腸活のウソとホント「便は、毎日出ないといけないのか?」13年、お腹にふれてきた私の答え
こんにちは。 日本腸セラピー協会 代表の加藤仁基です。
このマガジンでは、世の中に広がっている腸活の情報を、13年の現場経験と、医学的にわかっていることを分けながら、ひとつずつ検証しています。
今回のテーマは、このマガジンでいちばん多くの方に関わる問いです。
「便は、毎日出ないといけないのか?」
サロンにいらっしゃる方の、ほとんどが気にされていることです。
「2日出ていなくて」「3日空いてしまって」。
そう言って、不安な顔をされます。
そして、その不安から、いろいろなことが始まります。薬を飲む。洗浄を受ける。断食をする。
このマガジンで検証してきたものの多くは、じつはこの一行の不安から生まれています。
私の答えは「×」。ただし、その裏返しも「×」です
「便は毎日出ないといけない」。これは、×です。
そして、同じくらい大事なことを続けます。
「毎日出ているから、私は大丈夫」。これも、×です。
「毎日」という数字に振り回されているという意味で、このふたつは同じ場所に立っています。
医学の定義に、「毎日」という言葉はありません
日本消化管学会のガイドライン(2023年)は、便秘をこう定義しています。
便が大腸内に滞ることによるコロコロした便や硬い便、排便回数の減少、そして快適に排泄できないことによる、いきみ、残便感、排便困難感を認める状態。
「排便回数の減少」という言葉は、たしかに入っています。回数がまったく関係ないわけではありません。
けれど、「毎日」という言葉は、どこにもありません。
そして定義の重心にあるのは、いきみ、残便感、排便困難感。つまり「快適に排泄できているか」のほうです。
そしてこの定義を提唱した医師は、患者さんに伝えるべきこととして、こうはっきり書いています。
「排便は毎日ある必要がない」
一般に正常とされる排便回数の幅は、1日3回から週3回程度まで。
2日に1回でも、3日に1回でも、快適に出ていてつらさがないのなら、その方はその方のリズムの中にいます。
でも、毎日出ていても便秘症の方はいます
ここからが、もう半分です。
同じガイドラインでは、毎日排便があっても、残便感や排便困難感があれば便秘症と診断されます。
逆に、週3回以上出ていて症状がなければ、診断基準の上では便秘症ではありません。
つまり「毎日出ているかどうか」は、答えを教えてくれないのです。
そして13年サロンにいて、私がいちばん多くお会いしてきたのは、じつはこちらのほうでした。
以前、こんな方がいらっしゃいました。
「毎日出ているんですけど、お腹が張るんです」
そこで、便の形を7段階で表した表をお見せしました。ブリストル便形状スケールといって、医療の現場でも使われているものです。

「毎日出ているというその便は、この中でどれがいちばん近いですか」
その方が指さしたのは、1番でした。 コロコロとした、うさぎの糞のような便です。
「これが毎日出ています」
ここで、さきほどの定義をもう一度見てください。 いちばん最初に挙げられているのは、コロコロした便です。回数の話が出てくるのは、そのあとです。
毎日出ている。けれど、出ているのはコロコロ。 これは、定義の上でも便秘です。
こういう方は、ご自分を便秘だと思っていません。毎日出ているから。それだけの理由で、何年も誰にも相談しないまま過ごしていらっしゃいます。
「毎日出ないといけない」という思い込みは、出ていない人を不安にさせるだけではありません。
出ている人から、自分の不調に気づく機会を奪ってしまう。 私がこの思い込みを放っておけない、本当の理由は、こちらです。
このマガジンでは、「宿便が気になって毎日便秘薬を飲んでいます」という方のお話も書きました。
▶ 過去記事:宿便は、本当に存在するのか?
なお、便秘薬を長く続けている方、やめたいのにやめられないと感じている方は、自己判断で急にやめず、医師や薬剤師にご相談ください。ここは医療の領域です。
では、何を見ればいいのか
回数の代わりに、4つを見てください。
ひとつめは、便の形。
バナナのような、なめらかでやわらかい形が理想です。コロコロしている、ひび割れて硬い。どちらも、体からの合図です。
ふたつめは、出るときの感じ。
いきまないと出ないか、時間がかかるか。
みっつめは、出たあとの感じ。
すっきりしたか、まだ残っている気がするか。
よっつめは、出ていない日のお腹。
張らず、苦しくないのなら、それはあなたのリズムです。
カレンダーではなく、お腹に聞く。
引くのは、この一行です
このマガジンでは「足すより、引く」と何度も書いてきました。
今回引いていただきたいのは、食べものではありません。
「毎日出ないといけない」という、この一行です。
ただし、引くのは「数えること」であって、「お腹を見ること」ではありません。 カレンダーを数えるのをやめて、代わりに形と感じを見る。置き換える、ということです。
数える必要がなくなると、力みが取れます。不安で薬に手が伸びることも、出ない日に自分を責めることも、減っていきます。
「出さなければ」と力んでいる状態は、腸にとって、いちばん動きにくい状態だからです。
サロンで私がしているのも、結局はここです。
赤ちゃんにふれるようなやさしいタッチで、こわばったお腹をゆるめていく。数を増やすためではなく、力むのをやめていただくために。
まとめ
「便は、毎日出ないといけないのか?」
いいえ、×です。医学の定義に「毎日」という言葉はありません。
快適に出ていて、日常生活に支障がないのなら、2日に1回でも、それはあなたのリズムです。
そして「毎日出ているから大丈夫」も、×です。毎日出ていても、コロコロした便や、残便感、排便困難感があるのなら、それは便秘です。
見るべきなのは、カレンダーの数ではなく、便の形、出るときの感じ、出たあとの感じ、そして出ていない日のお腹。
派手さのない答えですが、13年お腹にふれてきた私の、正直な答えです。
このマガジンでは、腸活の「ウソとホント」を現場からひとつずつ検証しています。
▶ マガジン:
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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筆者紹介
加藤仁基|一般社団法人 日本腸セラピー協会 代表
名古屋で腸セラピー専門サロンを開業して13年。お腹の不調に悩む女性と向き合い続ける中で、東洋医学と解剖学を組み合わせた独自のメソッドを築く。東京・名古屋でスクールを開講、100名以上のセラピストを育ててきました。
公式LINEでは、無料の冊子『腸セラピーとは』『ひとりサロンのはじめかた』などをお渡ししています。
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