私の撮り鉄日記 〜SL冬の湿原号後編〜
前回の続きです。
1月23日
この日も朝から快晴。私は関東から来る友人を迎えに行くため、朝から釧路空港へ向かいました。

羽田空港からのAIRDO71便は定刻通りに到着し、無事に友人と合流。そのまま車を走らせ、釧路駅西側の北中跨線橋へやって来ました。
ここは釧路運輸車両所から出庫する列車を撮影できる定番ポイントで、SL冬の湿原号運転日には多くのカメラマンで賑わいます。
10時30分過ぎになると、車庫の奥から客車を引き連れたC11がゆっくりと姿を現しました。

出庫直後から豪快に煙を吐くC11、そのおかげで後ろの客車がほとんど見えなくなってしまいました。
私が普段見慣れているSLは、秩父鉄道のパレオエクスプレスや東武鉄道のSL大樹など、どちらかといえば煙が控えめな列車です。
そのため、回送列車ですら爆煙で応えてくれるこのサービス精神旺盛な列車は、少々撮り慣れないのでした。
その後は再び釧路川橋梁へ。
この日は冷え込みがやや弱かったのか、釧路川の氷も少なめでした。


C11 171+14系・43系5両
そしてSL冬の湿原号が通過。
この日は昨日に比べて風が弱かったため煙が落ち着いてくれました。さらにまた補機なしということで、復路への期待が高まります。
その後は友人の希望で、復路の撮影地へと向かう前に、塘路駅近くにある「プレッツェモーロ」で昼食を取ることにしました。

少し独特な注文・提供スタイルのお店ですが、口コミの評価が高いだけあってパスタは絶品でした。

さて、腹ごしらえも済んだことですし、いざ茅沼へ――。
そう思った矢先でした。
昨日と同じように、西の空に雲が広がり始めたのです。
――またこのパターンか……本当に午後の標茶は晴れないなぁ。
それでも僅かな可能性に賭けてコッタロ踏切へ向かいましたが、到着した頃には西の空は分厚い雲に覆われ、さらには雪まで舞い始めました。
――これは無理だな。
完全に諦めモードとなった私達の前を、SL冬の湿原号は静かに通過していったのでした。

C11 171+14系・43系5両
少し肩を落としながら釧路方面へ戻っていると、不思議なことに昨日と同じく市内へ近づくにつれて雲が減り始め、西の空には青空が広がってきました。
――これなら晴れるかもしれない!
私達は先回りし、遠矢駅近くの撮影地で二発目を狙うことに。
通過時間が近づくにつれて雪も止み、美しい冬の日差しが線路を照らし始めました。
そんな中を、SL冬の湿原号が通過していきます。

C11 171+14系・43系5両
木や電線の影は気になるものの、無事にバック運転の晴れカットを確保することができました。
とはいえ、木の影をかわすためにかなり圧縮したため、完璧とは言えません。
明日こそは茅沼が晴れて欲しい!と強く願うのでした。
1月24日
SL冬の湿原号の発車まで時間があったため、この日は朝から根室本線に立ち寄り、キハ261系の特急おおぞらを撮影しました。

キハ261系5両
キハ283系の引退前には大勢の撮影者で賑わった場所ですが、この日は他に誰もいません。個人的にはキハ261系も十分格好良いと思うのですが…
その後は昨日と同じく北中跨線橋で出庫を撮影。
この日は昨日以上に煙を沢山吐いてくれたため、客車が全く見えなくなってしまったのでした。

続いて釧路川橋梁で往路を撮影しました。

C11 171+14系・43系5両
この日は朝からかなり冷え込みましたが、それでも釧路川の凍結は控えめ。温暖化によって、やはり全面凍結は難しくなってきているのかもしれません。
そして昼食も昨日と同じく「プレッツェモーロ」です。

2日連続で鉄道ファンらしさ全開の2人組が訪れたので、なかなかのインパクトだったのでしょう。どうやら店員さんに顔を覚えられたようで、
「今日もありがとうございます」
と声を掛けていただきました。
この時期は私達のような鉄道ファンも訪れるそうですが、主なお客さんはワカサギ釣り目的の方々なのだとか。
さらに、昨日目当ての列車が曇ったことを話すと、
「今日こそ良い写真が撮れるといいですね」
と応援までいただきました。
嬉しい激烈の言葉を胸に、私達は再び茅沼へ向かいます。
予報を見る限り、この日が最も晴れる可能性が高かったのですが、現地に着いてみるとやはり西の空には雲。
――もしかして今日もダメなのか……。
毎日のように14時頃になると西から湧いてくる雲、これは一体どういう仕組みなのか。
ですがこの日はこれまでと少し違い、雲の切れ間から青空が見えていました。さらにラッキーなことに、タンチョウが空飛ぶ姿も見ることができました。

