第2章 ㉓ 主人を失う未来を初めて想像した日
「ねぇ、私の前からいなくならないよね?」
「ねぇ、癌が治らなかったら生きられないのかな?」
「ねぇ、癌と仲良くなって共存する事もあるんじゃない?」
主人の顔を見ながら
自分の太ももを抓りながら
泣きそうなのをこらえながら
「美味しいね」
って笑いながら
回転寿司を食べた。
私は何度も自分に問いかけた。
主人が嬉しそうに食べている姿
好きになった理由の1つだった。
私の失敗したエビチリも
「大丈夫だよ。美味しいよ。」
そう言って、食べてくれた日の事を思い出した。
あんなに塩辛かったのに。
そんな優しい人だから、失いたくなかった。
主人は15皿を食べ終えると
「美味しかった。ありがとう。」
と満足そうに笑い、病院へ戻った。
明日は、主治医との話し合い。
胸の奥にある嫌な予感だけは
家に帰っても消えなかった。
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