インスタントラーメンの市場規模はどのくらいですか?【コンサル面接解答集/フェルミ推定】
はじめに
ケース面接対策道場のケース侍田中です。
ケース面接対策でうまくいかないことが続くと、「自分は頭が悪いんじゃ…?」と自己嫌悪に陥ってしまうことってありますよね。
私も、以前そうでした。
自分がケース面接対策で苦労した経験から、わかりやすい丁寧なケース面接対策のコンテンツを発信しています。
この解答例は良問を選んで、解答したものです。
実際の面接のディスカッションを想定して作られており、各ポイントも記載されています。
一連の流れ、考え方をぜひケース面接対策の参考にしてみてください。
こちらは前回の記事になります↓↓↓
問題1:インスタントラーメンの市場規模推定
面接官「ではケースを始めたいと思います。昨晩何食べました?」
田中「そうですね、昨晩は忙しくてインスタントラーメンを食べました」
面接官「いいですね。では、本日のお題はインスタントラーメンの市場規模推定としたいと思います。何か質問ありますか?」
(1)前提確認
田中「少し確認させてください。インスタントラーメンの定義ですが、どん兵衛などのうどんやUFOといった焼きそば系は含めますか?」
面接官「ラーメンのみで考えましょう」
田中「承知しました。最近はコンビニでの中食や冷凍食品もありますが、そちらは対象外で、お湯で3〜5分で仕上げるいわゆる即席麺の定義でよいでしょうか」
面接官「はい、それで結構です」
田中「ありがとうございます。市場は国内ということでよいですか?」
面接官「はい、それで結構です。質問が無ければ5分で考えてみてください」
★ポイント
前提確認では推定する市場を定義(国内or海外、対象の商材、ビジネスモデル等)しにいく。
今回の場合、インスタントラーメンという商材の定義を合わせた。いきなり算定に入らず、候補者から対象市場の定義を提案し認識合わせ出来る姿勢も評価されている。
―――5分後――――
(2)算定式とその数値の根拠を述べる
面接官「いかがでしょうか?」
田中「はい、発表します。結論としてはインスタントラーメンの国内市場規模は2兆8,000億円となります。結論にいたるまでの算定式、セグメント分け、置いた数値について説明していきます。」
★ポイント
いきなり算定式を流れで言わずに、“算定式、セグメント分け、数字の根拠の順”とこれから説明する内容を構造化し面接官に伝える。
そうすることで、聞き手(面接官)は話の見通しがつき聞き手の情報処理負担を減らすことが出来る。
田中「まず、算定式ですが、インスタントラーメンの販売数量×単価で求めました。
販売数量は更に分解しております。
販売数量=➀対象人口×②インスタント食品を食す割合×③喫食回数×④喫食のうちインスタン食品を食す割合×⑤インスタントラーメン割合
として単価を乗じます。
次にセグメントですが、自分でも振り返るとインターネット食品はお金の無かった学生時代や社会人の若手の時によく食べていました。ですので、インスタント食品はこういっては何ですが所得が低い方の方が好んで食べる傾向があると考え、セグメントを所得で分けました。平均年収450万円を基準に、それより上を高所得層、下を低所得層としました。」
★ポイント
セグメント設定は「なぜその軸か」を一言添える。
「所得で分けました」だけでなく「所得がインスタント食品の喫食頻度に有意な差が出ると考えたから」という理由をセットにすること。面接官は選んだ軸と、なぜその軸が有効としたかの考えを見ている。
田中「では、置いた数値を説明致します。
・➀対象人口
9,000万人としました。総人口1.2億人を母数に各世代150万人が均等に存在すると仮定し、10歳〜70歳を対象としています。10歳未満は健康面から親が食べさせる機会が少なく、70歳以上は胃腸への負担からインスタントラーメンの喫食機会が減ると考えました。高所得層・低所得層は半々の4,500万人ずつと仮定します。
・②インスタント食品を食す割合
インスタントラーメンの他にもカレーやカップうどん、カップやきそばを含んだ全てのインスタント食品を年間で1回以上食す因子としました。多くの人が年1回以上はインスタント食品を食すとして90%仮定しました
・③喫食回数
両セグメント朝、昼、晩の3回の365日でまるめて1,000回としました。
・④喫食のうちインスタン食品を食す割合
セグメントで有意に差が出ると考えています。1週間の食事20回で考えると高所得世帯は健康面から1回あるかないかと考え5%とします。低所得層は相対的にインスタント食品の喫食機会が上がると考えます。1週間の食事回数20回のうち2日に1回、つまり6回のうち1回はインスタント食品を食すと考え30%と仮定します。
・⑤インスタントラーメン割合
両セグメント30%と置きました。インスタント食品の中でカレー・うどん・焼きそばなどがある中で、3食に1回はラーメンを選ぶと考えました。
・⑥単価
両セグメント1食200円としました。
・合計
計算すると高所得層が4,000億円、低所得層が2兆4,000億円の計2兆8000億円となります。」

(3)数字の検証・精緻化
面接官「推計いただい数字の規模感はいかがでしょうか?」
田中「対象人口9,000万人で割り戻すと、1人あたり年間約30,000円、月2,000〜3,000円の支出になります。少し感覚より大きいかもしれません。」
面接官「なぜ、大きくなったと思いますか?」
田中「そうですね…よくよく考えると、喫食回数を3食にしたのが一因かもしれません。朝からインスタントラーメンは重くて食べる機会は少ないので、昼と夜の2食で考えた方が良さそうです。2兆8,000億円×2/3で約1兆8,000億円になります。(高所得層:4,000億円×2/3≒2,500億円、低所得層:2兆4,000億円×2/3≒1兆6,000億円)」
