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◆片山氏「GPIF」発言、城内氏「日銀の自主性は尊重する」発言を解読すると・・・◆

(MCレポート260714-a)

 片山さつき財務相が7月10日の記者会見で公的年金の運用に言及したことをうけて、この日の市場は「債券高・円高」に動きました。
 また、「骨太の方針」の記述修正問題では、日銀法第3条に規定されている日銀の金融政策運営の「自主性」を書き加えると報じられています。
 しかし、週明け13日の市場では、片山氏の発言をうけた新たな展開が見られないこと、中東情勢の緊迫が高まったことをうけて、日本国債と円は売り戻されました。ロイターは同日午後、「GPIFの国内投資強化策、政府は資産構成割合の変更想定せず=関係者」と報じました。
 これらの問題についてコメントします。

財務省(筆者撮影)

片山氏「GPIF」発言は、成長の果実に関する質問への回答で

 7月10日の閣議後記者会見で片山財務相が述べた具体的な内容は、以下の通りである(時事通信の詳報記事から引用、太字は筆者)。

(質問)
「『骨太の方針』取りまとめが進められているが、その中で成長投資については、財政負担を伴うからこそ成果を金融面で国民が享受することが重要と考える。財務金融担当大臣として見解を」

(回答)
「財務大臣兼金融担当大臣としてお答えをいたします。まさに、高市政権の下で日本経済が新たな成長型経済に移行する過程で金利のある世界なっておりまして、従来から株式市場も堅調でしたが、このところも非常に堅調に動いております。こういった流れを受けて、国民が日本経済の成長の果実を直接に享受できるように、まず家計ですね、そしてGPIFをはじめとする年金基金による日本の金融資産にさらなる投資をしていただくという方向で後押しをする方策を追求したいというふうに考えております」
 「この点に関しては、従来から党内でもそれから他党でも、あるいは諮問会議の先生方からも要望が出ておりますが、日本の個人向け国債の商品性見直し、新商品の設計を早急に具体化して進めたいと思っております。日本国債の魅力向上方針ということです」
 「それからGPIFにつきましては、私だけでできることではありませんが、政府内でもきちんと意思統一をして話をしていきたいと思っております」
 「財務省・金融庁として、今おっしゃったような、成長の果実を国民が享受するということは非常に重要でございますので、成長と国民の資産形成の好循環をつくるという新しいパッケージで促進をしてまいりたいというふうに考えています」

 新NISAや公的年金の運用などが日本の投資マネーの海外流出につながっているので、為替の円安地合いを大きく変える施策としてこの構造的円安要因にメスを入れるというのが、一つのアイディアとして漂い続けている。

 米財務省が1月30日に公表した為替政策報告が、日本の年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)とゆうちょ銀行による外国資産への投資を円安要因として詳しく説明したこと、三村淳財務官が「最後の退避勧告」発言には「2つ以上」の意味があると説明したこと(※)も、そうした動きが日本の政府・与党内でいずれ大きく浮上するのではないかという見方につながる。

(※)この発言については、6月16日のnoteへの投稿「◆介入直前の『最後の退避勧告』発言には『2つ以上の意味』があると三村財務官◆」ご参照。
https://note.com/charm_jacana8795/n/n8d7d377fc3a0

 しかし、上記からわかる通り、今回の片山財務相「GPIF発言」は、為替の円安地合いについてのやり取りの中で出てきたものではなく、成長投資がうまくいく場合の日本の経済成長のメリットを国民に広く享受してもらうための手法として言及されたものである。
 しかも、財務省・金融庁の責任者としての立場からの発言であって、厚生労働省と事前にすり合わせた上でのものではなかった可能性が高い。

計画途中でのGPIF基本ポートフォリオ見直しには、高いハードル

 GPIFの基本ポートフォリオは2025年度からの5年間のものが、25年4月1日から適用されている。26年度はその2年目であり、仮に、何らかの理由で5年間の計画途中で改定を検討するとしても、タイミングが早すぎる。

 現行計画の資産構成割合は、よく知られている通り、国内債券・外国債券・国内株式・外国株式が各25%。4つの資産それぞれに5~6%のかい離許容幅、さらに、内外債券と内外株式それぞれに9%のかい離許容幅がある。
 だが、それらは相場が変動する中でもこの範囲内にとどめるということであって、「裏」の構成割合のようにかい離許容幅を用いるわけではない。

 7月3日の記者会見でGPIFの内田和人理事長は、国内外の株式と債券を25%ずつ保有する基本ポートフォリオについて、「短期的なリスク要因で変えることはない」と述べた(日経)。
 「GPIFは17年のガバナンス改革で、理事長に権限が集中する体制から外部有識者を含む経営委員会による合議制に移った。基本ポートフォリオの策定や変更は経営委員会の議決が必要でハードルは高い。26年3月の経営委員会で『見直しの検討は必要ない』と判断したばかりだ」(同)。
 「GPIFが今月3日に公表した2025年度の業務概況書では、運用環境は基本ポートフォリオ策定時の想定から必ずしも大きく変化しているわけではないとして、ポートフォリオ見直しは必要ないと記した」「また、GPIFは法令で年金加入者の利益以外を追求してはいけない『他事考慮の禁止』といった制約がある。他の政策目的や施策実現のために年金積立金の運用を行うことはできないという仕組みだ」(ブルームバーグ)。

 以上をもとに考えると、GPIFの基本ポートフォリオ見直しが進められようとしているという類の追加情報が出てきていないのは、きわめて自然なことだと言えるだろう。

 ロイターは7月13日午後、記事「GPIFの国内投資強化策、政府は資産構成割合の変更想定せず=関係者」を配信した。そこには次の記述があった。

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