HRBPとしての担当事業部門との信頼関係の築き方 【"読む"HRBP研修】
今回は実践!HRBP研修の4回目となります。
今回は、HRBPの生命線である「担当事業部門との信頼関係」の構築方法について紹介します。
HRBPとして担当事業部門と「信頼関係」が築かれている状態とは?
ビジネスパートナーとして信頼関係を構築できている状態は、「担当事業部門のビジネスに不可欠な存在と認められている」状態です。例えば、次のような状態です。
"事業部門の一員=ビジネス成功に必要な存在"として受け入れられている
事業部門トップや各管理職から現状や課題について率直に相談される
HRBPからの提案や相談を受け止めてくれる
役職・立場に関係なく意見を言ってくれる / 建設的な議論ができる
必要な仕組みや取り組みを一緒に創り上げていける
HRBPと一般社員(非管理職)との関係について
少人数の部門でない限りは、一般社員(非管理職)とまで一人ずつと対話し信頼関係を築くことはなかなか難しいと思います。また、ビジネスパートナーとして日々コミュニケーションを取る相手はほとんどが管理職以上になります。
そこで、一般社員に対しては「担当HRBP」として存在が知られていて、必要が生じれば対象の社員に対して個別対応・サポートするというのが現実的と考えています。
担当事業部門との信頼関係の構築が難しい理由
人事に限らず、一般的にスタッフ部門が「ビジネスパートナー」として事業部門と信頼関係を築くことは簡単ではありません。
なぜならば、スタッフ部門は「会社を発展・維持させること」「会社の秩序・規律を守ること」「会社のリスクを防ぐこと」というように「会社」視点の役割が「個別のビジネス」視点よりも重視されることが多いためです。
人事であれば「会社」視点の役割とは、
全社の人事制度や施策、手続きの適正な運用
就業規則・規程類の遵守徹底/違反への厳正な対処
等が該当します。そして、HRBPにとっても非常に重要な役割です。
FP&Aの事業部門への関わり方も参考に/FP&Aとは密に連携
財務領域のビジネスパートナーであるFP&Aは、予算や業績数字・KPI等で担当する事業部門のビジネスに深く関わっています。
数字面からの事業計画策定への参画・予算策定・予実管理、ビジネス課題分析、コスト削減支援等、同じ「ビジネスパートナー」としての事業部門への関わり方は参考になります。また、日々の活動でHRBPとFP&Aは連携する場面も多いため、同じ事業部門を担当するFP&Aとは普段から密な協働関係を築いておく必要があります。
加えて、人事について言えば、次のような印象を持たれがちなことも「ビジネスパートナーとしての信頼関係構築」を難しくしています。
常に社員を評価・監視する存在(実際に評価するのは上司ですが..)
問題が生じた時に出てくる存在
HRBPとして活動していると、このような存在として警戒されたり距離を取られることがあるかもしれません。
しかし、ビジネス成功の視点で価値提供に努めていれば、時間はかかるかもしれませんが関係性は必ず深まっていきます。
私がHRBPに着任して間もない頃の経験です。ある営業マネジャーと打ち合わせをするために地方の営業所を訪問しました。朝、オフィスビルに到着したので社員が働いているフロアに向かっていた所、営業マネジャーが慌てて小走りで来て「別の階の会議室を予約してあるのでそちらでお願いします」と、人目を避けるように別のフロアに誘導されました。
会議室に入ると申し訳なさそうに「すみませんでした。人事の方がオフィスに来ていると"この営業所で何かあったのか"と社員が動揺するので..」と。
(ちなみに人材育成の企画という前向きな打合せのために訪問しました)。
その時に、人事というのはこう思われているんだと実感したことをよく覚えています。HRBP着任当初は他にも警戒されたり、関わりたく無いという態度を取られたり、笑顔で距離を取られたり、ビジネスに関係無い(どちらかというと邪魔になる)存在という扱いを受けたことが何度もありました。
ちなみに、上記の件は、数年後には上記の営業マネジャーとも笑い話となり、HRBPの存在や役割が理解されると、その営業所の飲み会にもよく招待してくれるようになりました。
事業部門との信頼関係構築のポイントは「提案」
