4-5)の初回免疫
2023 年 7 月時点で、本邦では全ての年齢層に対する初回免疫は、起源株ワクチンのみが使用可能である。一方、米国では 6 カ月以上の全年齢層に対して、2 価ワクチン(起源株/BA.4-5)による初回免疫が可能であり、欧州でも 2 価ワクチン(起源株/BA.4-5)を初回免疫に使用可能とする声明が発出されている 。本邦では 2023 年 7 月時点でもオミクロン株の支配的な状況が継続しており、オミクロン株の中でも亜系統が刻々と変化している 16)。2023 年 3 月には WHO の Strategic Advisory Group of Experts(SAGE)から初回免疫に BA.5 に対応する 2 価 mRNA ワクチンを使用することを検討するよう勧告が発出されている(SAGE updates COVID-19 vaccination guidance、2023 年 3 月 28 日)。

以上の新型コロナワクチンに係る国際的なコンセンサスを踏まえると、本邦においても 2 価ワクチン(起源株/BA.4-5)による初回免疫を可能とすることは合理性があり臨床的意義があると考える。本申請において、2 価ワクチン(起源株/BA.4-5)の初回免疫に係る臨床試験成績は提出されていないが、本申請で提出された非臨床試験成績、2 価ワクチン(起源株/BA.4-5)の追加免疫に係る臨床試験の免疫原性データ等に基づき、審査することとした。なお、申請者は 2 価ワクチン(起源株/BA.4-5)の初回免疫に係る臨床試験として、6 カ月~4 歳の小児を対象とする C4591048 試験のサブ試験 A を実施中であるが、2023 年 7月 18 日時点で評価可能なデータは得られていない。

https://www.pmda.go.jp/drugs/2023/P20230803001/672212000_30400AMX00015_A100_1.pdf

「本申請において、2 価ワクチン(起源株/BA.4-5)の初回免疫に係る臨床試験成績は提出されていない」と書かれています!

非臨床試験の成績、2 価ワクチン(起源株/BA.4-5)の追加免疫に係る臨床試験の免疫原性データ等に基づき審査したということです。

2価ワクチンは追加接種で、死亡事例が多数報告されています(下記参照)。それなのに、「安全性について重大な懸念は認められておらず」と言っています。死亡事例については「評価不能」で逃げているだけなのに、なぜ重大な懸念がないと言えるのでしょうか。


米国や欧州での2 価ワクチンによる初回免疫

アメリカやEUではすでに2価ワクチンの接種が進んでいるかのような書き方をしていますが、安全性が確認されているわけではありません。

アメリカでは、2023年4月から起源株ワクチンが使用不可となりました(下記参照)。


On April 18, 2023, the Food and Drug Administration amended the emergency use authorization (EUA) of Pfizer-BioNTech COVID-19 Vaccine, Bivalent to simplify the vaccination schedule for most individuals.

The monovalent Pfizer-BioNTech COVID-19 Vaccine is no longer authorized for use in the United States.

https://www.fda.gov/vaccines-blood-biologics/coronavirus-covid-19-cber-regulated-biologics/pfizer-biontech-covid-19-vaccines

ファイザー社製(Pfizer-BioNTech)コロナワクチンの緊急使用許可を修正し、2価ワクチンのみでスケジュールを簡素化。起源株の1価ワクチンは、もうアメリカでは使用が許可されていません。

現在流通しているのは2価ワクチンだけなので、接種したい人は2価を接種してもいいですよという感じで、それも正式承認ではなく、緊急使用許可のままです。緊急使用許可は、正式承認と同じ審査を経ていません。

Individuals 5 years of age and older:
Unvaccinated individuals
: A single dose of Pfizer-BioNTech COVID-19 Vaccine, Bivalent.

https://www.fda.gov/vaccines-blood-biologics/coronavirus-covid-19-cber-regulated-biologics/pfizer-biontech-covid-19-vaccines

初回接種の場合、「2価ワクチンを1回接種」と書かれています。

日本では、「初回免疫として、1 回 0.3 mL を合計 2 回、通常、3 週間の間隔で筋肉内に接種する」と審査報告書に書かれています。この違いはなんなのでしょうか。


EUについては、「欧州でも 2 価ワクチン(起源株/BA.4-5)を初回免疫に使用可能とする声明」の資料として、欧州医薬品庁(EMA)のEmergency Task Force (ETF) 声明が記されていました。

ETF statement on the use of the EMA approved bivalent
original/Omicron BA.4-5 mRNA vaccines for primary
series
 2022年12月6日

これは「承認」ではなく「声明」であり、下記のように書かれています。この資料しか示せるものがなかったとしても、説得力のない資料です。

Clinical supportive data
There are no clinical studies available for primary vaccination with the bivalent mRNA vaccines.

https://www.ema.europa.eu/en/documents/other/etf-statement-use-ema-approved-bivalent-original/omicron-ba4-5-mrna-vaccines-primary-series_en.pdf

(2価 mRNA ワクチンの初回接種に関して、入手できる臨床研究はない)

ETF conclusion
Further clinical research, including observational studies, is expected to provide additional information on use of the bivalent vaccines for the primary series, especially in children.

https://www.ema.europa.eu/en/documents/other/etf-statement-use-ema-approved-bivalent-original/omicron-ba4-5-mrna-vaccines-primary-series_en.pdf

(観察研究を含むさらなる臨床研究により、特に小児の初回接種に2価ワクチンを使用することに関する追加情報が提供されることが期待されている)

つまり、アメリカでもヨーロッパでも、初回接種に2価ワクチンを使用することの安全性について、十分なデータはないということです。

2023 年 3 月に WHOが出した勧告については、下記のURLが記されています。
SAGE updates COVID-19 vaccination guidance

Separate to the roadmap, SAGE also updated their recommendations on bivalent COVID-19 vaccines, now recommending that countries can consider using BA.5 bivalent mRNA vaccine for the primary series.

確かに、「初回接種に BA.5対応2価 mRNA ワクチンの使用を検討するよう推奨している」と書かれていますが、安全性などについては触れられていません。

そもそも、もう緊急事態ではないのに、なぜ「特例承認」を続けているのでしょうか。

(参考)特例承認とは
   医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第14 条の3第1項の規定に基づき、
   1.疾病のまん延防止等のために緊急の使用が必要、
   2.当該医薬品の使用以外に適切な方法がない、
   3.海外で販売等が認められている、
  という要件を満たす医薬品について、承認申請資料のうち臨床試験以外のものを承認後の提出としても良い等として、特例的な承認をする制度です。

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_16734.html

秋からの接種用に新しいオミクロン株XBB対応ワクチン(1価ワクチン)を契約しているので、不要になる2価ワクチンの在庫処分をしていきたいからではないでしょうか。

このような審査のやり方で、安全性を確認したといえるでしょうか。厚労省が「承認」と発表しても、それをそのまま信じていては健康や命を守ることはできないでしょう。