『主な意見DI』やってはいけない読み方を敢えてやってみる
2025年6月の日本銀行の金融政策決定会合(MPM)については、こちらのエントリーで筆者なりの見解を紹介した。植田総裁の情報発信は基本的に慎重だったと言えるだろう。
さて、こうした慎重さの程度を何かしら評価することはできないだろうか。今回は、MPMからほぼ一週間後に公表される「金融政策決定会合における主な意見」をヒントに見てみたいと思う。
「主な意見」の作成プロセスは、
各政策委員および政府出席者が、金融政策決定会合で表明した意見について、発言者自身で一定の文字数以内に要約し、議長である総裁に提出する
議長はこれを自身の責任において項目ごとに編集する
である。議長の編集は文体を統一する程度の最低限と推察され、出席者の意見が概ねそのままリスト化されていると理解して良いだろう。短くて読みやすく、分かりやすい資料だ。
「主な意見」は、一つ一つの意見のニュアンスを詳細に読み解き、定性的に考えるのが正しい読み方だ。それが出来る体裁にもなっている。そこを敢えて、正しくない読み方で、定量的に評価してみたい。各意見の趣旨を単純化し、hawkishであれば1、dovishであれば-1、neutralであれば0と数値化、合計して、毎回の「主な意見」をスコアリングした。
意見の評価にはChat GPTを用いた。プロンプトの設定によってスコアが変動するため、筆者の主観を完全に排除することが難しい点はご留意いただきたい。なお、「政府の意見」はスコアリングに含めていない。

2025年6月会合のDIは2であり、過去との比較でも慎重化していることがうかがえる。直近で同程度にDIが低下したのは2024年9月、10月であり、金融市場の変動を背景に利上げ観測が後退していた時期だ。さらにその前にDIが2まで下がったのは2024年3月、量的・質的金融緩和の解除時だ。政策枠組みの大きな転換がセンチメントを下押しすることを嫌い、先行きの政策運営に対する慎重さを強調したものと理解できる。
ちなみに、過去3回の政策金利の引き上げ時、その1回前の会合のDIはそれぞれ11、6、5だ。利上げ決定前には相応に前向きなスタンスが表明されていたと言えるかもしれない。とはいえ、意見のスコアリングには幅が生じざるを得ず、2点、3点の違いは誤差とみることも十分可能だ。2025年6月の2と、2024年12月の5に大きな違いがあるとも言い切れない。
繰り返しになるが、重要なのは意見の数ではなく、内容である。現時点で日本銀行の公式見解は「見通しが実現していくかについては不確実性がきわめて高い状況にある」だと言っていいだろう。こうした認識に今後変化があるのか否か、あるとすればいつ、どのような方向への変化か。無理やり数値化してもそれは分からない。
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