「変わらなきゃ」と言いながら、変わらない理由を探している自分に気づいているか
高城 健です。
外資系戦略コンサルティングファームで、クライアントの経営課題解決に従事しています。
変わらなければいけない。そう分かっている。
新しいやり方を試すべきだ。
環境を変えるべきだ。
あの決断を下すべきだ。
頭では、完全に理解している。
なのに変わらない。そして、変わらない理由ならいくらでも思いつく。
タイミングが悪い。今は忙しい。もう少し情報を集めてから。周りの理解がまだ得られない。
これらは、すべて事実かもしれない。
だが、その奥にあるものを扱う。
人が変われないとき、その人は変わらない理由を探している。
これは意識的な怠慢ではない。無意識の防衛だ。
なぜ、防衛が必要なのか。
変化には、必ず失うものがあるからだ。
新しいやり方を試せば、今のやり方で得ていた安定を失う。環境を変えれば、今の人間関係や慣れを失う。決断を下せば、選ばなかった方の可能性を失う。
人は、得ることより、失うことに強く反応する。同じ大きさなら、失う痛みの方が得る喜びより大きく感じられる。だから、変化に抵抗する。
そして、もう一つ。変わらない限り失敗しない。
現状に留まっている限り、あなたはまだ挑戦していないだけだ。
可能性は残ったままだ。だが、変わってうまくいかなければ、それは明確な失敗になる。
「やればできた」が「やってもできなかった」に変わる。
この痛みを避けるために、人は変わらない理由を探し続ける。
ここに残酷な事実がある。
変わらないことは選択していないように見えて、実は明確な選択だ。
「まだ決めていない」は「現状を続ける」という決定と同じ結果をもたらす。決めていないつもりで、あなたは毎日、現状維持を選び続けている。
では、どうすればいいか。
第一に、自分が変わらない理由を探していることを認める。
「タイミングが悪い」と思ったとき、問うてほしい。「では、どうなればタイミングが良いのか」。その条件を具体的に言えないなら、それは理由ではなく口実だ。
第二に、失うものをはっきりさせる。
何を失うのが怖いのかを書き出す。安定か。人間関係か。自己像か。恐れは、曖昧なままだと巨大に見える。言語化すると扱える大きさになる。
第三に、変わらないことの代償を計算する。
人は変化のリスクばかりを見て、変わらないリスクを軽視する。このまま三年経ったとき、自分はどうなっているか。その現実を直視する。
そして最後に、小さく試す。
全部を変える必要はない。取り返しのつく範囲で、一つだけ試す。失敗しても、失うものが小さければ防衛本能は働かない。
変われないのは、意志が弱いからではない。
失うことを恐れているからだ。それは、人としてまったく自然だ。
ただ、変わらないことも一つの選択で、その代償を払うのはあなただ。それだけは忘れないでほしい。
なお、変化と意思決定については、私のメンバーシップ「戦略思考ラボ」で、より深く扱っている。

