加賀まりこ「月曜日のユカ」60年経っても色あせない、横浜の小悪魔物語
「自由でいたい」と思いながらも、誰かを喜ばせたい。
そんな矛盾を抱えたまま、軽やかに街を歩く女の子。
モノクロームの横浜を舞台に、たった94分で人の心をくしゃっと掴んでしまう、不思議な映画があります。
公開から60年以上経った今もなお、若い世代に「おしゃれ」「クール」と再発見されつづける一本。
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作品基本情報
製作年:1964年
製作国:日本
上映時間:93分
監督:中平康
主演:加賀まりこ
出演:中尾彬、加藤武、北林谷栄、梅野泰靖、波多野憲
脚本:斎藤耕一、倉本聰
音楽:黛敏郎
原作:安川実
こんな方におすすめ
古い日本映画の中に、今見ても新鮮な感性を見つけたい方
加賀まりこの若き日の輝きをスクリーンで味わいたい方
フランス映画のようなおしゃれな映像が好きな方
倉本聰の若き日の脚本に触れてみたい方
モノクロ映画の美しさが好きな方
この映画の見どころ
「ヌーヴェルヴァーグに影響を与えた」中平康監督の到達点
この映画を語るときに欠かせないのが、監督の中平康(なかひら こう)の名前です。
中平監督は、フランスのヌーヴェルヴァーグ(新しい波)の作家たちに、逆に影響を与えたといわれる稀有な存在。
代表作「狂った果実」(1956年)は、ゴダールの「勝手にしやがれ」より4年も早く撮られた、先鋭的な作品でした。
その中平監督が、満を持して描いた風俗ドラマが「月曜日のユカ」です。
リズミカルな編集、速射砲のような会話、ジャンプカットを多用した映像感覚。
「これが昭和39年の日本映画なのか」と驚くほど、洗練されたモダンな感覚に満ちています。
近年では「ポップでクールな映画」として若い世代に再評価され、ニュープリント上映には若い観客が詰めかけたといわれています。
加賀まりこ、21歳。その「小悪魔」がフィルムに焼き付いている
撮影当時、加賀まりこ(かが まりこ)はまだ21歳。
「小さな妖精」「現代の妖精」と呼ばれて人気急上昇中の時期でした。
舞台は港町・横浜。
ユカは18歳のクラブの女の子で、男の人を喜ばせることだけが生きがい。
平気で誰とでも寝るのに、キスだけは絶対に許さない──そんな不思議な少女です。
冒頭、走る車の窓からの景色を素早く繋ぎ合わせ、そこにユカがふっと現れる。
そのまま彼女が服を脱ぎ捨て、着替えるシーンへと流れていく。
ここから「月曜日のユカ」の世界に、観る人はあっという間に引きずり込まれます。
加賀まりこのバービー人形のような可憐さ、無邪気さ、そしてどこか空っぽな哀しさ。
そのすべてが、白黒の映像にきらきらと焼き付いているのです。
倉本聰と斎藤耕一の脚本、黛敏郎の音楽
スタッフ陣の豪華さにも驚かされます。
脚本は、まだ駆け出しだった倉本聰(くらもと そう)と、後に「旅の重さ」などを監督する斎藤耕一(さいとう こういち)の共同執筆。
音楽は、現代音楽の巨匠・黛敏郎(まゆずみ としろう)。
撮影は山崎善弘で、陰影の美しいモノクロームが横浜の街を一枚の写真のように切り取ります。
「あの時代のスタッフが、本気で『新しい映画』を撮ろうとしていた熱」が、画面のすみずみまで詰まっています。
横浜という街そのものが、もうひとつの主役
港、ナイトクラブ、外国人船員、教会、波止場。
1964年の横浜が、ありのままの姿で記録されているのも、この映画の大きな魅力です。
東京オリンピックの年に撮られた、消えゆく古き良き港町。
今では見ることのできない街並みが、ユカの軽い足取りとともに映し出されます。
「あの頃の日本は、こんなに洒落ていたのか」と、観終わったあとにしみじみ感じる方もきっと多いはず。
観た人の声
こんなに可愛くて、こんなに空虚な女の子は他に見たことがない。加賀まりこの魅力が爆発している作品
1964年にこれほど先鋭的な邦画が作られていたことに驚いた。ヨーロッパのヌーヴェルヴァーグ映画のような味わいがある
モノクロ映像の美しさ、編集のテンポの良さ、どれをとっても今見ても古びていない。お洒落映画として何度でも観たい
笑えるのに、どこか切ない。
可愛いのに、どこか怖い。
そんな不思議な余韻が、観終わってからずっと胸に残る一本です。
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まとめ
60年以上前のモノクロ映画が、なぜ今も「おしゃれ」「新しい」と語り継がれるのか。
その答えは、加賀まりこの軽やかな足どりと、横浜の街の空気の中にあります。
月曜日のユカに、ぜひあなたも会いに行ってみてください。
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