明日もタマネギになって、人をつなごう
「直接話してくれー」
仕事で連絡役をすることがある。
スクールカウンセラーでは子ども、保護者、教員をつなぐ。
娘の少年野球では、監督と保護者をつなぐ。
昔勤めていた電話相談では、管理職、指導主事、相談員をつないでいた。
口頭、LINE、メールなどで。
正直、「直接話してくれー」と思うことも多い。
しかし役割だから、間に入って伝える。
そのほうが、双方話しやすいこともあるみたいだ。
話しやすい人になりたい。
「道を聞かれる人になりなさい」という指導をする企業もあるようだ。
俺はよく道を聞かれる。
学会で旅行中の時もだ。
俺も初めての道なのに、何とか教えようとする(笑)。
研修会にスーツで参加すると、係員に間違えられる。
参加者「トイレどこですか?」
幹「すみません、私も分からないんです」
一瞬ムッとされた後、俺が参加者であることに気づき、「あ、すみません」と謝られる。
まあ、声をかけられやすいのはいいことだ。
だから連絡役になった時は、潤滑油になりたい。
そのまま伝えたり、アレンジしたり、あえて「直接言ってください」と言ったり。
場面によって判断し、双方が感じ良く回るように工夫する。
うーん。
俺はそんなキャラだったか?
先日、講演会で対談がうまく行き、スタッフに「幹夫さんは話を聞くのがうまいからね」とホメられた。
以前、中学校の離任式で「私は中1の頃、いじめる側でした」と言ったら、笑いが起きた。
そうは見えなかったのだろう。
カウンセラーをしているうちに、カウンセラーっぽくなってきた。
ホントは頑固で短気。
でも気づけば人をつなぐ、支える側になっている。
「その人は、ちょっとコミュニケーションが難しいのかもしれませんね」
なんてエラソーに言っている。
言いながら、心の指で自分の鼻先をグリグリし、「いや、お前もなー」と言う。
もちろんそれはナイショで、冷や汗をかきながら平静を保っている。
そんなもんだ。
気づけば大人になっている。
noteでたびたび書くように、俺は子どもの頃のことをよく覚えている。
幼稚園の頃、交差点で木の枝を倒し、倒れた方向に進んだことも。
家に帰ったら玄関にカギがかかっていて、ドアにアサガオの種をぶつけたことも。
登園中、友達が「毎日幼稚園行ってシールはって、なにになるんだろうね?」と虚しさを感じていたことも。
タマネギの皮のように、何層も何層も、子どもの自分を抱えながら、年齢だけ大人になって行く。
大人のフリをする。
話をギュルルンと戻すと、人をつなぐというのは、多層的な自分の声に耳をすますことだ。
この立場は分かる。
その立場も分かる。
あの立場は分からないから、何とか想像で補う。
明日もタマネギになって、人をつなごう。
