小鳥のようにうたいながら2024 (睦月January〜卯月April)短歌まとめ①
noteではエッセイや詩、写真などで自分の思いを綴り、毎回 記事の最後にその時のテーマやキーワードの短歌を詠み掲載しています。
わたしの短歌は、自分の経験や目にした景色、感じた思いを三十一音に込めて表現したものです。
難しいことは考えずのんびりと楽しんでいます。
初めましての方や短歌に馴染みのない方も、短い短い詩だと思って ご一緒に楽しんでいただけたらと思います。
私たちはみんなばらばらです。
それぞれの人生があって、
それぞれの個性があって、
それぞれの思いがあります。
けれど、0歳から始まって ひとつずつ年を重ねていくのは同じ。
人生のどこかに似たような経験や景色、気持ちや思い出があるかもしれません。
正解や間違いはありません。
ぜひみなさんそれぞれの情景を 自由に思い描いてイメージを膨らませてください。
そこに何か思い出や物語を感じていただけたら とても嬉しいです。
記事に掲載した月ごとに短歌をまとめていきます。
初めてお目にかける短歌や写真も含めました。
☆がこれまでに掲載した歌、
★が初めて掲載する歌です。
いつも見てくださっているみなさんにも楽しんでいただけたらと思います。
短歌だけ、写真だけ、エッセイだけでも…
ぜひご一緒に。
これからも小鳥が歌うように、ささやかに短歌を続けていきたいと思っています。
どうぞよろしくお願いします。
***
2024 〜冬から春へ〜
睦月 January

⭐︎十八で成人となる改正のその日に巣立った小鳥の春は
⭐︎重ねゆく 距離の、重さの、体積の、ただ1ミリを今日も明日も
⭐︎年月と成長の関数グラフに点打つような娘へのハグ
⭐︎ハグをしてサンタの正体ごまかした ほらいつだってここにいるでしょ
⭐︎いつのまにボトルは空いて いつのまにコルクのくびれもなくなる春よ
⭐︎液体を守りしコルクの頑な きみは仕事ツラくないですか
⭐︎龍の目がこわくて見つめられなくて 龍のなんにも知らないくせに
⭐︎目を閉じて父の背骨の凹凸をさする母の目は龍を見てた
★未来世は何になろうか 新雪へ葬られたばかりの椿よ
如月 February

⭐︎悴んだ手をあたためるポケットは飾りみたいなフリをしながら
⭐︎地域猫へ「ふうちゃーん」って呼びかける子らの散歩道の梅もひらく
⭐︎ライバルの観覧席へも一礼すニ頭身のマスコットキャラよ
⭐︎好きな子を打ち明けあって わたしたちライバルだったと笑いあって
⭐︎春近し 惑い咲きたる桜へもきみへもファイトを投げてやりたし
⭐︎スクロールしてく写真の鮮やかな色をモノクロにして戻りゆく
⭐︎馴染まぬとわかってたはず 冷蔵庫に飲まれぬままの炭酸飲料
⭐︎お砂場の小さきママはわれに言う「まぜまぜしてよ、もっとしっかり」
★消しカスを両手でいくら払ってもちっともザラザラは消えなくて
弥生 March

⭐︎朝一のボイスチェックはどんな日も「本日は晴天なり」とする
⭐︎これからをふたりで暮らす新しき部屋をせーので灯した朝
⭐︎引越しの日の特別なカレーなの 香りが記憶の栞となりて
⭐︎親元を離れゆくとき それぞれが立つそれぞれのスタートライン
⭐︎「まってて」と言って「まってる」と言っても 綿毛になってゆく蒲公英よ
⭐︎ホワイトデーのお返しはたべっ子どうぶつ そんな君でいいそんな君がいい
⭐︎三月の雨をつかまえるモクレン 最後は抱きしめる鬼ごっこ
⭐︎ラストスパート どんどん遠くなってゆくどんどん大きくなってく背中
⭐︎おおぞらをめがけてゆけばであうから トモダチはほらうちゅうのほしほど
⭐︎きみとぼく同じ景色を見つめてたシンクロ ふたつの蕾ひらきて
★主役より大事に選ぶ脇役の小花に夢を与えるように
卯月 April

⭐︎めぐる春 斜め後ろに先輩の付いてた彼女は後ろへまわり
⭐︎歓迎会の主役の胸に付けられる若葉マークを丁寧に塗る
⭐︎いる、いらない、母の遺品を分けゆきてわたしらしさも整えてゆく
⭐︎命日の日付を抜いて束ねゆく明日はこない朝日新聞
⭐︎春光の房総半島へと抜けて色の重なる菜の花とシャツ
⭐︎春の海の匂いを細く吸いこんだ 黄蝶の微かに風を起こして
⭐︎口下手で嘘もお世辞も苦手だし カードのLOVEもちょっと傾げて
⭐︎開けていい?リボンをほどく静寂をふたりで見守っている儀式
★桜舞う 己の指で剥がしゆくFRAGILEのラベルはいらない
ー ちる ー
***
一年がすごく早いな って思うのだけど
この春先のことを遠いむかしみたいに感じるのはなぜなのだろう
夢でも幻でもなかったはずなのに
手放したものが はじめからなかったような錯覚もする
確かにずっとそばにあったはずなのに
あんなものがあったな
あんなことがあったな
あんな人もいたな…
案外すぐに薄れて 忘れてしまうものなんだな
忘れていても悲しくはない
忘れてるんだから悲しくはない
それでいいんだと思う
今 目の前にあるものを大事にできていれば
それでいいかなと思う
循環しながら 少しずつ変化していく
ほんとうに必要なもので満たされていく
またもしも ふっと記憶が蘇ったときには
懐かしんだりするかもしれない
*
みなさんも手にしたもの、手放したもの、たくさんあったと思います。
後悔がなければ それでいいんですよ、ね。
次回は 5月から8月までをまとめます。
どうぞ よい一日を、よい一週間を。

