新成人の皆さんへ ~過去の事例が教えてくれる、契約トラブルの防ぎ方~
2022年4月1日に、成年年齢が20歳から18歳に引き下げられます。18歳、19歳でも成人として1人で契約できるようになりますが、その分、契約に関するトラブルが増える恐れがあります。被害にあわないためには、疑問を持ち、自分で調べることが大切です。疑問を持つには、過去の事例を学ぶことが役立ちます。手口を知っておくことで、多くのトラブルは防げるのです。
国民生活センターに寄せられた事例
国民生活センターでは、消費者トラブルについて様々な注意喚起をしています。最新の事例も紹介されているので、手口を知るために役立つサイトです。若者に多い被害に関しては、「若者向け注意喚起シリーズ」が公開されています。
若者向け注意喚起シリーズ
【若者向け注意喚起シリーズ<No.8>】新生活が狙われる?引越直後の訪問販売トラブル-管理会社と関連があるかのように思わせる手口に気をつけて!
【若者向け注意喚起シリーズ<No.9>】タレント・モデルなどの契約トラブル-あなたの夢やあこがれにつけ込んでくる事業者に気をつけて!
【若者向け注意喚起シリーズ<No.10>】新しいお部屋で新生活!「賃貸借契約」を理解して、トラブルを防ごう!!
お金に関するトラブルも多いですが、美容に関するトラブルも多く報告されています。整形手術などの医療行為は、元に戻すことができないケースも多いです。安易に契約しないように、美容医療に関するトラブルの事例を見ておきましょう。
【若者向け注意喚起シリーズ<No.1>】美容医療サービスのトラブル-「10万円」のつもりが「70万円」の契約!?即日施術は避けリスク等の確認を!
【事例2】「手術当日に化粧できる」という二重まぶた形成術を受けたが、術後の腫れが引かない
「二重まぶたの手術が1日で可能、手術当日に化粧できる」という SNS 広告を見てカウンセリングだけのつもりで申込みをした。カウンセラーから手術方法と料金の説明があった。
「50 万円の手術は腫れないし、痛みが少なく当日化粧もできる」「一緒に目の下の脂肪吸引もやるとよい。モニター契約にすれば安い」と勧められ、一緒に申込み 90万円の契約を結んだ。
そのまま当日に手術することになり、手術室で初めて医師と対面したがリスクの説明などはなかった。「腫れない、当日化粧できる」と聞いていたのに、術後1週間経っても腫れが引かず、仕事を休むことになった。クリニックからは様子を見るようにとしか言われない。
(2020 年6月受付 20 歳代 女性)
「50万円の手術は腫れない」と断言していますが、個人差などもあるのでリスクの説明がないのはおかしいです。医師からもリスクの説明がなく手術を行うなんて、あってはならないことだと思います。自分の身を守るためには、このことに疑問を持たなければなりません。この事例では、結局1週間経っても腫れが引かず、クリニックからのフォローもない状態となっています。
このような事例に対して、下記のような対策ポイントが書かれています。(4)(5)もあるので、ぜひPDFで確認してください。

さらに、「施術の効果・リスクなどに関する説明・認識」についても詳しく説明しています。
美容医療サービス等の自由診療におけるインフォームド・コンセントとして、医師は施術に伴う副作用や合併症のほか、施術費用及び解約条件、保険診療での実施の可否、効果には個人差があることなどについても丁寧に説明することが求められています。
一方消費者は、受けてみたい施術やクリニックについて調べていると「きれいになりたい」と思う気持ちで、効果やメリットばかりに目がいきがちですが、施術のリスクや契約条件なども正しく認識することが重要です。いわゆるプチ整形と呼ばれる施術は比較的費用が安かったり、「切らない」「手術跡がバレない」「手術直後からメイクOK」などと手軽さが強調されている場合もありますが、リスク・副作用がまったくないわけではありません。
どのような施術を希望している場合であっても、医師からリスク・副作用等の説明を受けしっかりと納得したうえで施術を受けるかどうか判断してください。
上記は、美容に限らず、自分の体や健康、そして命を守るためにとても大切なことです。病院などでも、様々な書類にサインする機会があります。そのようなときに、「医師が勧めるのだから安心」と思いこみ、自分で調べずにサインしてしまう人も少なくありません。
きちんと調べてからサインしましたか?
「自分は大丈夫」と思っているかもしれませんが、思わぬところに落とし穴があるかもしれません。しっかりと「調べる」という行動に移せているかどうか、最近皆さんが体験したあることを例に確認することができます。
以下の内容は、「調べる」という行動を確認にするための「例」として取り上げます。どちらかの選択が正しい、ということが言いたいのではありません。重要なのは、「調べた上で選択したか」ということです。
Q1:新型コロナワクチンを接種するかどうか決めるときに、この説明書をじっくりと読みましたか?
ファイザー社用

モデルナ社用 https://www.mhlw.go.jp/content/000782621.pdf

なお、本ワクチンは、新しい種類のワクチンのため、これまでに明らかになっていない症状が出る可能性があります。
Q2:「これまでに明らかになっていない症状が出る可能性がある」という部分は気になりましたか?
Q3:現在の説明書(2021年12月改訂)と、2021年6月時点での説明書の内容が違うことを知っていますか?

