3ヶ月以上続く腕の痛みや指先のしびれ~ワクチン誤注入によるSIRVAの事例~
厚労省のサイトで公開されている「新型コロナワクチン接種後の副反応疑い報告」に、SIRVAと診断された人がいました。大手メディアなどでは取り上げないので、私は初めて知りましたが、実は同様の症状に悩まされている人は多いのではないでしょうか。
ワクチン誤注入による腕の痛みとしびれ
接種した腕に重だるい強い痛みと、肘から指先のしびれが続き、SIRVA(Shoulder injury related vaccine administration)と診断された事例です。
厚労省サイト ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 厚生科学審議会(予防接種・ワクチン分科会 副反応検討部会)> 第76回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会、令和3年度第28回薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会(合同開催)資料 2月18日
資料1-2-3-1より。
紹介する報告は、重複している部分などは編集してあります。BNT162b2は、コミナティ筋注(ファイザー製)のことです。時系列で追えるように、順番を入れ替えたりしています。
※は、こちらで補足しました。
事例:17231 48歳女性 コミナティ筋注1回目接種 ロット番号:FF5357
関連する病歴はなかった。ワクチンの予診票での留意点はなかった。
臨床経過:
2021/09/10 17:00(ワクチン接種の 6 時間後)、SILVA(Shoulder
injury related vaccine administration)が発現した。(※SIRVAの間違い?)
事象の経過は以下の通りであった:
2021/09/10 11:00、 左上腕に 2 回目(※1回目の間違い?)の COVID-19 ワクチン接種を受けた。接種時に神経障害を疑うような疼痛エピソードはなし。同日夕方から、上腕の痛みあり。
2021/09/11、2021/09/12 は発熱あり、発熱のためベッドで寝込んでいた。上腕周囲の痛みは持続していた。
2021/09/13 解熱後、日常生活を送る中で、左上肢全体の重だるい強い痛みと、左肘から指先のしびれを自覚した。
2021/09/21 に筋力低下あり、食器を割り不安になった。
2021/09/22 近医脳神経外科受診した。頭部と頚椎 MRI(磁気共鳴画像)撮影するが異常無し。症状続くため、近医神経内科受診するも、異常無し。
2021/10/29 当院初診となった。握力:右腕 26kg、左腕 17kg。通常上腕での筋肉注射で問題となる橈骨神経、腋窩神経には知覚低下など神経障害を疑う所見なし。肩関節可動域制限は外転 160 度と軽度のみ。ペインフルアークは陽性。経過から SILVA(Shoulder injury related vaccine administration)の診断となった。疼痛持続するため、肩の MRI 撮影した。三角筋と棘上筋の間に炎症所見あり。ワクチン投与関連肩損傷のために治療的な処置は行われなかった。
2021/09/13 事象の発熱の転帰は回復であった。
2021/12/28(ワクチン接種の 109 日後)、他の全ての事象の転帰は未回復であった。
報告医師は、事象を重篤と分類し、事象は BNT162b2 と関連ありと評価した。他要因(他の疾患等)の可能性はなかった。
報告医師は、以下の通りにコメントした:COVID-19 ワクチンの接種後からの症状であり、ワクチンが肩峰下滑液包に誤注入されたことに伴う SILVA(Shoulder injury related vaccine administration)と考えている。
MRI でも同部位に炎症所見を認め、肩関節周囲炎の状態である。可動域制限が軽度のわりに、かなり強い疼痛が続いており、SILVA(Shoulder injury related vaccine administration)であれば、数ヶ月で軽減すると考えているが、現在もなかなか鎮痛が得られていない。疼痛が続くと、凍結肩(※肩が固まって動かなくなる症状)に移行するリスクもあると考えている。
SIRVAなら数ヶ月で軽減すると言っていますが、この方はすでに4ヶ月近く症状が続いています。
SIRVA(Shoulder injury related vaccine administration)とは?
