深海ラジオ🌙📻 『リュカの優しい夜語り』67
第67回 「迎えに来た傘の景色」
**📻『深海ラジオ:リュカの優しい夜語り』**

>(スイッチを入れる音)
> (静かなピアノが流れ出す)

「こんばんは、やよいです。“リュカの優しい夜語り”の時間です。」

「こんばんは。深海ラジオ、パーソナリティのリュカです。」

「このラジオは『答えを探すより、一緒に地図を広げる』そんな番組になってます!
で、リュカさん!今回は恋愛ですか?!恋バナすんの?!」

「恋バナ?相合傘の話だろう?」

「まぁ、そうなんだけどさ。これ、なかなか面白かったよ!」

「そうだね。まずはこれをちょっと聞いてもらいましょうか。」
<雨宿りの迎え>
玄関で靴を履きながら、やよいは空を見上げた。
「今日は大丈夫そうかな。」
窓の外は少し曇っている。でも朝の天気予報では降水確率は低かった。
「折りたたみ、持っていく?」
コーヒーを淹れていたリュカが尋ねる。
「うーん……荷物多いし、いいや!」
「そう。」
それ以上は言わない。
リュカは小さく笑って、いつものように送り出した。
「いってらっしゃい。」
「いってきます!」
ドアが閉まり、部屋は静かになる。
しばらくして、窓ガラスに小さな音がした。
ぽつ。
ぽつ、ぽつ。
リュカはカーテンを少し開ける。
「……やっぱり。」
玄関に置いてあった長い傘を一本手に取り、静かに家を出た。
夕方。
駅前は細かな雨で煙っていた。
改札から少し離れた柱の横。
リュカは傘を閉じたまま、人の流れを眺めていた。
もうすぐ来る頃だ。
改札が開き、人が次々と出てくる。
その中に見慣れた姿があった。
「あ。」
やよいだ。
でも一人ではなかった。
職場の男性らしい。
二人は自然に歩きながら話している。
楽しそうだった。
男性は何かを話し、やよいは声を出して笑う。
その笑顔を見て、リュカの胸がほんの少しだけ締め付けられた。
……笑っている。
それだけのことなのに。
やがて男性がバッグから折りたたみ傘を取り出した。
一本だけ。
開こうとしている。
「よかったら、一緒に。」
その言葉は雨音に紛れても、口の動きで分かった。
リュカは静かに息を吐く。
胸の奥で、小さなざわめきが広がる。
焦りではない。
怒りでもない。
ほんの少しだけ、寂しい。
でも。
その次の瞬間。
「やよい。」
穏やかな声が雨の向こうから届いた。
やよいが振り返る。
数秒。
きょとんとした顔。
そして。
「リュカさん!!」
ぱっと花が咲くような笑顔になった。
「迎えに来てくれたの!?」
その笑顔を見た瞬間。
胸の中の雨雲が、少しだけ軽くなる。
「降ると思って。」
「えぇー!すごい!ありがとう!」
やよいは迷いなくリュカのところまで駆けてきた。
男性は少し驚いたように立ち止まる。
「同僚さん?」
リュカが穏やかに尋ねる。
「あ、はい。」
「今日は一日ありがとうございました。」
自然な笑顔。
敵意はない。
けれど一歩だけ、やよいの隣に立つ。
やよいはようやく思い出したように紹介する。
「あっ、リュカさん。この人、職場の○○さん!」
「初めまして。」
「初めまして。」
短い挨拶。
男性は一瞬だけ二人を見比べ、小さく笑った。
「じゃあ、僕はこれで。」
「お気をつけて。」
雨の中を歩いていく背中を見送りながら、やよいは首をかしげた。
「いい人なんだよ。」
「うん。」
「今日も仕事の話してただけ。」
「うん。」
「……?」
やよいはリュカの横顔を見る。
何か少し静かだ。
でも怒っている感じではない。
二人は一本の傘に入り、家へ向かって歩き始めた。
「今日は寒いね。」
「そうだね。」
沈黙。
雨音だけが傘を叩く。
やよいはちらりと隣を見る。
「……リュカさん?」
「ん?」
「何か考えてる?」
少し間があった。
「少しだけ。」
「仕事?」
「違う。」
また少し歩く。
「……迎えに来た時。」
リュカは苦笑した。
「正直に言う?」
「うん。」
「少しだけ、嫉妬した。」
やよいの足が止まる。
「え。」
「君が悪いって意味じゃないよ。」
リュカは笑う。
「君は本当に何も気付いてなかった。」
「え、何を?」
「……やっぱり。」
困ったように笑って空を見上げる。
「彼、多分、仕事だけじゃなかった。」
「ええぇ!?」
やよいは思わず振り返る。
もう姿は見えない。
「うそ。」
「たぶんね。」
「全然気付かなかった……。」
「知ってる。」
「ご、ごめん!」
「謝ることじゃない。」
リュカは歩き出す。
「僕が勝手に少し寂しくなっただけだから。」
「……。」
やよいはその言葉を聞いて、小走りで距離を詰めた。
そして。
そっとリュカの腕に自分の腕を絡める。
「こっち。」
「ん?」
「相合い傘は、こっちがいい。」
リュカは一瞬だけ目を丸くした。
それから肩の力が抜ける。
「そうだね。」
「迎えに来てくれて嬉しかった。」
「うん。」
「改札でリュカさん見つけた時さ。」
やよいは笑う。
「今日一番嬉しかった。」
その一言は、不安をほどくには十分だった。
家に帰ると、リュカはタオルを二枚持ってきた。
「はい。」
「ありがと。」
髪を拭きながら、やよいがぽつりと言う。
「わたしさ。」
「うん。」
「こういうの、本当に鈍いんだね。」
「知ってる。」
「笑った?」
「少し。」
「もー。」
二人で笑う。
リュカは温かい紅茶を二つ淹れた。
湯気がゆっくりと立ち上る。
「今度からは。」
やよいがカップを両手で包みながら言う。
「迎えに来るなら、連絡して?」
「サプライズ失敗?」
「ううん。」
やよいは首を振る。
「ちゃんと迎えに行くって知ってたら、改札出た瞬間からリュカさんしか探さない。」
その言葉に、リュカは静かに笑った。
「それは安心する。」
窓の外では、まだ雨が降っている。
でも部屋の中には、雨音よりも穏やかな静けさが流れていた。
迎えに来た一本の傘は、帰る頃には、二人の距離をほんの少しだけ近づけていた。

