私の撮り鉄日記 〜SL冬の湿原号前編〜
さて、相変わらず私は好きな被写体の理想的なカットを求めて、休みの日となれば(以下略)。
今回は、SLの客車列車を撮るためにはるばる北海道へ行った話です。
目当てはSL冬の湿原号。
冬季を中心にJR北海道が運行する観光列車で、釧網本線の釧路〜標茶間を1日1往復しています。
真冬の釧路湿原を眺めながらレトロな客車で旅を楽しめることから、国内外の観光客に大変人気の列車です。
そしてこのSL冬の湿原号には、全国でも非常に珍しい特徴があります。
そう、バック運転(逆機)です。
バック運転とは、SLが本来とは逆向きのまま列車を牽引する運転形態のこと。かつては全国各地で見られた光景で、少し前までは大井川鐵道でも行われていましたが、2011年10月に新金谷駅に転車台が作られたのを機に終了。現在定期的に見られるのはこのSL冬の湿原号のみとなっています。
そんな貴重なバック運転のSLを撮影するため、私は今年の1月22日〜25日にかけて道東へ行ったのでした。
実は以前にも一度、この列車を撮影しに釧網本線を訪れたことがあります。しかしその時は牽引機であるC11 171が故障してDE10による代走となっており、それが目当てでした。


釧網本線9381レ DL冬の湿原号
DE10 1690+14系・43系5両
もちろんDL冬の湿原号も大変格好良かったのですが、やはり本来のSL編成も撮っておきたい。
そんな思いから、今回4年ぶりに再挑戦することになったのです。
ところが、このC11 171は近年たびたび不具合を起こしており、最近ではDE10が補機として連結されることが増えていました。
補機は基本的に釧路側へ連結されるため、往路ではあまり目立ちません。しかし私が狙う復路ではSLのすぐ後ろに付く形となり、SL+DL+客車という少々複雑な編成になります。
"どうせならSL単独で牽引する姿を撮りたい"
そう願っていた私ですが、運行開始2日目の1月18日、早くもノロッコ用機関車のDE10 1661が補機として連結されたとの情報が流れてきました。
ーーやはり今年も厳しいのか……
出発前から少しだけ気持ちが萎えていたのでした。
とはいえ飛行機も宿ももう予約しています。
それにノロッコ用機関車のDE10 1661の2エンド側を撮れる機会もそう多くありません。何なら往路は綺麗に後追いできるポイントがいくつもあります。
これは補機メインで撮るだけでも訪れる価値は十分にある。
そう考えながら撮影地の候補や行程を練り直し、当日を迎えたのでした。
2026年1月22日
私は早朝に起きて羽田空港へ。
これから朝イチの飛行機で釧路空港へ向かいます。

SL冬の湿原号の釧路駅発車時刻は11時05分と遅めのため、当日の朝に関東を出発しても十分間に合うのです。

そして飛行機は定刻通りに釧路空港へ到着。
そこからバスで釧路駅へ向かいます。
関東では汗ばむほど厚着してきたのですが、さすがは真冬の道東。この時の気温はおよそマイナス15℃で、空気の冷たさが肌に刺さるようでした。
バスは約40分で釧路駅へ到着。毎回この駅舎を見ると、はるばる釧路まで来たんだなぁと実感するものです。


私はレンタカーを借り、最初の撮影地である釧路川橋梁へ向かいました。
ここはSL冬の湿原号の最も有名な撮影地であり、この日は平日にもかかわらず、多くの撮影者で賑わっていました。

さて、真冬の釧路川では、朝を中心に蓮の葉氷が発生することがあります。
この日も岸辺には氷が広がっていましたが、川全体が真っ白になるほどではありません。
気温は十分低いはずですが、風向きや水の流れなど様々な条件が揃わないと難しいのでしょう。
ですがせっかくなので、川に張った氷が写る画角でカメラをセットしたのでした。

そして11時05分、SL冬の湿原号が釧路駅を発車しました。
撮影地から駅までは1km以上離れていますが、発車時の汽笛は驚くほどよく聞こえてきます。
数分後、煙を上げながら列車が姿を現しました。

C11 171+14系・43系5両
この日も満席だったようで、乗客と沿線の撮影者が手を振り合う、観光列車らしい光景が広がっていました。
――あれ、補機が付いていない?
てっきりこの日も補機付きだと思っていたのですが、どうやらC11は復調したようです。
となれば話は変わります!
私は二発目は潔く諦め、急遽予定を変更して復路撮影に全力を注ぐことにしました。
向かった先は茅沼駅近くのコッタロ踏切です。
ここはバック運転のSLを順光で撮影できる定番ポイントで、前回のDL代走時は大変な賑わいでした。
今回も混雑するだろうと予想し、私は通過2時間以上前に到着して場所を確保。カメラをセットして列車を待つことにしました。
さて、ここで少し天気の話を。
私は釧路の冬に対して「よく晴れる」というイメージを持っていました。
実際、西高東低の冬型の気圧配置になると大雪山系などの高い山が雪雲を遮り、釧路周辺には乾いた空気が流れ込みます。そう、関東が冬にスッキリ晴れるのと似たような仕組みです。
そしてこの日も朝から雲がほとんどない快晴だったため、私は天気を心配していませんでした。
ところが、どうやら標茶町は少し事情が違ったようです。
午後になると西の空に雲が湧き始め、それが次第にこちらへ流れ込んできます。
到着時には見事な青空だった空も、14時頃には太陽の周辺が雲に覆われてしまいました。
それでもわずかな切れ間に期待したのですが――。
その願いも虚しく、ご覧の通り通過時は見事な曇りになってしまいました。

C11 171+14系・43系5両
まるで冬の湿原号の通過時刻を狙ったかのような素晴らしい曇り空、これには落胆するしかありませんでした。
ですが釧路へ向けて車を走らせていくと、南下するにつれて徐々に雲が少なくなり、太陽が見えてきたのでした。
ーー釧路付近で撮れば晴れカットが得られるかも!
そう思った私は、釧路川橋梁のポイントへと寄り道することに。午前中に往路を撮った岸とは反対側の場所で、こちらも有名な撮影地です。
西の空には雲が無くなり、夕方の素晴らしい光線が線路を見事に照らしています。
ーー茅沼は曇ったけど、ここが晴れたらまぁ今日のところは良しとするか…
そう思う私の前を、SL冬の湿原号は汽笛を鳴らして通過していくのでした。
ーーなんだこれは!!?

C11 171+14系・43系5両
この日は北風がやや強めに吹いていた結果、SLが吐いた煙が南へ流れ、客車を隠すという何とも悲しい結果に。
SLを撮る場合は、風向きや強さも気にしないといけないことを忘れていました。
このように散々な結果で終了した1日目。
でもまだ初日、諦めるのにはまだ早すぎます。
それに幸い明日も明後日も明々後日も快晴予報のため、まだまだチャンスはあります。
明日はきっと晴れてくれる!
そう信じながら、私は釧路駅前のホテルへと向かったのでした。

ーーさて、初日は悔しい結果となったSL冬の湿原号。どうやら標茶方面の午後は、思っていたほど簡単には晴れてくれないようです。
果たして私は、この午後の標茶の不安定な天気に勝ち、念願の晴れカットを手にすることができるのか……。

キハ261系6両
ーー後編に続く
