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思考の「タクトタイム」を短縮せよ——FAエンジニアが実践するTRIZ 9画面法というシステム設計

左です。

プロジェクトの停滞期、あるいは会議室で「良いアイデアはないか」と問われた瞬間、私たちは往々にして精神論に逃げ込みがちです。「もっと発想を広げろ」「既成概念を捨てろ」。しかし、これらはどれほど叫んでも解決策になりません。なぜなら、これらは「思考のプロセス」ではなく「結果への期待」を語っているに過ぎないからです。

真に論理的な発想力とは、空から降りてくるものではなく、思考の枠組みそのものを設計することから始まります。TRIZ(発明問題解決理論)の「9画面法」は、単なるアイデア出しのツールではなく、私たちの認知を強制的に拡張する「思考のデバッガー」として機能します。



現場のリアリティから巨視的視点へ

現場で制御盤の不具合に対処しているとき、私は決して「勘」に頼りません。まずはセンサ値を確認し、どのモジュールで信号が途切れているか、前後の工程との時間的関係はどうなっているかを分析します。

しかし、こと「企画」や「課題解決」となると、多くのエンジニアやビジネスパーソンは、この厳密な手法を放棄します。目の前の画面や、今月のタスクだけに意識が集中し、システム全体を俯瞰することを忘れてしまうのです。これが、私たちが「アイデアが出ない」と嘆く構造的な原因です。「視点の固定化」は、思考の歩留まりを悪化させる最大の要因と言えるでしょう。

多角的比較と構造解剖


多くのアイデア出し手法は「発散(アイデアを出す)」ことに注力しすぎています。一方で、TRIZの9画面法は、発散と思考の構造化を同時に行う「収束型」のフレームワークです。

以下に、従来の属人的な思考アプローチと、構造的な9画面法のアプローチを比較します。

  • 従来の思考アプローチ(属人的・断片的)

    • 対象範囲:現在のシステム(局所的)

    • 時間軸:現在のみにフォーカス

    • 再現性:個人の経験やセンスに依存

    • 説得力:論理的背景が希薄

  • TRIZ 9画面法アプローチ(システム的・網羅的)

    • 対象範囲:上位・現在・下位システムを立体的に分析

    • 時間軸:過去の進化トレンドから未来を予測

    • 再現性:手順に従えば誰でも一定の質に到達可能

    • 説得力:9つの視点に基づく論理的な背景

この手法の核は、「過去」から「現在」を読み解き、そして「未来」のシステムのあるべき姿から、今すべきことを逆算することにあります。単に環境を考えるだけでなく、その環境が「何のためにシステムを使っているか」という目的まで深掘りする点は、非常にエンジニアリング的です。

ナレッジ・プラグインとして、まずはGoogleスライド等で作成したグリッドシートに、自らの課題を中央に配置してみてください。上位システム(利用環境・市場トレンド)に何が起きているか、下位システム(部品レベル)で何が改善できるかを書き出すだけで、思考の「見落とし」が可視化されます。

FA工学メタファーと心理的摩擦の解除

私たちの脳は、変化を嫌う仕様になっています。これは、原始時代から続く生存のための防衛本能ですが、現代のビジネス環境においては「認知のバイアス」としてブレーキになります。

「9画面法」を使うことは、生産ラインに「予知保全」を導入するのに似ています。故障してから直すのではなく、過去のデータの蓄積(進化の法則)から、次に起きる不具合や進化の方向性を予測するのです。

読者の方が感じる「自分には難しいのではないか」「導入コストが高いのではないか」という抵抗感も、この手法で分解できます。それは「導入」という大きなアクションをしようとするからです。まずは、「過去の視点」から1つだけ要素を埋める。それだけでいいのです。心理的摩擦を減らすために、思考を細分化し、それぞれのマス(空間軸・時間軸)を独立した「ユニット」として処理してください。

思想的昇華と誠実な呼応


思考の枠組みを拡張することは、技術をアップデートすることと同じです。TRIZが提唱する「進化の法則」を借りれば、あなたのアイデアは個人的な「ひらめき」から、再現性のある「論理的な創造」へと昇華されます。

課題をシステムとして捉え、時間と空間の中に配置する。このシンプルなアプローチが、行き詰まった現状を打開する確実な手段となるはずです。

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【ネクストアクション】

  • 思考のスイッチ: 「どうすればアイデアが出るか」という問いを捨て、「システムは過去からどう進化し、未来はどうあるべきか」という問いに置換する。

  • 物理的な一歩: 9つのマス目(3x3)を描き、まずは「現在(中央)」の課題を1つ書き出す。その上で、縦・横の軸を埋めるために、「顧客の市場動向」や「過去の類似事例」を10分間リサーチする。

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