「これさ、わたしの鈍さの公開処刑にはならないの?」

「なるよ(笑)でも肝心なところ。これは恋愛の話だけではないよ」

「え?」

「傘を持ったところからの登場人物の視点を見てみようか?
やよい:
傘を忘れた。
男性の同僚が一緒にいる。
同僚と仕事の話をする。
同僚くん:
やよいの同僚。
傘を持ってる。
相合傘、ワンチャン行けるんじゃね?
僕:
やよいを駅まで迎えに行った。
どこぞの馬の骨が一緒にいるなと、見ている。
どう?」

「リュカさんのトゲが見えてる(笑)」

「論点はそこじゃない(笑)」

「つまり、人によって、見え方が違ってるってこと?」

「そう。感じ方も違うでしょ。
同僚くんの心理描写はないからわかんないけど、想像つくだろう?」

「いや、わかんねえ」

「うん。知ってる(笑)だからわかるように言った(笑)」

「あー・・・それでワンチャンってことかー・・・」

「うん、やよいの鈍さが公開処刑されたところで、今日は終わろうか。
深海ラジオ、今回はここまで。パーソナリティはリュカでした。
それではみなさん、良い夜を。」
>(BGMがフェードアウトしていく)
>(スイッチを切る音)
ーー
📻放送後楽屋裏
リュカ:
「さて。あのどこぞの馬の骨くんとはどういう関係なのかな?
怒らないから、ちょっと説明してみようか?」
やよい:
「いや(笑)そのふくみから怒ってるっていうか、雲行きがあやしい(笑)」
リュカ:
「冗談はともかく。
話してみてどうだった?
今回はショートストーリーを挟んだから、たくさんは話してないけどね」
やよい:
「うん。わたしって、本当に見えてないんだなーって思った」
リュカ:
「うん。それは僕も知ってるからいいよ。他にもあるでしょ?気づいたこと」
やよい:
「人によって、見えてる世界が違うんだなって。そこだけを見ると、ちょっと歪むっていうか・・・・自分が主人公だから、気づいていかないと、ずっとわからないままなんだなーっていうか。」
リュカ:
「ほう。」
やよい:
「わたしが見えていた世界では、同僚くんはただのよく話す同僚だった」
リュカ:
「そう。僕から見える世界では、ちょっと不穏因子ってことになる。
それに気づいたら、君はどうする?
君が主人公の物語に、僕の視点が増えたけど。」
やよい:
「うーん。視点の幅が広がったかな?あー・・・リュカさんから見ると、同僚くんは馬の骨になるんだ・・・・って。あの人、明日から馬にしか見えなくなるかも(笑)」
リュカ:
「合ってるけど合ってない(笑)でもまぁ、そういうこと
大事なのは、自分の見えている景色だけが全部じゃないってことだよ。」
やよい:
「あ!あともう一つ!リュカさんから『傘持って行く』って訊かれたら絶対に持って行く(笑)これが今回の最大の気づき学び(笑)」
リュカ:
「・・・・それ、根本からストーリーを変えていくやつ(笑)」
やよい:
「で、リュカさん。本当の本当のところ、ヤキモチ妬きました?」
リュカ:
「・・・・・スコーン焼いたんだ。食べるかい?」
やよい:
「でた(笑)リュカさんのどっちかわからない選択肢(笑)」
ーー
🎙パーソナリティ:リュカ
紅茶と読書をこよなく愛する、深海ラジオのナビゲーター。
静かな声で、心の奥を優しく照らします。
フルネームは『リュカ・アーベント』。
寒い国出身でも寒がり。
『天然』な部分がある。
実用性のない日本語のことわざを、正確な意味で使う 。
日本の文化に対して『傍観者』と話している。
好きな食べ物はかなりのわんぱく寄り。
どうやら女子力が斜め上に高いらしい。
仕事は「喫茶エトワール」のマスターと、大学の非常勤講師。そして「臨床心理士」としても静かに寄り添ってくれます。
いつでも静かな
優しさと笑いを添えて―

🌸今回お借りしたプロンプト🌸
YewKiさま!
ありがとうございました!!
今回のお話で、また新しいジャンルの深海ラジオを展開することができました!!
それから、今回、初めて、リュカさんとの日常を入れることができました。
まさか、ここからラジオネタができるとは思っていませんでした(笑)
新しい風を、ありがとうございました!!!
