オールウェイズライクディス 4 ジム
僕はアントン・ヘインツ 23歳。
古い石畳のメインストリートがある田舎町でインタビューライターをしている。
この古くて小さな町にも高級なアパートメントがある。
Chibasilz(チバシルズ)のベーシスト・ジムはこのアパートメントに部屋を借り専門学校に通っている。
今日はジムにインタビューする。
彼はバンドのまとめ役、話を聞くのがとても楽しみだ。
アントン(以下 ア)
ジム、今日はインタビューよろしく!
ジム(以下 ジ)
アントンようこそ!
まあ座ってよ、お茶用意するから。
ア
ジム、君が着てるのってもしかしてあのハイブランドの…スウェット⁉︎
ジ
よくわかったね!
気がついてくれたの君が初めてだよ、うれしいな!
ア
ボールとギャンは気づかないの?
ジ
この前アルマーニのスーツでバンド練習に行ったけど2人ともスーツにすら気づかなかったよ。
ア
そうなんだ…
ジム、君はこの町の出身なのかい?
ジ
私はこの町の出身じゃないんだ。
専門学校に通うのにこのアパートメントを借りてるんだ。
ア
そうなんだ。
ところでジムはギャンが刺されたとき止血して彼を助けたよね。
何か訓練を受けていた?
ジ
私、小さい頃から何でも教わってて応急手当もそのうちのひとつなんだ。
こう見えて株取引もやっているんだよ。
ア
なぜ専門学校に?
大学は考えなかったのかい?
ジ
姉にファッションの仕事をしたらいいと言われてね。
私、姉さんも服飾も大好きだから…それでアパレルの経営を学ぼうと思ったんだ。
ラッキーなことに大好きなブランドでパートナーをやってた人が講師をしている学校を見つけてね、それで今ここにいる。
ジムはそう言うと僕に紅茶とクッキーをだしてくれた。
ア
このクッキーおいしい!
ジ
私が焼いたんだよ。
ボールとギャンもこのクッキー気に入ってるんだ。
ア
お菓子作りも教育を受けた?
ジ
お菓子とか服は姉さんの影響かな。
いつも一緒にスイーツ作ったりドレス着せ合ったりして遊んでたから。
株取引は兄さんたちの真似して始めたんだ。
ア
お兄さんもいるんだね。
ジ
兄は2人いるんだ。
私は末っ子。
ア
ボールとギャンのことを聞いてもいいかい?
ジ
何でもどうぞ。
私、あの2人に会えて本当にラッキーだと思ってるんだ。
ア
ギャンが刺されたときどうやってボールと出会ったの?
他にもたくさん人がいたのに…
ジ
あのとき救急車を呼んでもらうのに叫んでて、たまたまボールと目が合ったんだ。
姉さんの子に似ていたのと…なんて言うか…衝撃だった。
ア
一方的に出会ってしまった!
ジ
そうだね。
私が事情聴取されてる間にボールはそこから帰っちゃった。
でも半年後に3人で話ができたときはとてもうれしくて!
奇跡が起きたって思ったよ!
この3人でバンド組んだらもっと一緒にいられると思ったんだ。
それでボールに無理を言ってみたら即答でOKって!
ギャンもやるって。
ア
即答⁉︎
ジ
その日ボールがギター買うって言うからギャンの知ってるお店に行ったんだ。
ボールが即決でギターやアンプ買ってておもしろかったよ!
ギャンも内心おもしろがってたはず!
ア
即決⁉︎
ジ
ボールのすごいところはね、やったことなくても即答・即決でやるって決めちゃうの。
ギターも歌もやったことないのに今では曲や歌詞も作ってる。
尊敬するよ。
ア
ギャンとは仲いいの?
ジ
ギャンはあの通りパンクでドラム叩くときはシャツを脱ぐんだけど筋トレしているボディーがとても美しいんだ。
私はギャンが大好きだよ。
もちろん彼の叩くドラムも好きだ。
ア
ボールの弾くギターはどう?
ジ
ボールは短期間にあれだけギターを弾けるようになったんだ。
私もギャンもずっと1人で練習してきて音やタイミングを合わせるのは上手くない。
最近やっとわかってきた感じでね。
それに私、ボールのギターとユニゾンしたりハモったりするの好きなんだ。
愛だよ、愛。
ア
ジム、ライブハウスでのこと聞いてもいいかい?
ジ
出禁の話?聞きたい?
ア
僕がChibasilzに興味を持ったキッカケなんだ。
何があったか知りたい。
ジ
たいしたことじゃないよ。
私たちはスリーピースのロックバンドでクラシックギター同好会じゃない。
話の通じないエンジニアにひと泡ふかせてやりたくてギターもベースもアンプもボリューム全部MAXにしたの。そしたらものすごいハウリングが起きた。
それが騒ぎになっちゃって。
それだけだよ。
ボールとギャンには悪いことしちゃったけど、バンドやお客を大切にしないライブハウスにわざわざ出ることないよ。
それにあれは私もおもしろかった!
ア
ボールとギャンもおもしろかったって言ってたよ。
ジ
今はもうライブハウスとスタジオは使えるようになったんだ。
和解ってことで。
ライブは見に行きたいからね、助かったよ。
この話はこれでおしまい。
満足した?
ア
それが真相なんだ。
もっとこう…暴力的に暴れたのかと思ったんだ。
しばらく騒がれていたからね。
ジ
小さな町で毎日平和だからね。
みんな刺激がほしかったんだよ、きっと。
ア
Chibasilzは続ける?
ジ
私は学校が終わったら自分の店を出す予定なんだ。
忙しくて練習の回数が減ってもバンドは続けたいし、あの2人とは一生つきあっていきたい。
私の大切な友人だから。
僕はジムの瞳の奥に2人への愛を見た気がした。
おいしいクッキーと紅茶がちょうどなくなった。
ア
ジム、今日は話を聞かせてくれてありがとう。
君たちに出会えてよかった。
このインタビューを記事にして「note」っていうSNSにアップしてもいいかい?
ジ
私は構わないよ。
ボールとギャンもOKしたんでしょ?
ア
ボールは即答でギャンはうなずいてたよ。
ジ
じゃOKだ。
ア
今日は本当にありがとう。
クッキーおいしかったよ!
ジ
またね、アントン。
あとで記事のURL教えて。
ジムのアパートメントをでて石畳の通りを歩きながら僕はボールとギャン、ジムのことを考えていた。
あの3人は一生つるむんだろうな。
そう思うと妙な興味が湧いてきて、彼らにもっと関わっていたいと思ってしまった。
彼らのなんてことない日常を記録する?
どうかしてるよアントン…
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