「ビジネスパートナー」として信頼関係を築いていくためには、事業部門のビジネス成功のために、人・組織の視点からの提案し、それを実行していくこと、そしてそれを積み重ねていくことが大事だと考えています。
(もちろん、HRBPである前に人事として人事制度の適正運用や労務対応等を公正に実施することは大前提であり、信頼関係構築の土台として必須です。)
よくHRBPの方から「事業部門のビジネスの会議に呼んでもらえない」「資料を共有してもらえない」「本来はHRBPがやることを事業企画担当が任されている」等の悩みの声を聴くことがあります。「会議に呼んだり情報を共有したら何かしてくれるんですか?」とあからさまに言われたという方もいました(HRBPにとっては、タレントプールの事前形成など色々と準備しておくことがあるのですが..)。
こうした声を消すためにも、HRBPからの「提案」という より見えやすい形での貢献行動や意思表示は有効です。
ビジネス成功に向けた「提案」には、事業部門全体から各管理職の部署や担当ビジネス/業務の成功のための提案まで大小さまざまあります。
また、「提案」といっても、事業部門トップや関係者を集めて提案プレゼンをするといった正式なスタイル(だけ)とは限りません。
それよりも、1対1で会話している中で「これ課題になってませんか?」「やりませんか?」と投げかけてみる方が実効的です。
また、参加したビジネス会議の中で人・組織に関連する課題が出れば、「解決方法をちょっと考えさせて下さい」「課題をもう少し深掘りしてみます」と一旦引き取って、次回の会議で提案を持っていく方法もあります。
もし提案が受け入れられなかったら、内容を修正して再提案するか、一旦持ち帰ってタイミングを見計らって再提案するか、ゼロから再考して別の提案を準備するかを考えることになります。
中には、「やる気」だけを買ってくれて、企画内容は関係者と共に再検討しよう、となったこともありました。
いずれにしても提案をしないことには始まらないので、「勝率」を気にし過ぎずに続けていくことが大事だと思います。そして提案を続けていけば、人事労務課題だけでなくビジネス課題についても相談しても良いんだと認識され、皆からも声がかかるようになってきます。
信頼関係の構築には時間がかかる
事業部門との信頼関係構築には、事業部門トップをはじめ、管理職一人ひとりと関係を築いていく必要があるため時間を要します。中には順調にいかない相手もいるため、モチベーションが下がる場面も多々あると思います。
その時には次のように考えてみて下さい。
相手との"距離"を感じるのは、自身の問題ではなく「人事」に対する印象や感情が自分に向けられているためである。
厳しい言葉を受けることがあったとしても、笑顔で相手にされないよりは全然良い。
1人ひとりがどういう人物なのかを良く知ることができる期間だと捉える。
1人ずつ、そして少しずつ"信頼スコア"を上げていくゲームだと考える。
ここからビジネスパートナーとしての信頼関係の構築方法に移っていきたいと思います。
私自身、初めHRBPに着任した時には、どうやって信頼関係を築けばよいか相当悩んだ中で見出した方法を紹介します。なお、その会社では HRBPになって2年後に、担当事業部門から「当事業部門に貢献した社員」として表彰されるまでになりました。
信頼関係を築くための5つのアクション
「ビジネスパートナー」として担当事業部門と信頼関係を構築する方法を、次の5つのステップで表しました。

それでは、1〜5のステップを1つずつ、テンプレートに記入しながら検討していきましょう。
【Step 1】 信頼関係構築のターゲットを設定する
最初のステップでは、信頼関係を構築する「ターゲット」を設定します。
最終的・理想的には、信頼関係構築のターゲットは担当事業部門の全員(特に管理職以上)です。しかし、管理職の人数が多い場合は同時に全員との関係構築に取り組むことは現実には難しく、中にはどうしても関係を築くことが難しく時間が必要な相手もいます。
そのため、ここではメインとするターゲットを絞って設定します(そのターゲットとしか関係構築に取り組まない、ということではありません。あくまで優先順位の明確化のためです。)
その進め方は次の通りです。
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