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〈再会の彼女〉2話

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#2

眞琴から連絡がきた。
「貴史、連絡が遅くなってごめん。」
今月末まで忙しくて、月末で良ければ会おう。
眞琴とはfacebookでやりとりしていたからか、久しぶりなのに心の距離感は感じない。
突然の連絡にも関わらず、ストレートに返事をくれる眞琴はやはり気持ちのいい関係だ。すぐさま返信を打った。
「よろしく、⚪︎⚪︎駅何時にどうだ?」眞琴からの返事はすぐに来なかった。
一旦携帯を置いて、明日の過ごし方を考える。

目の前には、小さな花束が藁半紙に巻かれて置いてある。オレンジを基調としたアネモネに小さな白い花がいくつも咲いており、手に取って眺めた。
「部長、長い間お疲れ様でした。」
「次の営業所へ行ってもご活躍を祈っています」
優秀で、フランクに話してくれる部下たちは耐えがたい存在でありながら。ひとつの別れの行方を祈って、この花束とシャンパンを送ってくれた。


卒業アルバムに、あやかはいない。───
彼女が5年生の時に突然引っ越していったからだった。
当然のように6年生に上がり、共に卒業式を迎えるものだと思っていた貴史にとって、
恋心を抱いた人と、離ればなれになった経験は今でも忘れられない。
聞くところによれば、半年前から両親の都合で決まっていたのだった。花柄のワンピースを着て、早々とドッジボールの球を投げる彼女にほんの少しだけ惹かれた幼少期。

彼女の性格はきっと変わっていないことを
どこかで期待する自分もいる。あやか───
田口くん!危ないっ
そう言って僕の真正面に向かってきたボールを受け取り、友達にボールをパスをする彼女の姿は、限られた枠の中で遊ぶ、つまらない僕にとって、唯一の拠り所だったのかもしれない、と今更に思うのだ。


───あれから早、30年以上の時が経った。

澤野あやめは営業所内でも明るい存在だった。
総務に提出した書類に訂正があれば、すぐに社員に駆け寄って、「ここどうされましたか?」朗らかに声を掛ける姿が僕の机からよく目に入った。
ひとつに束られた頭に、茶色のきらりと光るゴールドのラインストーンがついたバレッタをよくしていた。
薄茶色の髪の毛のトーンによく馴染んでいて、僕は営業所に日の当たりはじめる11時頃に、
太陽が彼女のヘアアクセサリーに乱反射し無機質な空間に少しだけ、明るい光が差し込むのを眺めていた。


ふと、1本電話が入った。
前にいた製造部門と違って、やや解決には程遠い面倒な問い合わせが数時間に1本入る。
電話の問い合わせ先は、彼女だったらしい。
すぐ隣の島から、大きな声で「あやめさん宛てのお電話です、お願いします〜」と元気のいい社員の声が聞こえた。
澤野あやめの姿はパソコンに隠れて半分程しか目に入らないが、やはり少しだけ気になる。
頭を軽くお辞儀しながらはい、はい、となにか書類を探しながら処理をしている。クレームでも入ったのだろうか、まさかな。
そう感じたのは、彼女を特別視してしまっている歪んだ俺の思考のせいだと言い聞かせた。


───この歳になると、細かな仕事は部下が片付けてくれる。責任こそ大きく、先を考えればキリがないが、───判子を押すだけのポジションにはもう慣れていた。
あとはどれだけ社内の空気を悪くせずに物事を運べるか、それが部長に任される仕事の一環のひとつだ、と心得ていた。メールの問い合わせの半分は、承認ボタンを押すことだった。

ふと新着マークのつくボックスを開ける
ひとつ、澤野あやめ宛からメールが入っていた。



つづく、
(1,380字)
⇨第3話へいく


30年ぶりに再会?初恋のあやかと似た彼女との再会。送別会で贈られた花束に、少年時代の淡い記憶が蘇る。小学5年生で転校した初恋の少女、あやか。そんな中、営業所の同僚、澤野あやめに目が留まる。明るくテキパキと仕事をこなす彼女に、昔のあやかの面影を感じる貴史。そこに届いた「澤野あやめ」からのメール。これは偶然か、それとも運命の再会か?



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