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腸活のウソとホント「宿便は、本当に存在するのか?」13年、お腹にふれてきた私の答え

こんにちは。 日本腸セラピー協会 代表の加藤仁基です。

名古屋で13年、サロンで腸セラピーを続けながら、スクールで100名以上のセラピストを育ててきました。

このマガジン「腸活のウソとホント」では、世の中に広がっている腸活の情報を、13年の現場経験と、医学的にわかっていることを分けながら、ひとつずつ検証しています。

今回は、前回の記事の最後で予告したテーマです。

「宿便は、本当に存在するのか?」

「宿便が何キロもたまっている」

「宿便を出せば痩せる、肌がきれいになる」

腸活に関心のある方なら、一度は目にしたことのある言葉だと思います。

デトックスやファスティング、洗浄系のサービスの広告には、ほぼ必ずこの言葉が登場します。

そして13年この仕事をしてきて、この言葉のせいで体を壊しかけている方にも、実際にお会いしてきました。

私の答えは「×」。ただし、この言葉には×と○が同居しています

先に結論からお伝えします。

広告で語られる「宿便」腸の壁に古い便が何年もこびりつき、剥がして出せば痩せる——これは、×です。存在しません。

一方で、「腸の中に、出きっていない便がたまっている状態」は、実在します。

つまり「宿便」という言葉の中には、ウソとホントが同居しているのです。

ここを分けずに「宿便はある・ない」で議論すると、話が噛み合わなくなります。順番に見ていきます。

「腸壁にこびりついた便」が存在しない理由

理由は、シンプルです。

腸の内側の粘膜は、数日で新しい細胞に入れ替わっています。 壁そのものが生まれ変わり続けているので、そこに便が何年も「こびりつく」ことは、構造としてできないのです。

もうひとつ。 大腸カメラの検査を受けたことのある方はご存じだと思いますが、検査の前には下剤で腸の中を空にします。

その状態で医師が腸の中を直接見ても、壁にこびりついた古い便などは観察されません。

以前の記事「腸内洗浄は本当に腸に良いのか?」でもご紹介しましたが、私が医師から直接聞いた言葉があります。

「宿便という言葉は、作られたイメージです」

腸の中を毎日直接見ている専門家の言葉として、私はこれ以上の答えはないと思っています。

▶ 前回記事:腸内洗浄は本当に腸に良いのか?

でも、「たまっている感じ」はウソではありません

ここで、読者の方の感覚を否定したいわけではないことも、はっきりお伝えしておきます。

「お腹が張って重い」 「何日も出ていなくて、たまっている感じがする」

この感覚は、ウソではありません。

慢性的な便秘の方の腸には、出きっていない便が実際に残っています。これはレントゲンにも写る、医学的にも実在する状態です。

13年お腹にふれてきて、便秘が続いている方のお腹は、張りや硬さとして手にはっきり伝わってきます。

ガスがたまっているとき、緊張でお腹がこわばっているときも、同じです。

「たまっている」という体の感覚は本物。でも、その正体は「何年も壁にこびりついた宿便」ではなく、「出きっていない便・ガス・お腹の緊張」。

感覚を否定する必要はありません。解釈だけを、正しいものに置き換えればいいのです。

そして、この「解釈」を間違えたままでいると何が起きるのか。 冒頭でふれた方のお話をします。

「宿便が気になって、毎日便秘薬を飲んでいます」

サロンに、「宿便が気になるんです」とご来店された方がいました。

お話を伺うと、その方は毎日、便秘薬を飲んでいらっしゃいました。

驚いたのは、その理由です。 便秘がつらいから、ではありませんでした。

「腸の中に、便がこびりついている状態を想像してしまうと、気持ち悪くて。それを出したくて飲んでいるんです」

宿便のイメージが頭から離れず、それを「出す」ために、毎日薬を飲み続けている。

お気持ちは、わかります。 自分の腸の壁に古い便がこびりついている、と想像したら、気持ちのいいものではありません。

でも、思い出してください。 その「こびりついた便」は、存在しないのです。

便秘薬そのものが悪いわけではありません。必要があって、適切に使うなら、助けになる薬です。

ただ、便秘でもないのに、存在しないものを出すために薬を飲み続け、それによってかえって腸のリズムを崩してしまうのだとしたら・・・

これほど本末転倒なことはありません。

存在しない宿便への不安が、実在する不調を作ってしまう。

私が「宿便」という言葉を放っておけない理由は、これです。

この言葉の害は、「効果のないものにお金を使う」ことでは終わりません。人の行動を変え、体にまで影響を及ぼします。

なお、便秘薬を長く続けている方、やめたいのにやめられないと感じている方は、自己判断で急にやめるのではなく、医師や薬剤師に相談してください。ここはセラピーではなく、医療の領域です。

なぜ「宿便」という言葉は消えないのか

正体が違うとわかっているのに、なぜこの言葉は使われ続けるのか。

「宿便が数キロたまっています」と言われれば、怖くなります。 怖くなった人は、それを出してくれる商品やサービスを買います。

つまり、売るために便利な言葉だからです。

先ほどの方のように、不安は人をここまで動かします。その力を、売る側は知っているのです。

私自身、腸にふれる仕事をしている側の人間なので、この言葉を使えば集客しやすいことは、正直わかります。「宿便を剥がします」と言うサロンがあることも知っています。

それでも協会として、この言葉は使いません。 体の感覚に「怖い物語」をかぶせて売るやり方は、お客様との長い信頼と引き換えだと思うからです。

では、「たまっている」お腹はどうすればいいのか

正体が「出きっていない便・ガス・緊張」なら、やることは特別なものではありません。

食物繊維と水分をとること。 体を動かすこと。 睡眠をとり、緊張をゆるめる時間を持つこと。

地味です。でも、腸はこういう地味なことにいちばん反応してくれる臓器です。

そして、ひとつだけ必ずお伝えしたいことがあります。

急に便秘がひどくなった、血が混じる、強い痛みがある。こうした場合は、腸活ではなく、医療機関を受診してください。

「宿便のせい」という言葉で片づけて受診が遅れることが、いちばん怖いことです。

腸セラピーがお役に立てるのは、その手前の領域です。 慢性的な張りやこわばりのある方のお腹に、赤ちゃんにふれるようなやさしいタッチでふれて、緊張をゆるめていく。

「たまっている感じ」の正体と、ご自分の体の今の状態を、手を通して一緒に確かめていく。そういう時間だと考えています。

まとめ

「宿便は、本当に存在するのか?」

腸壁にこびりついた古い便、という意味なら・・×です。

存在しません。腸の粘膜は数日で入れ替わり、腸の中を直接見ている医師も、そんなものは見ていません。

出きっていない便がたまっている状態、という意味なら・・実在します。あなたの「たまっている感じ」はウソではありません。

そして、存在しないものへの不安は、実在する不調を作ることがあります。

言葉の中のウソとホントを分けること。それが、不安につけこむ情報から自分の体を守る、いちばんの腸活だと私は思っています。

このマガジンでは、これからも腸活の「ウソとホント」を、現場からひとつずつ検証していきます。

次回は「乳酸菌は、摂るほど腸に良いのか?」を予定しています。

参考になった方は、スキ・フォローをいただけると励みになります。 更新の励みになりますし、同じことで悩む方に届きやすくなります。

筆者紹介

加藤仁基|一般社団法人 日本腸セラピー協会 代表
名古屋で腸セラピー専門サロンを開業して13年。お腹の不調に悩む女性と向き合い続ける中で、東洋医学と解剖学を組み合わせた独自のメソッドを築く。東京・名古屋でスクールを開講、100名以上の方をサポート。

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