2021年6月時点では、心筋炎・心膜炎に関する記述はありませんでしたが、2021年8月頃に追記されています。
Q4:少しでも疑問に思ったことを、医師に確認しましたか? 医師は納得のいく説明をしてくれましたか?
Q5:ワクチンに関する情報を、下記のサイトで確認しましたか?
ファイザー社
モデルナ社
PMDA(独立行政法人 医薬品医療機器総合機構)のサイトでは、新しい薬や自分が処方される薬について、副作用や飲み合わせの注意などを調べることができます。
今回のワクチンは、通常の承認とは違う「特例承認」です。通常は、薬の開発には基礎研究(2~3年)、非臨床試験(3~5年)、臨床試験(3~7年)、承認申請と審査(1~2年)となっています。基礎研究はしていたとしても、その後があまりにも短いです。
「特例承認に係る報告書」からは、非臨床試験や臨床試験の結果なども詳しく知ることができます。一般の人には難しい内容ではありますが、後半に書かれた安全性に関する部分などは知っておく必要があると思います。
「特例承認に係る報告書」も、上記のページで公開されています。他の薬について知りたいときは、下記のページから検索できます。
また、厚労省のサイトでは、接種後に起きている副反応疑いの報告が定期的に公開されています。今回のワクチンの場合、医療従事者や高齢者が先に接種しました。先に接種した方たちの報告が公的機関から公開されているなら、それらは貴重な情報となります。若い世代が接種するまでには、それらを調べる時間は、十分にあったと思います。
厚労省サイト ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 厚生科学審議会(予防接種・ワクチン分科会 副反応検討部会)> 第77回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会
Q6:接種は任意であることを知っていますか?

職場や周りの方などに接種を強制したり、接種を受けていない人に差別的な扱いをすることのないよう、皆さまにお願いしています。仮にお勤めの会社等で接種を求められても、ご本人が望まない場合には、接種しないことを選択することができます。
接種は任意であり、厚労省のサイトにも「接種しないことを選択することができる」と書かれています。メリットがデメリットより大きいことを確認して勧めていると書いてありますが、自分で調べて、自分にとってデメリットの方が大きいと判断したら、接種しないことを選択してもよいということです。
サインすることの重み
ワクチンを接種する際には、必ず予診票に必要事項を書き、「接種を希望します」にチェックを入れます。

「医師の診察・説明を受け、接種の効果や副反応などについて理解した上で、接種を希望しますか」と書かれています。
これは金銭が絡んだ契約ではありませんが、注意しなければならない点などは、契約トラブルの事例と重なります。
もし、医師からきちんとした説明を受けていなくても、副反応について理解していなくても、「接種を希望します」にチェックしてしまったら、説明を受けて理解したと見なされます。
もし接種後に、医師が診断してもよくわからない症状があらわれて「医師はそんな説明しなかった!」と訴えても、非を認めさせることは難しいでしょう。なぜなら前述の説明書にも、「これまでに明らかになっていない症状が出る可能性がある」と書いてあり、それも理解した上で「接種を希望します」にチェックを入れたと見なされるからです。
契約書やそれに類似する書類にサインするということは、それほどの重みがあるのです。
書かれたことをただ読むだけでなく、「なぜ無料なのか?」「なぜ他店より安くできるのか?」など、問いかけをしながら読むことが大切だと思います。答えが見つからなければ、契約する相手に確認し、もし納得のいく答えがもらえなければ、契約は考え直した方がよいでしょう。

消費者庁などが出している啓発用のチラシです。困ったときに連絡するホットラインの情報などが書かれています。
「○○さんが勧めるなら安心」は危険!
もっとも危険なのは、「○○さんが勧めるなら大丈夫だろう」という思い込みです。仲のよい友達やお世話になっている先輩が勧めるからといって、その人たちがしっかり調べているとは限りません。よかれと思って勧めても、勧めた本人がリスクについて調べていなかったということもよくあります。
医師や専門家にも様々な立場や考えの人がいるので、全て正しいとは限りません。国が勧めるからといって、安全とも限りません。それは、過去の薬害訴訟について学べばわかります。
自分で調べた上での決断でも、望まない結果になることはあるでしょう。けれども、人に言われるままに、自分で調べないで決めたことが望まない結果となった場合は、誰かを恨んだり、人のせいにしたくなり、トラブルによる損失だけでなく、人間関係も壊れてしまいます。
過去の事例からは、多くのことが学べます。疑問を持ち、自分で納得いくまで調べることが大切です。
