続・カタツムリ 〜バイバイ マイマイ〜
ねぇ、どこ行きたい?
ホッと安心できるような
自然の豊かなところかな
静かでのんびりできるところがいいね
わたしたち、人一倍のんびり屋だしね
水は好きなんだけど、泳げないな…
わたしも 水辺や海が大好きだけど
いつもぼんやり眺めてるだけ
ザブンと潜ってヒラヒラと泳げたりしたら
きっと気持ちいいんだろうね
空も好きなんだけど、飛べないし……
わたしもね、空が大好きなんだけど
いつもぼんやり眺めてるだけ
自由に飛べる翼があったりしたら
きれいな空を飛んでみたい
海も空も 夢や憧れみたいに眺めてるのが
きっとわたしたちには ちょうどいいんだよ
都会を離れて 空気のきれいなところへ行こう
どこか水辺にたたずんで
澄んだ空を眺めよう
きれいな星が見られたら
翌朝そこで お別れしよう
***
うちにやってきたカタツムリ。
音もかわいいし、なんとなくニックネームみたいに ”マイマイ“ って呼んでいました(そのまんまだけど)。
8月のうちには 外へ放そうと思っていたんです。
どこがいいかな ってあれこれ思い浮かべて。
でも、雨やゲリラ豪雨や台風の予報を見たら、ちょっとなかなか定まらなくて……
完全に 機会も気持ちも逸してしまって、なんだかんだで2週間あまり 共に過ごしてしまいました。
「おはよう」「ただいま」「おやすみ」
のぞくと姿が見えなくて、
「マイマイどこー」
野菜や卵のカラの裏に見つけては、
「いたー」
そんな日々を繰り返しました。
いかん、なんか どんどんかわいくなってる。早く自然に放してあげなくちゃ。
こんな狭いところにいちゃいけない。
世界はもっと広くて自由なところなんだよ。
家を空けるのを機に お別れしようと決めました。
どこに放すのがいいのか正解のよくわからないまま、マイマイも一緒に 長野県へ。
そう、小さな小さなカタツムリと一緒に旅をするという不思議なことになったのでした。
*






ちょっと大きくなったんじゃない?

自分の足で踏み出した

気に入ったみたい

なんだかとてもうれしそう
*
なかなか離れなかったらどうしよう……そんな心配は全くいりませんでした。
あっけないほど すんなりと離れて、心なしかいつも以上に早足で、ずんずん進んでいきました。
もっと早く放してあげればよかった。
さぁ、もうこれで自由だよ。好きなところへ行くといいよ。
わたしも行くね。元気でね、強く生きていくんだよ。
バイバイ、マイマイ。
*
“ 去る者は追わず ”
これもある意味 愛情のカタチで、けっこう勇気のいることだったりします。
中途半端にいつまでもズルズルしてるよりもよっぽど難しくて愛があるかもしれない。
気持ちをぐっとこらえてそっと手をはなす。振りかえらずに 互いに前をむいていく……。
そういった別れのタイミングってありますね。
必要な別れ。それは追ってはいけないような気がします。
あとになってみると 案外気持ちはさっぱりとしていて、爽やかだったりします。
元気かな、幸せだといいな……そんなふうに思い出せたらいいなと思います。
カタツムリってね、後ろには進まない。前へ前へと進んでいく。時には殻にうずまったりもしながら、ゆっくりゆっくり。どこまでも前へ前へと。
そうして少しずつ 大きくなっていくんだって。
ひたすらに前進あるのみ。
なんかちょっとカッコイイじゃん。
昨夜はみなさんも 空をご覧になりましたか。
中秋の名月のまんまるおつきさま。
清々しく とてもさやかな月影でした。
マイマイも月の光を感じていたでしょうか。
どうぞよい一日を、よい一週間を。
#90. 『 別れ 』
⭐︎ さようならという言葉は苦手なの 秋風のようなバイバイをしよう
⭐︎差し出した掌の温度差よ どちらからともなく別れのときは来たりて
ー ちる ー