ーーこれは良い流れだ、チャンスはある!
そしてSL冬の湿原号が通過していきました。
さて結果は……

C11 171+14系・43系5両
ーーなんと晴れ!
通過時は、雲の切れ間から太陽が顔を出してくれたのです。
雲量1桁%予報ですらこのギリギリさ、午後の標茶町がどれほど難しいか、身をもって実感しました。
3日目にしてようやく手にした茅沼での晴れカット。私達は喜びを噛み締めながら釧路へ戻ったのでした。
さらに先回りも成功し、1日目と同じ釧路川橋梁でも撮影。

C11 171+14系・43系5両
今度は煙が流されることなく、理想に近い形で収めることができました。
さて、ようやく大満足のカットが得られて大変気分が晴れやか。
ということでこの日の夕食は少し豪勢に、釧路駅近くの店でジンギスカンをいただいたのでした。

1月25日
遠征最終日、この日も朝から根室本線で特急おおぞら4号を撮影しました。
冬の時期だからか、土日でも増結してくれないようです。

キハ261系5両
その後はいつものように北中跨線橋へ向かい、今度は横の構図で出庫を撮影。この日も相変わらず見事な煙です。

そこで思わぬ変化に気付きます。
――あれ、今日は補機が付いてる!?

昨日までSL単独だった編成に、この日はノロッコ用のDE10が連結されていたのです。
再びC11が不調になったのか、あるいは日曜日で乗客が多いため、遅延防止を兼ねた措置なのかもしれません。
真相は分かりませんが、少なくとも今日だけは補機付き編成となりました。
その後はサルルン展望台へ。塘路湖を背景に、釧路湿原を走る列車を俯瞰できる有名撮影地です。
さすがに連日釧路川橋梁ばかりでは飽きてしまうので、最終日は違う景色を楽しむことにしました。

C11 171+14系・43系5両
さらにせっかくなので、標茶駅でSLの機回しも見学していくことにしました。

そして復路撮影へ向かおうとした頃、またしても西の空から雲が広がり始めました。毎回同じ展開です。
とはいえ、昨日すでに晴れカットは確保済み。しかも今日は補機付き編成なので、精神的な余裕は十分にありました。

C11 171+DE10 1661+14系・43系5両
案の定、茅沼は曇りました。
4日間すべて快晴予報だったにもかかわらず、結果は1勝3敗と、14時過ぎの標茶町がどれだけ晴れにくいのか、改めて思い知らされます。
さらに遠矢駅近くでも狙いましたが、最後まで晴れてはくれませんでした。

C11 171+DE10 1661+14系・43系5両
その後は遠矢駅近くにある「南蛮酊」という定食屋で遅めの昼ご飯、なかなかのボリュームでお腹いっぱいになったのでした。


そして雪道で汚れたレンタカーを洗車し、釧路駅近くで返却。そして釧路空港から関東へ戻ったのでした。

こうして、バック運転を行うSL列車の晴れカットを無事に得ることができた今回の遠征。
雪で真っ白になった釧路湿原の景色を堪能できたことはもちろん、普段は単独行動ばかりのため、友人と一緒に旅をしたことも貴重な良い思い出となりました。近況報告や楽しく会話をしながら撮影地を巡り、列車を待ったのも充実した時間だったのです。
――さて、乗った飛行機は羽田空港に定刻通り到着し、私は無事に帰宅しました。
寝る前にスマホを確認すると、ある表示が目に入ります。
「特急おおぞら4号 千歳駅停車中」
そう、このおおぞら4号は私達が朝に根室本線で撮影した列車です。
実はこの日、札幌圏が記録的な大雪に見舞われ、鉄道網はほぼ麻痺状態。そのため私が帰宅して寝る時間になっても、まだ終点の札幌駅へ到着できていませんでした。
釧路はずっと天気が良かったため、旅行中は全く意識していませんでしたが、実は根室本線の特急列車も大幅に乱れていたのです。
さらに調べてみると、釧路から出る公共交通機関で無事に運行されたのは、釧路↔︎羽田便くらいだったようでした。
つまりこの日、釧路からは羽田空港しか行くことができなかったのです。
午後の標茶の晴れ間を追い続けた4日間。
振り返ってみれば、天気だけでなく旅そのものも、実に紙一重の遠征だったのでした。
ーー終わり
