💁友達の家の表札 1302
今日は1万人の第九のレッスンだった。
会場である隣県のホールは響きがいいし、何より先生のご指導が素晴らしく、驚くほど声が出て、勘違いしてしまいそうなほど気持ち良く歌える。
今年は久〜しぶりに友人Eさんと同じクラス(毎年抽選)になり、隣同士でレッスンを受けている。
Eさんが2人の娘様•夫様と仲良く暮らす住まいの表札には、3つの姓が並んでいる。
2人の娘様の姓、夫様の姓、そしてEさんの姓。
そう、Eさんは別姓夫婦……というか事実婚夫婦。
Eさんには宿願がある。
夫様と婚姻届を出し、法律婚すること。
夫婦として当たり前の恩恵を受け、夫婦として当たり前の権利を行使できること。
Eさんは、ちょっと珍しい姓のお家のひとり娘。
初めの結婚で前夫の姓になったとき、親御様は「姓が途絶える」と相当ガッカリされたらしい。
前夫と離縁後、Eさんは旧姓に戻り、娘様たちは父親の姓を名乗り続けることにした。
今の夫様とご縁があったとき、ふたりは是非とも結婚したかった。
ただ夫様にも、ご自身の姓に愛着のあるEさんにも、改姓の意思はなかった。
別姓婚が認められるまでの間、ふたりは致し方なく事実婚を続けることにした。
それは、短期間で一時的なはずだと思っていたから。
新政権は、旧姓使用の法制化を目指している。
今年の通常国会では「今度こそ」と選択的夫婦別姓実現への期待が高まったけれど、元々自民党議員は慎重派と推進派に別れていたし、推進派の公明党と連立を解消。
次に手を組んだ維新は旧姓推し。
選択的夫婦別姓の実現は遠のいた。
選択的夫婦別姓をめぐる五つの数字として、こんなデータが新聞に掲載されていた。
●賛成63%、反対29%(朝日新聞の世論調査2025.2)
●婚姻届を出した夫婦のうち改姓した女性94%(内閣府が2023人口動態統計かに基づきまとめたデータから)
●婚姻の際、どちらの姓にするか話し合わなかった夫婦78%(大阪大大学院三浦麻子教授の調査2024.10)
●旧姓の通称使用が可能でも、不利益が生じるとの回答88%(経団連が女性役員を対象にした調査2024.5)
●国連の女性差別撤廃委員会が日本政府に法改正を求めた回数4回(2003〜2024)
私自身は早く母の支配から逃れたくて、結婚に際し改姓することに何の蟠りもなかった。
寧ろ早く実家の姓から離れたいと思っていたので、結婚前にH(元夫)と姓について話し合わなかったし、嬉々としてHの姓を選んだ。
他部署や取り引き先に「名前が変わりまして」と伝えるのが照れ臭く、誇らしかった。
改姓の手間を苦労とも思わなかったけれど、面倒か?面倒でないか?と問われれば、間違いなく面倒ではあった。
Hと縁が切れたとき、旧姓に戻そうとは少しも思わなかった。
資格やら免許やら、結婚時の改姓より更に多くの手続きが必要だったし、伝えなくてはならない相手(主に仕事関係)が多すぎて、負担が重すぎると感じたから。
確かEさんには、「そんな相手(H)の姓を名乗り続けるなんて‼︎」と呆れられたんだっけ。
旧姓使用法制化の大前提は、夫婦同姓制度の維持。
婚姻時には、どちらかがどちらかの姓に改姓。
旧姓を通称として使用することができる、というだけの制度。
これが選択的夫婦別姓の代案になると考えているのなら、チャンチャラおかしい。
選択的夫婦別姓を望む多数の方々は、「旧姓を使えればいい」のではなくて、「改姓したくない」と思っているのに、改姓は避けられないのだから。
旧姓使用が法制化されると、選択的夫婦別姓制度の実現は更に更に遠のく。
「改姓前の姓を、公の場で合法的に使えるようにしてあげましたよ。
これで気が済むんでしょ?」って。
話をすり替えてはいけない。
法制化を進める議員の皆々様方は、ぜひとも一度改姓し、旧姓で議員を続けてみるといい。
気が済みますか?
長年使い続けている姓、今後も使い続けたいと望む姓を強制的に取り上げてしまうことは、その人の尊厳を傷つけることにはならないのだろうか?
「嫌なら結婚するな」とでも言うのだろうか?
そこまで言うのなら、法律婚と同じ権利を事実婚でも行使できるようにするべきなんじゃないの?
旧姓の通称使用が法制化されても、海外では旧姓が理解されない場面があるという。
現在でも、パスポートには旧姓を併記できるけれど、ICチップには旧姓データが読み込まれておらず、パスポート券面とデータに相違があることで、トラブルが頻発しているらしい。
選択的夫婦別姓が実現してもしなくても、今の私には何の関係もない。
それでも「はて?」「それ、おかしくない?」と思ってしまう。
選択的夫婦別姓制度とは、「別姓を望む人は別姓を選択することもできる」というだけのこと。
同姓を望む人は改姓して同姓を名乗ればいい。
誰にも押し付けないし、誰も押し付けられない。
それが「選択的」ということ。
結婚しても姓を変えたくないというシンプルな願いが、なぜ何十年も実現できないのか。別姓を望み、結婚をためらっている当事者の声を聞いてほしい。
選択的夫婦別姓制度の実現を、最初のご結婚から長年待ち続けているEさん。
早く私に、Eさんのご結婚をお祝いさせてください。

参考 海外の名前事情
全記事をマガジンに収録しています 2025.10.29
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