厚労省など、公的機関のサイトで情報を見つけることはできませんでしたが、「SIRVA ワクチン 誤注入」などで検索すると対応している医療機関などに情報があります。勝手にリンクしてよいかわからないのでリンクしませんが、ある医療機関のブログには、新型コロナワクチン接種が始まった早い時期にSIRVAのことが書かれており、コメント欄にはSIRVAかもしれない方たちから、多くの相談が寄せられていました。
CDC(アメリカ疾病予防管理センター)の資料には、下記のように書かれています。
Shoulder Injury Related to Vaccine Administration
●Shoulder injury related to vaccine administration (SIRVA) was added to the Vaccine Injury Compensation Table in March 2017
●Shoulder injuries related to vaccine administration are injuries to the musculoskeletal structure of the shoulder, including the ligaments, bursa, and tendons
• They are thought to occur as a result of the unintended injection of vaccine antigen and/or trauma from the needle going into and around the underlying bursa of the shoulder
• Symptoms include shoulder pain and limited mobility after the injection
(SIVRAは、2017年3月にVaccine Injury Compensation Table(※)に追加された。靭帯、滑液包、腱など、肩の筋骨格系構造の傷害によって引き起こされる。肩の滑液包やその周辺へのワクチンの誤注入により発生すると考えられている。接種後に、肩の痛みや可動域の制限などの症状が出る)
※Vaccine Injury Compensation Tableは、アメリカのワクチン健康被害補償プログラム(VICP:Vaccine Injury Compensation Program)の対象となる症状や発現までの期間が書かれた表のようです。厚労省の資料に、日本との比較がありました。

Vaccine Injury Tableに該当する場合は、厳密な医学的因果関係の立証を求めずに速やかに補償される仕組みとなっており、迅速な救済を可能としてい
る。なお、Tableに該当しない場合は請求者が立証責任を負う。
Vaccine Injury Tableによると、SIRVAに該当する基準として、「事前に患部の肩に痛み、炎症、機能障害などの既往歴はない」「ワクチン注射後に発生した検査所見」などがあります。ワクチンごとに発現までの時間が決められていて、それを越えると認定されないようです。
追記:上記がリンク切れとなり、2022年版になっていました。
https://www.hrsa.gov/sites/default/files/hrsa/vicp/vaccine-injury-table-01-03-2022.pdf
例えばHPVワクチンの場合、SIRVAは「48時間以内の発現」となっているようですが、新型コロナワクチンについては書かれていません。新型コロナワクチンは、VICPの対象にはなっておらず、代わりのCICP(Countermeasures Injury Compensation Program)には対象傷害の公式な表はまだないようです。
今後、日本でSIRVAが救済の対象となるかわかりませんが、誤注入されないためには、正しい位置を知っておく必要がありそうです。
奈良県立医科大学 整形外科・臨床研修センターのサイトに、「筋肉注射マニュアル(v1.7)」が公開されています。PDFへの直接リンクは避けるようにとのことなので、針を刺す位置や角度などは下記のページからマニュアルをチェックしてみてください。テレビなどで見ると、これより高い位置に接種しているように感じます。
新型コロナワクチンの集団接種会場などでは、筋肉注射に慣れていない医師もいると思われます。もし誤注入のせいで痛みが起きている人が多くいるなら、接種する医師たちにもっと注意喚起したり、接種後の症状を診る医師たちにSIRVAの可能性を周知する必要があるのではないでしょうか。きちんと診断されなかったり、治療によって痛みはなくなったけれどかなりの治療費がかかったという方も少なくないようです。
2014年に起きた事例として、「医師が子宮頸がん予防ワクチンを適正位置より高い位置に注射した過失により、患者に左肩関節炎が発症。市立病院側に損害賠償を命じた地裁判決」という記事もありました。
もしかしたら、新型コロナワクチンでも、このような裁判が起きてもおかしくないような事例がたくさんあるのではないでしょうか。
