🇯🇵Yuka、二十歳の春へ。‥‥やさしさを仕事に変える、最初の晴れ舞台
最前列チケットは、二年前に売り切れる
境界線ノート|ランポのさんぽ

成人式の振り袖。
そう聞くと、多くの人は、二十歳の少し前に選ぶものだと思うかもしれない。
でも、今は違う。
人気アーティストの最前列チケットのように、 その席は、ずっと前から争奪戦になっている。
しかも、その目的は、振り袖そのものではない。
当日の「時間」だ。
着付け。 ヘアセット。 そして、一生に一度の朝を、何時に迎えられるか。
その枠を確保するために、二年前から予約が始まる。
もし出遅れれば、朝四時。 あるいは、深夜三時台。
華やかな一日の裏側には、そんな現実がある。
伝統は、静かに形を変えている
かつて成人は二十歳だった。
けれど、法律は変わった。 十八歳で、大人になる時代になった。
それでも、多くの若者は、二十歳で集うことを望んでいる。
なぜか。
十八歳の春は、忙しい。 受験、進学、就職。 未来を決める季節だ。
その渦中で、晴れ着を選び、式に出るのは、少し重たい。
だから、二十歳で祝う。
少しだけ大人になった自分で。
少しだけ、子どもだった自分を振り返るために。

Yukaという、やさしい季節
この春、Yukaは新しい道を歩き始めた。
動物看護の専門学校。 そして、トリマー、動物看護師への道。
片道九十分。
毎日、往復三時間の旅になる。
決して短くない。 むしろ、かなり長い。
それでも、その時間の先には、 自分が本当にやりたいことが待っている。
動物に関わる仕事。 命に寄り添う仕事。
その選択は、派手ではないかもしれない。
けれど、とてもあたたかい。
やさしさを、技術に変えていく道だからだ。
家には、ふたつの小さな先生がいる

白いマンチカンの、しろっち。
そして、ベンガルミックスの、ちゃい。
彼らは、言葉を話さない。
でも、たくさんのことを教えてくれる。
寄り添うこと。 待つこと。 気持ちを察すること。
Yukaが選んだ道は、きっと、彼らとの日々の延長線上にある。
好きという気持ちは、時に、人生の進路になる。
それは、とても幸せなことだ。
大人になるとは
何かを急に変えることではないのかもしれない。
むしろ、もともと自分の中にあったやさしさや願いを、 少しずつ、社会の中で形にしていくこと。
十八歳は、その入口だ。
そして、二十歳の集いは、 その歩みを一度振り返るための場所なのだろう。
子どもである最後の日。
そして、 大人として歩き始めた自分を確かめる日。
予約したのは、振り袖だけじゃない
あの日、Yukaが予約したのは、 一着の振り袖だけではない。
二年後の未来だ。
少し成長した自分。 新しい仲間。 積み重ねた努力。
そのすべてをまとって立つ、一日のための予約だ。
振り袖は、ただの衣装ではない。
未来の自分への、静かな招待状なのかもしれない。

Yukaへ。
これから、たくさんの命に触れるだろう。
小さな鼓動。 不安そうな瞳。 そして、安心したときの、やわらかな表情。
その一つひとつに、 きっと、あなたのやさしさは届いていく。
二十歳の日。 その振り袖には、ただの華やかさではなく、 あなたが歩いてきた時間そのものが織り込まれているはずだ。
その日まで。 いや、その先も。
自分の好きなものを、大切に。 自分のやさしさを、誇りに。
あなたの歩く道が、 たくさんの命をあたためる道でありますように。
世界にはまだ多くの境界がある
子どもと大人。 夢と仕事。 人と動物。
そのあいだには、いつも、やさしい橋がかかっている。
Yukaは、これからその橋を渡っていく。
そしてきっと、誰かのための橋にもなる。

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