【臨床に役立つ】人工膝関節全置換術後「膝の外側の感覚が鈍いんです…」
それ、なぜ起きると思いますか?
TKA(人工膝関節全置換術)後の患者さんから、
こんな言葉を聞いたこと、ありませんか?
「膝の外側だけ、なんか感覚が変なんです」
「左右で触った感じが違う気がして…」
痛みが強いわけでもない。
でも、“おかしい感じ”がずっと残っている。
患者さん自身も、不安そうな表情をされることが多いですよね。
これ、実は珍しいことではありません。
術後の感覚障害、なぜ起こる?
人工膝関節全置換術では、多くの場合
正中縦切開で皮膚を切開します。
ここで、どうしても避けられないのが
皮神経の切離です。
特に関係するのが、
伏在神経膝蓋下枝
この神経、
膝関節の前〜外側、
さらに下腿近位外側の感覚を支配しています。
つまり、
手術の切開ラインと
神経の走行が
ほぼ重なっている
ということなんです。
その結果、
・しびれ
・感覚鈍麻
・左右差
といった訴えが術後に出やすくなります。
「失敗した手術」ではないんです
ここ、すごく大事なところです。
この感覚障害、
医療ミスや異常所見ではありません。
手術操作上、
どうしても起こりうる構造的な問題なんです。
だからこそ、
私たち理学療法士が
「きちんと説明できるかどうか」
が重要になってきます。
神経は、ちゃんと回復します
「一生このままですか…?」
患者さんに、こう聞かれたこともありますよね。
でも、ここで安心材料があります。
神経は
1日に約1mm
ゆっくりですが、確実に再生していきます。
そのため、
・術後すぐは感覚が鈍い
・数ヶ月かけて徐々に変化
・術後6ヶ月前後から回復を実感する方が多い
という経過をたどることが多いです。
もちろん個人差はあります。
でも、「回復する可能性がある」という事実を
伝えてあげるだけで、
患者さんの表情が和らぐこと、ありますよね。
不安が「痛み」に変わる前に
感覚障害そのものより、
実は怖いのが不安の増幅です。
・このまま治らないのでは
・何かおかしいのでは
・動かしていいのか不安
こうした不安が、
→ 痛みに過敏になる
→ 動作を避ける
→ 回復を遅らせる
という悪循環につながることもあります。
だからこそ、
「なぜ起こるのか」
「どういう経過をたどるのか」
これを、
理学療法士の言葉で
噛み砕いて説明すること。
これも立派な治療だと思うんです。
理学療法士にできること
私たちにできることは、派手なことじゃありません。
・感覚障害の仕組みを説明する
・異常ではないことを伝える
・回復の目安を共有する
・不安に寄り添う
これだけで、
患者さんの「痛みの感じ方」は
大きく変わることがあります。
最後に
TKA後の膝外側の感覚鈍麻。
臨床では、よくある光景です。
でも、
知っているかどうか
説明できるかどうか
で、患者さんの安心感は全然違います。
「なんとなく様子を見ましょう」ではなく、
「ちゃんと理由があって、ちゃんと回復していきますよ」
そう伝えられる理学療法士でいたいですね。
明日の臨床で、
ふと思い出してもらえたら嬉しいです。
