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第6話 飾らず生々しく伝えるべし!【ビヘイビア対策修行】

拙者はケース侍田中。
日々、ケース面接対策のことを考え、人々にケース的思考のすばらしさをどう伝えたら良いかを考えている。
ある日大学の後輩、小次郎君から連絡があった。
話を聞けばJTC(いわゆる日系大手企業)に辟易し、戦略コンサルへの転職を目指しているという。
だが、ビヘイビア対策が不十分なまま転職活動に挑んでおり、苦戦していた。
そこで、拙者にビヘイビア対策の指南を依頼してきたというわけだ。
新たなる挑戦が、いま始まる…!

【前回までのあらすじ】
現職の仕事内容はコンサルワークに寄せて話すべし

田中「小次郎君、現職ではメーカーの営業を頑張っているそうだね。では、どう頑張っているか深掘りしていこう」

小次郎君「はい!」

田中「お客さんのニーズや要望は、具体的にどうやって把握していったの?」

小次郎君「そうですね、先方が出しているプレスリリースやMTGで話していることからくみ取っていきました」

田中「具体的には?」

小次郎君「プレスやMTGの内容から仮説を立てて、提案していきました」

田中「(話が抽象レイヤーで逡巡しているな……)何が特に大事だったと思う?」

小次郎君「やはり、仮説を立て、課題を考えるのを徹底的に頑張ったからだと思います!」

田中「(先ほどから話が一向に進まない……)」

――――

実は、小次郎君のようにスマートな言葉で、かつ抽象的に自分の良さを伝えようとしてしまう候補者は多い。
「コンサル業界はなんとなく頭がよさそうに見せる必要がある」と思い込むと、スマートに纏めようとする力が働きやすくなるのだ。

けれど、綺麗に纏めすぎた抽象的な内容だと、聞き手にリアリティが湧かず、話が入ってこない。

コンサルは言葉の抽象度に敏感である。面接の場で抽象的な言葉を使えば、間髪入れずに「具体的には?」と突っ込まれる。
そこで面接官の求める粒度で答えられないと評価が下がる。
言葉の具体性は思考の明瞭さと表裏一体だからだ。「具体で語れない=そのレベルで考え抜いていない」と見なされる、と思っておけば良い。

生々しさの粒度感は例えば次のようなイメージだ。

「クライアントの要望は会議室の平場でも聞きますが、本音が漏れることは少ないです。なので、決裁者である先方の部長が喫煙所にいる時を狙って、雑談ベースで話を聞きにいきました。私は煙草を吸わないので缶コーヒー片手に入りましたが、その姿勢を逆に面白がっていただけて、距離を縮められました」

体験を生々しく語った方が、聞き手にも迫力が伝わりリアリティが湧く。「缶コーヒー」のような小さなディテールが一つ入るだけで、面接官の頭の中に映像が立ち上がる。

ここで重要なのは、具体的なディテールはそれ自体が「自分で考えて動いた裏付け」になるということである。マニュアル通りに動いていただけの人物には、喫煙所に缶コーヒーを持って入るという発想は出てこないだろう。固有の場面・判断を語れることが、すなわち能動性の訴求につながる。コンサルにおいては能動的に考えられるか・動けるかが業務上求められるので、評価対象になってくる。
そしてエピソードの内容は、現職の業務内容とコンサルでの業務内容で変わる。だからこそ「コンサルに転職しても、この能動的姿勢は継続される」と面接官に訴求できることが肝要となる。コンサルワークと一致していなくても構わない。

一点、注意点を添えておくと、具体性が大事だからといって、エピソードを延々と語るのは避けたい。面接の一回答は概ね30秒〜1分で語り切れる粒度が望ましいだろう。「映像が立ち上がるディテールを一つ二つ織り込みつつ、要点は短くしていく」この塩梅は伝え方のポイントになる。

――――

田中「では小次郎君、もう一度。現職でお客さんのニーズはどう把握していった?」

小次郎君「はい。先方の部長は会議では本音を出されない方だったので、月一の定例の前後、エレベーターホールで雑談する時間を意図的に作りました。ある時『最近、上から原価率の話ばかり言われて参るよ』と漏らしてくださって。これは公式アジェンダには載らない本音だなと感じ、翌週の提案資料を急遽作り直し、コスト構造の試算を冒頭に持ってきました。結果、その案件を受注できました」

田中「うむ、見違えたね。場面・台詞・自分の判断・結果が具体的に入っている。これなら面接官の頭にも映像が浮かぶし、能動性も伝わるよ」

小次郎君「なるほど、変にかっこつけず、生々しく伝えればよいのですね」

田中「そうだね。スマートな言葉で変にまとめようとしすぎず、具体的で生々しいエピソードで『仕事に対する能動的な姿勢』を面接官に訴求していこう」


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