★ポイント
数字の桁感に違和感があると突っ込まれる。
その際には、➀そもそも置いた数字が妥当か?、②精緻化の余地はあるか?で考える。精緻化は因数分解を更に細かく出来るか?(横の精緻化)とセグメント分けを更に分けられるか?(縦の精緻化)を考えていく。
今回の初期アウトプットの様に喫食回数「3食×365日」は、機械的に数字を置いた典型的なよくない例である。朝食にインスタントラーメンを食べる人は現実的に少ない。機械的に数字を置かず生活実態(リアリティ)から仮数値を検証する習慣をつけよう。
面接官「それで実態に近づきましたか?」
田中「1兆8,000億円だと1人あたり年間20,000円、1人あたり月1,500円~2,000円になります。まだ少し高い気がします。」
面接官「他に見直せる因子はありますか?」
田中「『④喫食のうちインスタン食品の割合』をもう少し分解できると思います。インスタント食品を食べるのは基本的に外食していない食事の場面がほとんどなので、『外食しない割合』という因子を新たに乗じると精緻化できます。
高所得層は外食機会が多く、昼・夜の喫食のうち40%は外食すると考えると『外食しない割合』は60%。低所得層は高所得層よりも、外食が少なく外食しない割合を90%とします。
すると、高所得層が約1,500億円(2,500億円×60%)、低所得層が約1兆4,500億円(1兆6,000億円×90%)、約1兆7,000億円となります。1人あたり年20,000円(1兆7000億円÷9000万人)、月1,500円程度になり、実態に近づいてきた感覚があります。」
面接官「まだ、精緻化するとしたらどうしますか?」
田中「そうですね…再度『④喫食のうちインスタン食品を食す割合』を見直すと、この因子には概念上カップラーメンやカレーといったインスタント食品の他、冷凍食品や総菜も含まれています。
ですので、『加工食品を食す割合』×『そのうちインスタント食品を選ぶ割合』と分解できます。
喫食の中でも『加工食品を食す割合』は所得が高い方が購入しやすいと考え高所得層を50%、低所得層をその半分程度の30%とします。
『そのうちインスタント食品を選ぶ割合』は高所得層の方が、単価が高い総菜を購入するとして30%、低所得層はその倍の60%と仮定します。
そもそも初期の説明で置いていた『④喫食のうちインスタン食品を食す割合』の数字は高所得層5%、低所得層30%が変わってきます。」
面接官「複雑になってきましたね。改めて算定してもらえますか?」
田中「はい、少々お待ちください」
ーー60秒後ーー
田中「改めて計算しますと、合計で3,100億円になりました。高所得層が900億円、低所得層2,200億円になります。
母数9,000万人とすると1人あたり年3,000円~3,500円程で、250円/月程度の支出となます。月1つのインスタントラーメンを購入するペースなのでやや少なめに出ているかもしれませんが、カップうどんや焼きそばは含まれていない数字になり、大きくはズレてないと考えます。」

面接官「分かりました。他には数字で見直す箇所はありますか?」
田中「単価についても見直しが考えられます。今回は両セグメント一律200円と置きましたが、高所得層はプレミアム系の商品を選ぶ傾向があり、セグメントで単価を変えることも検討できます。ただし、インスタントラーメンの価格帯は一般品で150〜200円、プレミアム品でも300円程度に収まる感覚です。
高所得層300円、低所得層200円と置くと高所得層は1.5倍で約1,450億円(900億円×300円÷200円)となり、単価を上げる前との差分は約550億円(1,450億円−900億円)です。全体への影響は10〜20%程度になり、単価の設定は推計に一定の影響を与えると言えます」
★ポイント
感度分析を添えると思考の深さが伝わる。 数字を修正するだけでなく「この因子を変えると全体への影響は小さい/大きい」と感度を示すことで計数感覚を訴求できる。
面接官「田中さんは人口1人当たりで今回数字を検証いただきましたが、他にはどんな検証のアプローチがとれそうですか?」
田中「初期アウトプットでお示した需要側とは異なる供給サイドからのアプローチが考えられます。供給側から挟み撃ちにすることで、数字の妥当性を相互確認できます。供給サイドをサプライチェーンで捉えると、原材料仕入→製造→販売になり各サプライチェーンで算定は出来そうです。
例えば販売だとコンビニ、スーパーといった小売店でのインスタントラーメンの総売上になります。
インスタントラーメンの市場規模=小売店数×店舗当たりのインスタントラーメンの売上
で求められます。」
面接官「他のアプローチは?」
田中「他には『インスタントラーメンの主要企業÷当該企業のシェア』で算定出来るかと思います。例えば日清食品といった上位企業の売上は有価証券報告書で確認できるので、それを業界シェアで割り戻せば市場全体の規模が推計できます。」
(4)他のセグメントは?
面接官「セグメントを所得で分けていただきましたが、他にはどんな軸で切り分けられそうですか?」
田中「そうですね、世帯構成が考えられます。単身世帯は自炊の手間を省きやすくインスタントラーメンの喫食機会が相対的に高い一方、複数人世帯では手料理の頻度が上がるため喫食機会は下がると考えます。所得の軸と組み合わせると、『単身×低所得層』が最もヘビーユーザーとなり、『複数世帯×高所得層』が最もライトユーザーになると考えます。」
面接官「分かりました。フェルミはここまでにしましょう」
田中「ありがとうございました。」
いかがだったろうか。今回はフェルミ推定について解説してみた。
次回は売上向上戦略について解説してみたいと思う。
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