オールウェイズライクディス 3 ギャン
黒髪モヒカン、耳にたくさんのピアス、そして鈍い艶のある黒いマーチンブーツ。
それがChibasilz(チバシルズ)のドラマー・ギャンのスタイルだ。
ギャンはこのマーチンブーツをこの世の何よりも愛していると聞いた。
ブーツを蹴られたことが原因でトラブルになり脇腹を刺されたこともあるとか。
僕はアントン・ヘインツ。
23歳のインタビューライターだ。
今ギャンの部屋に来ている。
彼にインタビューできる時が来た。
ギャン(以下 ギ)
このブーツはオレの命だ。
それを蹴られて怒らない奴はいないだろ?
アントン(以下 ア)
そこまでブーツを大切にするのはなぜ?
ギ
このブーツはオレが本気で好きになった女から譲り受けたんだ。
あいつはどこかへ行ってしまったけどオレはこのブーツをその女と思っている。
ア
そのひととはどこで出会ったの?
ギ
ハイスクールで授業サボってた時に会った。
オレの声を気にしないで話してくれた唯一の女だ。
この声を散々からかわれたからコンプレックスになってる。
こうして話しているのも本当は苦手だ。
ア
インタビューにつきあってくれてありがとうギャン。
もう少し話を聞いていいかい?
ギ
ああ、いいぜ
ア
いつからパンクファッションを?
ギ
ブーツを譲ってもらう少し前に誰の曲か分からないけどパンクを初めて聴いたんだ。
そこからだろうな…
あいつの姿を見なくなってからはモヒカンとピアスとマーチンだ。
ア
ギャンはもう仕事をしていて資格もたくさん持ってるって聞いたけど、資格を取ったのはなぜ?
ギ
好きな相手と一緒にいるにはある程度の金は必要だろ?
資格を持っていればいろんな仕事に就けるって考えたんだ。
途中から資格を取るのがおもしろくなったところもあるけど。
ア
そのひと、今どこにいるかわかっているのかい?
ギ
知らない。
もう会えないかもしれない。
オレも違う相手と出会うかもしれないしこの後どうなるか分からない。
思い出になったとしてもこのブーツは墓まで持っていく。
オレの魂だからな。
ア
バンドのメンバーにブーツのこと話した?
ギ
いつだか3人で集まった時話したことがある。
ボールは話を聞いてサイコーにカッコいい曲を作ってくれた。
うれしかったよ。
ア
バンドメンバーとの関係は良好なの?
ギ
オレはあの2人を気に入ってる。
ボールは何やり出すか分からなくて笑えるし、ジムはバンドをまとめてくれる。
2人とも言わなくても思っていることをわかってくれる。
ア
他のバンドから誘われない?
ギ
オレはボールの作る曲が好きだし自由にやり合えるChibasilzを気に入っている。
死別しない限りここから離れねぇよ。
ア
ライブハウスの出禁の話を聞いていいかい?
ギ
あれはスカッとしたな。
ジムがホールのエンジニアと話してから様子が変で、何かやるなと思ってた。
ア
エンジニアと何を話したかジムに聞いた?
ギ
聞かない。
ジムはオレらに謝ってきたけどオレもボールもあんな音でチンタラ演るよりよっぽどおもしろかった。
観てた客もそうだろ?
しばらく騒ぎになってたし。
ア
ライブは演りたい?
ギ
バンドの活動に問題はない。
今はレコーディング中心だけどバンドで音が鳴らせるなら場所なんてどこでもいいんだよオレらは。
話はここで終わった。
ギャンは自分の言葉で語ってくれた。
僕は彼のブーツやバンドへの想いは本物だと確信した。
ギャンにインタビューの礼を言い彼の部屋を出た。
(カメラを止める)
あと30分一緒にいたら彼に惚れていたかもしれない。
ギャンはそれくらい男前だった。
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