「スキルベース組織 (Skills-Based Organization)」を理解する
多くの企業でスキルマップを作成・活用する等、「スキル」に着目したマネジメント (スキルベースタレントマネジメント) が広がってきています。
今回は、スキルベースタレントマネジメントの先にある姿 (の候補) として、ここ数年、特に米国で取り上げられることが多い「スキルベース・オーガニゼーション(スキルベース組織: Skills Based Organization) 」について整理しました。
スキルベース・オーガニゼーションに関する記事では、ジョブベース (ジョブ型) vs スキルベース という対立軸で、ジョブベースを脱却してスキルベースに移行しようというストーリーで描かれることが多く見られます。
日本では既に「スキル」を組み込んだジョブ型人事制度を運営している企業も多くあることから、以下では日本のジョブ型人事制度の発展形(の候補)を想定しながら、Skills Based Organizationを解釈してみました。
1. スキルベースオーガニゼーションとは何か?
スキルベースオーガニゼーションでは、社員 (や外部人材) が保有する「スキル」に着目し、人材配置の際に「ジョブ(役割・責任: Role & Responsibility)」と「人」という"大きな"レベルでマッチングさせるのではなく、ジョブやそれを構成する主要タスクに必要な「スキル (スキル要件)」 と人材が保有する「スキル」のレベルでマッチングを行います[適所適材]。また、仕事が変化しスキル要件が変われば、柔軟に必要なスキルを保有した人材をアサインする (=スキルを調達する ) というアジリティの高いマッチングを行うことも、スキルベースオーガニゼーションの考え方には含まれています[適時適量]。
「ジョブ」と「人」のレベルでのマッチングでは、そのジョブ or 類似ジョブの「経験」の有無が判断基準となったり、"分析が得意""コミュニケーション力た高い"といったジョブに必要なスキルの一部のみで判断されることが多くあると思われます。
スキルベースオーガニゼーションが注目される背景
このスキルベースの考え方が注目される背景としては、主に下記が挙げられます。
組織(企業)にとって
①「経験」を重視すると、人材獲得が難しい現状では、JD(ジョブディスクリプション)をきちんと定義したとしても社内はもちろん社外からも経験者を探すことが難しく、経験にとらわれずにより広く適任候補者を見出す必要がある (社員が持っているスキルを最大限に有効活用する)。
② 不確実なビジネス環境下ではジョブ自体の変化が速いため、異動や正社員採用だけにとらわれずに都度柔軟に必要スキルを調達する必要がある。
人材(社員)にとって
③ 働きがいの低下やさらには静かな退職 (Quiet Quitting) を防ぐために、社員一人ひとりが保有している様々なスキルを最大限に有効活用できる環境を整える必要がある。
④ JDが社内公開されていても自身のキャリア適性の見極めが難しく、そもそもジョブは変わるため将来のキャリア目標やキャリアパスをリアリティを持って検討することが難しい。保有スキルをベースに具体的にキャリア目標・パスを考えられる環境が必要である。

2. 「スキル」の種類・範囲
「スキル」の種類・範囲は、スキルマップを作成・活用している企業によって異なると思いますが、ここでは下図の通り広く捉えました。
但し、これら全てのスキルを定義していないとスキルベースオーガニゼーションが成立しないという意味ではありません。
Skills Based Organizationに関する記事を読むと…
人材が既に保有しているスキルだけでなく「ポテンシャル」もスキルの1つと位置付けているものもあります。

3. スキルの集合体としての組織
3-1. 組織全体で必要なスキルを調達
スキルベースオーガニゼーションでは、組織はスキルの集合体とみなします。
組織は必要なスキルを"調達"することを第一とするため、(社員を1つの組織に所属させることにこだわらずに) 下図の様に1人の社員が複数組織を兼務したり、プロジェクトとして切り出して組織横断でメンバーをアサインするケースも出てくるでしょう。
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